1塁への牽制は緩急が大事!
練習次第で誰でも1塁ランナーを釘付けにできます!
【右ピッチャーの1塁への牽制】
右ピッチャーの1塁への牽制は大きく分けて4種類覚える必要があります。
①ゆっくりプレートを外して投げる牽制
②速くプレートを外して投げる牽制(もしくは一挙動で投げる牽制)
③プレートを外さないで投げる牽制
④目線をサード方向に外した瞬間に投げる牽制、この4種類です。
↑これが一挙動の牽制です。プレートを外したとは見なされないので投げないとボークです。
〇牽制は緩急でアウトを取る!
牽制は緩急でアウトにするものだということをまず理解する必要があります。
ランナーはピッチャーの牽制を見て
「ここまでならリードして大丈夫だ」
というラインを決めます。
ある程度上手なランナーほどこの作業をミリ単位で行っていきます。
したがってピッチャーはランナーのこの感覚を狂わせていくことが必要になってくるわけです。
「緩い牽制は必要ない」と言う方(野手出身の方に多いです)もいますが、ランナーの感覚を狂わせるために①の緩い牽制は必要です。
その緩い牽制の後に必要になるのが②の速い牽制です。
ポイントはこの②の牽制をそのピッチャーのマックスの牽制だと思わせることです。
ランナーはこの速い牽制でアウトにならないところまでリードすることになります。
一挙動の牽制のほうが速く回転ができるので一挙動の牽制をよく練習しておくと良いと思いますが、一挙動の牽制はプレートを前に外しているように見えますが、実際にはプレートを外したとは認められません。
プレートを外すというのは後ろに外すことしか認められないからです。
したがって一挙動の牽制は1塁に送球しないとボークになります。
指導する際に注意してください。
上の動画でソフトバンクの選手がやっているのが一挙動の牽制です。
これがボーク!?徳山も不思議顔 2017 U18 世界野球 日本xカナダ スーパーラウンド
「これがボーク!?」とか書かれていますが、普通にボークです。
その後に出てくるのが③のプレートを外さないで投げる牽制です。
ランナーの中には軸足が動いたら戻るという意識の子もいるので、その時はこの外さない牽制が活きてきます。
ただ、人によっては外さない牽制はどうしても回転が遅くなってしまうという子もいます。
〇必殺の牽制は目線外し!
そこで、それでも刺せないランナーを刺す必殺の牽制が④の目線をサード方向に外した瞬間に投げる牽制です。
ランナーは「ピッチャーはランナーを見ているものだ」という先入観があります。
そのため、目線を切ると投球をすると思い、一瞬スタートに意識が向きます。
その一瞬が帰塁を遅らせるのです。
私が言いたい牽制と全く同じ牽制の動画が見つからなかったので、自分で実演してみました。
これは練習しないとなかなかできない難しい牽制です。
しかし、①~③の緩急と合わせて使うことができれば、ランナーを刺す確率がかなり上がってきます。
特に1・3塁など前にランナーがいるケースでは積極的に使ってみてください。
ちなみに、④は多投してはいけません。
あくまでも必殺です。
ランナーが「ここまでリードできる」という感覚を乱すことが牽制なので、これを多投しているとこの牽制が基準になってしまいます。
通用するのは1試合でせいぜい3回くらいだと思います。
また、身体の回転の速さなのですが、「1・2」で回るイメージではなく、「1」で回れと教えると速くなります。
これは私ではなく、別の先生の指導だったのですが、イメージを変えるだけで本当に速くなるのでびっくりしました。
あとは、セットに入る瞬間に牽制するなどプラスの工夫を加えるとなお良いと思います。
【左ピッチャーの1塁への牽制】
〇左ピッチャーは目線で惑わす!
左ピッチャーの1塁への牽制は「目線を上手に変える」ことに尽きます。
ただひたすらランナーを見ながら牽制してもアウトにできるはずがありません。
ランナーを見ながら前に投げたり、前を見ながら牽制したり、様々な工夫をして牽制をする必要があります。
そんなことはみなさん分かっていると思うので、プラスアルファとして目線以外に一つ紹介します。
それは足の上げ方です。
牽制は緩急が大事だと言いましたが、左ピッチャーはなかなか緩急をつけることはできませんよね。
そこで、足の上げ方で緩急をつけます。
「かなりゆっくり足を上げて、上がり切ったら素早く牽制する」これを取り入れてみてください。
ランナーはゆっくり足が上がったらそれに合わせてしまいます。
そこから速い牽制が来ると帰塁が一瞬遅れます。
これを目線と合わせてやってみてください。
ただ、最近は左ピッチャーの牽制に対応するために、かなり訓練されたチームが多いです。
そういったチームはワンバックやワンゴーを狙ってきます。
こうなってくると牽制するだけ無駄な場合もあるので、シンプルにクイックで勝負することも大事です。
〇とにかくテンポよくしつこくやることでランナーを釘付けにする!
上のレベルになるとどのチームもとにかく牽制が上手です。
ピッチングのテンポも良いですが、牽制のテンポも素晴らしいです。
ランナーのレベルも上がるとワン・ゴーやフライングスタートなどといったハイレベルな盗塁を仕掛けてきます。
そういったランナーの盗塁を防ぐには、キャッチャーの肩だけではなく、ピッチャーがとにかくいろんなリズムでテンポよく牽制とピッチングをする必要があります。
春の全国大会で見た秀光中のピッチャーはどのピッチャーもとにかく牽制のテンポ、ピッチングのテンポがよく、走れる気がしませんでした。
ただし、テンポが悪いのにしつこく牽制をすると守備のリズムが崩れるので、練習段階から早いリズムでピッチングをすることが大切になります。
ランナーは基本的に牽制はあっても2回までと思いがちです。
実際、私も
「2回牽制が来たら3回目はほとんど無いからワン・ゴーでスタートしろ」
と指導しています。
ピッチャーも3回も牽制するのは守備のリズムも考えるとやりづらいのですが、ワン・ゴーなどをしかけてくるチームには3回目の牽制も必要になってきます。
〇ボークの見分け方!
右ピッチャーの1塁牽制で見なくてはいけないのはまず軸足です。
軸足を外さない場合は送球しなければボークですから、この点を見てください。
先にも書きましたが、一挙動の牽制も送球しないとボークです。
これは意外と多いですから注意してください。
次にあるボークは外さないで投げたときに左足が1塁をしっかりと向いていない(=回転不足)ことです。
これは見ていてすぐ分かりますから、これまた気付いたら指摘しましょう。
左ピッチャーのボークは主に2種類です。
一つは「自由な足が軸足と交差してしまった」場合です。
これは少年野球や中学軟式野球で適用されます(競技者必携による)。
公認野球規則上、つまり高校野球やプロ野球では、「自由な足がプレートの後縁を越えて牽制してしまった場合」にボークとなります。
微妙な違いですが、覚えておいた方が良いと思います。
この違いについては私もよく知らなくて、読者の方に教えていただきました。
もう一つは自由な足をしっかりと1塁に踏み出さない場合です。
1塁にしっかりと踏み出さないとボークになります。
よくその場で足踏みする形になったり、斜めにステップしたりする選手がいるので気を付けてください。
ボークについてはかなり分かりやすくまとめてあります。
以上、長くなりましたが、1塁への牽制まとめでした。
キャッチャーの肩がいくら良くてもピッチャーの牽制が下手だと走り放題になってしまうので、参考にしていただけたら嬉しいです。
また、牽制とともに重要なクイックモーションについてはこちらにまとめてあります。
関連記事です。