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中学校野球部!絶対に強くなるヒント集

中学野球や部活動の経営をしている方々のお役に立てるように、野球技術のみではなく、組織づくりのことなど、野球部の経営に役立つ情報をどんどん発信していきます。また、野球小僧を育てたい親御さんに役立つ情報、教育問題への提言も掲載していきます。

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『なぜ教えない授業が学力を伸ばすのか』【2016年7月発売】

授業 本・マンガ 教育問題 アクティブ・ラーニング

「教えない授業」が学力を伸ばす!?

両国高校・付属中学校の取り組みとは!? 

 

 〇都立両国高校・付属中学校の取り組み

なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか

なぜ「教えない授業」が学力を伸ばすのか

 

この本が出版される前から幾度か両国高校・付属中学校の「教えない授業」については聞いたことがありました。

おそらく下のような記事を目にしたのだと思います。

style.nikkei.com

この「なぜ教えない授業が学力を伸ばすのか」という書籍は、都立両国の英語科山本氏を中心に2011年後半ごろから取り組んできた「教えない授業」の紹介本になります。

アクティブ・ラーニングが導入される次期新学習指導要領を先取りした授業とも言えますし、新しい大学入試にいち早く対応した授業と言うこともできると思います。

結論から言うとすばらしい取り組みで、とても参考になりました。

しかし、初めて読んだ6月と、前回お話しした「学力の経済学」を読んだ後とではちょっと話が違ってくるんですよね。

www.taguchizu.net

そのあたりを詳しくお話ししたいと思います。

 

〇これってアレとアレに似ていない?

山本氏の「教えない授業」は基本的に教師はファシリテーターとなり、生徒の学習を後ろから見守ることが基本となります。

そしてある程度解きごたえのある課題を与え、生徒が辞書を用いたり、ペアやグループで協力したりして解いていく協同的な学習になります。

まさにアクティブ・ラーニングなのですが、う~ん…。

 

これって『学び合い』と「学びの共同体」に酷似していませんか?

両方のいいところ取りのような気が私にはします。

『学び合い』と同じように教師はファシリテーターに徹し、子どもたちが自由に学び合う。

4人グループも「学びの共同体」の典型例だし、解きごたえのある学習課題を与える=「学びの共同体」のジャンプの課題ですし。

 

いや、別に酷似していてもいいんですよ。

『学び合い』と「学びの共同体」の良さを取り入れて5年間行った実践例として発表することには大変意味のあることです。

しかし、この「なぜ教えない授業が学力を伸ばすのか」という書籍には、『学び合い』という言葉も「学びの共同体」という言葉も全く出てきません。

山本氏が「教えない授業」に取り組み始めたのが2011年ですから、明らかに『学び合い』及び「学びの共同体」よりも後の実践になります。

当時知らなかったとしても現在も『学び合い』と「学びの共同体」について全く知らないということは無いと思うんです。

それであれば、山本氏の研究発表というべきこの書籍は、オリジナルの研究ではないと言えます。

先行研究として『学び合い』と「学びの共同体」について触れ、それらとの違いを示すとか、それらをより現場に合う形に昇華させたものだと言うような説明がないといけないと思うのです。

学校を改革する――学びの共同体の構想と実践 (岩波ブックレット)

学校を改革する――学びの共同体の構想と実践 (岩波ブックレット)

 

 

www.taguchizu.net

↑学びの共同体をご存じない方はこちらをどうぞ。

 

〇少なくともエビデンス(科学的根拠)に欠ける。

山本氏の取り組みは残念ながらまだ5年しか行われていません。

しかも、どうやら2011年両国中学校に入学してきた子たちを引き続き高校まで指導しての5年間のようです。

つまり山本氏自身は同一学年200名程度でしか実験(言い方は悪いですが)できていないのです。

おまけに指導してきた生徒は難関の都立両国中合格者です。

「ある程度学力の高い集団だからできた」と言われても言い返すことはできません(山本氏はそうではないと言っていますが根拠は無い)。

「教えない授業」の効果として、化学のセンターの点が78点と、平均64点よりも大きく高かったという話が出てきますが、そもそも両国高校の偏差値が68ですから、乱暴な計算をすると、平均80点を取っていても何もおかしくないのです。

他の学校で実践した人も生徒の表情から手ごたえを感じているというような記述がありますが、主観でしかないのです。

申し訳ないのですが、全体的にエビデンスが足りないと言わざるを得ません。

 

しかし、それでも納得して読むことができたのは、『学び合い』の西川純先生らによって、山本氏の言う「教えない授業」が学力の低い高いに関係なく効果があることが証明されていること、「学びの共同体」の佐藤学先生らの研究によって難易度の高い課題が生徒の意欲を高め、学びを深めることが証明されているからです。

山本氏の不足したエビデンスを補ってくれているのは、やはり『学び合い』と「学びの共同体」であり、そこに一切触れずにこの書籍がベストセラーになっているのはいかがなものなのかと私は思ってしまいました。

 

〇アクティブ・ラーニングの実践例としてはすばらしい!

ただ、実践例としては素晴らしいものですし、「生徒観」「教育観」などの考え方もすばらしいものがあると思います。

書籍の構成というかあり方としてはどうなのかとは思うのですが、一教員としては非常に勉強になった書籍です。

特に英語科の教員にはおすすめできる内容だと思うので、興味がある方はぜひ読んでみてください。

ただ、やはり「学歴の経済学」や「サバイバル・アクティブ・ラーニング」の方がおすすめかなあ。

「学力」の経済学

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