中学校野球部!絶対に強くなるヒント集

中学野球や部活動の経営をしている方々のお役に立てるように、野球技術のみではなく、組織づくりのことなど、野球部の経営に役立つ情報をどんどん発信していきます。また、野球小僧を育てたい親御さんに役立つ情報、教育問題への提言も掲載していきます。

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習熟度別少人数授業を行うことに科学的根拠は無い!

習熟度別少人数授業を行うことに科学的根拠は無い!

もっと別のところにお金をかけるべきだ!

 

〇習熟度別少人数授業って本当に効果があるの?

私は社会科ということもあり、クラスを分割して授業を行う、いわゆる少人数授業は行ったことがありません。

しかし、前任校でも現任校でも教科によって少人数授業が行われていました。

前任校では数学科が2クラスを3クラスに分割する習熟度別少人数授業を。

現任校では数学科が同じやり方で習熟度別少人数授業を、英語科が習熟度別ではないものの少人数授業を行っています。

少人数授業は広くいろんな学校で採用されています。

私が住む東京都の中でも町田市は、なんと英語科の少人数授業を行うことを全学校に義務化しています。

 

こうして広く行われている少人数授業ですが、

教育経済学的には効果がほとんど無いことが分かっています。

www.taguchizu.net

そうです、先日紹介した「学力の経済学」の中で少人数授業にエビデンス(科学的根拠)があるのかどうかという話が載っているのです。

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

 

〇「学力の経済学」を見てみると…

 慶應義塾大学の赤林教授らは、横浜市がこの仕組み(※)を採用していることに着目し、少人数学級が子どもの学力にもたらす因果効果を推計しました。その結果、少人数学級の因果効果は、小学校の国語には学級規模が1人小さくなると偏差値が0.1上昇する効果が確認されていますが、小学生の国語以外の科目や中学生には、効果がみられませんでした。

 国内外の研究蓄積をみる限り、少人数学級を積極的に推し進める理由は見当たりません。巨額の財政赤字を抱えている日本で、「少人数学級になるときめ細かい指導ができる」などという根拠のない期待や思い込みで、財政支出を行うのは極めて危険だといわざるを得ないのです。

※田口注:この仕組みとは40人学級に1人の転入生が来ると20人と21人の2学級に分かれる仕組みのことです。

「学歴の経済学」P112~113より

というように小学生の国語以外では少人数学級に効果はほとんど無いという研究成果が発表されています。

ただし、注意しなくてはいけないと思うことがいくつかあります。

「学力の経済学」を読むだけでは分かりませんが、この研究の手法(40人学級に転入生が1人来ると2学級になる)では研究対象の母数はあまり多くないでしょう。

そうなると研究としては信頼に欠けます。

また、この研究は「少人数学級」の研究であって、「習熟度別少人数授業」の研究ではありません。

したがって、「習熟度別少人数授業」に効果が無いとまでは言い切れません。

 

しかし、費用対効果という点では効果が薄いと言えると思います。

習熟度別少人数授業を行うためには、教員数を増やす必要があります。

先の町田市のように全学校で行うとなると、学校1につき1~3名の教員(学校規模による)を追加する必要が出てきます。

英語科および数学科で行った場合、町田市全体で40~120名の教員増になります。

かなりの支出増になりますよね。

それに見合った教育効果は…先ほどお話ししたように、無いとまでは言いませんが、小さいわけです。

習熟度別指導の何が問題か (岩波ブックレット)

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〇少人数授業を行うことでかえって教員の負担は増えている。

ここまではエビデンスを重視して書いてきましたが、ここからは実際の現場ではどう感じられているのか、主観や経験の話をさせていただきます。

本来であれば、調査して、何か根拠のある数字を示すことができれば良いのですが、残念ながら我々一教員にはなかなか難しいことですから、主観になってしまうことをご了解ください。

 

実際の現場では、少人数授業を行うために教員が増えているわけですから、一人ひとりの負担が軽減されているように感じるかもしれません。

しかし、たとえば3学年×4学級の学校があったとします。

英語の週時数は3学年4時間ずつですから、合計授業時間は週48時間になります。

そうすると教員は3名配置になり、一人あたりの持ち時数は16時間です。

担任だったとしても道徳学活総合をプラスして週20時間ですから授業準備の時間はある程度確保できます。

これを少人数に展開するとなると、2学級を3学級に分割した場合、合計授業時数は1.5倍の72時間になります。

そうすると教員は4名配置で、一人あたり18時間持つことになります。

これで担任を受けもったら週22時間です。

教員は増えたのに、一人あたりの持ち時数は減るどころか増えています。

このように少人数授業を行った場合、ほとんどのケースで持ち授業時数がほぼ限界の数字になってしまいます。

こうした持ち時数の多い教員は当然ゆとりはありませんから、現場の教員が増えたとしても学校全体で一人ひとりの負担が軽減されるわけではないのです。

 

授業自体も、2学級を3展開した3名の教員がしっかりと足並みを揃えて行うことはなかなかに難しい状況です。

なぜなら、本来であれば中心となる教員が授業をデザインし、他の教員と打ち合わせて授業を行うべきなのですが、先に述べたようにとにかく空き時間がありません。

3名揃って打ち合わせを行うのは休み時間の1・2分なんてことも少なくありません。

授業直前にプリントを渡されることもあります。

放課後に打ち合わせをしてはどうか?

放課後は会議や部活動がありますから全員が揃うことはなかなか難しいのです。

このような中でも英語科や数学科の教員は一生懸命にやっていますが、どうでしょう?

一人で1クラスを持って、入念に準備ができたほうが良い授業ができるような気がしませんか?

 

〇習熟度別・少人数にすることも危うさを持っている。

ここから先はエビデンスのない主観や体験談の話になってしまうのですが、習熟度別少人数授業を行うことで危ういこともあることをお話ししたいと思います。

私の妻は英語科なので習熟度別少人数経験者なのですが、習熟度別にすることでやりにくい部分が多くあったそうです。

英語科ですから英語でアクティビティをする時間を多く取ろうとすると、学力の低いクラスでは「英語が得意な子が苦手な子をリードする」という今まで通常のクラス単位の授業で行われていた学び合う様子を見ることができません。

分からない子同士、どうしたら良いかあたふたして時間だけが過ぎてしまうので、どうしても文法指導などの書く作業中心になってしまい、結局せっかく習熟度別少人数授業を行っても話す力や聞く力を伸ばすことは難しかったそうです。

また、習熟度別ではない少人数授業にした場合でも、進級の際にクラス分けで人間関係の問題で分けた生徒たちが一緒になってしまうなどの生活指導上の問題が起こったり、同じクラスでも先生が違うことで生徒から不満の声が上がったり、いろいろな不都合が多く、効果を感じるよりも不都合を感じるほうが多かったと言っています。

このように、主観・経験談からしてみても習熟度別少人数授業を行うことはデメリットが目立ってしまいます。

 

以上、習熟度別少人数授業について懐疑的な意見を述べさせていただきました。

昨年、財務省から教員の削減案が出ました。

削減することには反対ですが、少人数授業にして効果の少ない人員増をするのであれば、各校にスクールソーシャルワーカーを配置する、教務を一手に引き受けてくれる人員を配置するなど、教員の負担が減るように人員を確保して欲しいと私は感じています。

みなさんの意見もぜひお聞かせください。

 

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