積極的な生活指導をしよう!
何かがあってからの連絡、家庭訪問になってしまっていませんか?
それは消極的な生活指導ですよ!
〇家庭訪問には「マイナス」なイメージがつきやすい!
今日は家庭訪問についてお話したいと思います。
家庭訪問といえば、私が小学生のときに担任の先生がいらっしゃってくださいました。
そのときにはどんな話をされるのか母親の隣りで緊張していた記憶があります。
その家庭訪問はクラス全員の家を回る、学校の年間行事予定に組み込まれたものでした(決して悪さをして先生が来たわけではないですよ)。
今では家庭訪問を行う学校は減少しているようです。
特に中学校ではあまり行っていないようですね。
それでも年間行事予定に組み込まれていて、5月ごろに家庭訪問を行うという学校もあることでしょう。
私の勤務校でも1年生のみ5月に家庭訪問を行っています。
また、年間行事予定に組み込まれてはいなくても、事情があって家庭訪問を行うこともあるでしょう。
残念ながら、この場合はあまり良くない理由があることが多いです。
たとえば、不登校の子で学校ではお話ができないから家庭訪問をする、学校で問題行動があってその事情説明のために家庭訪問をする、そのような理由が多い気がします。
私もこういった理由から毎週4軒の家庭訪問を年間通して行っていた年がありました。
先にあげた理由がメインになってしまうため、家庭訪問に苦手意識をもってしまう教員が多いような気がします。
また、実は生徒も保護者の方々も家庭訪問されることは好きではありません。
教員が悪い話をもってくることが多いわけですから。
〇積極的な家庭訪問のすすめ!
そこで、私は積極的な家庭訪問を考えました。
ヒントは野球部の活動で懇意にしていただいていたある先生がやっていたことです。
その先生はクラスでちょっと大変だった子を「なんとか学校生活をがんばらせよう、保護者と連携してやっていこう」という思いで、毎月第3土曜日は三者面談の日と決めていました。
これは年度当初にその生徒・保護者と決め事として行うことにしたそうです。
そこでは「こんな大変なことがありましたよお父さん」と言うこともあれば「でも、こんなことをがんばったんですよ、褒めてやってください」と言うこともあったそうです。
生徒や保護者の方からすると「何か失敗をしたから呼ばれた」のではなく、決まっていることだから学校に行くわけです。
心の持ちようは大きく違いますよね。
その先生の実践を私なりに応用してみることにしました。
初めて行ったのは3年生の担任をもっていたときのことです。
受け持っていたクラスには前年まで別の先生のクラスでたくさんの失敗をしてしまっていた生徒がいました。
明るくて優しくて、でもおもしろいことが好きすぎて考えるより先に行動しちゃう。ちょっとワルに興味がある。
そのせいで毎週のように保護者の方に連絡を取らなくてはいけない、そんなやんちゃな子でした。
前年までは授業での付き合いでしたが、問題を多々抱えてはいるものの、その子がすごく良いところもあることが分かっていたので、なんだか歯がゆい感じがしていたのです。
そこで、私のクラスになったことをきっかけに「積極的な家庭訪問」を始めてみることにしたのです。
〇積極的な家庭訪問の実践例!
初めての家庭訪問は、始業式の週に「君の家に遊びに行くぞ」と言って、お母さんに連絡をとった後、一緒に学校から帰ってお母さんに「一年間よろしくお願いします。これから毎週来させてもらっていいですか。」と話しました。
今まで何かあるたびに学校に行っていたお母さんは少し面をくらったようでした。
次の週は部活動を指導した後に行きました。
彼は遊びに行っていたのに、戻ってきてくれました。
「今週はこんな失敗もあったけれど、委員会に立候補してくれたり、授業で発表したりとがんばりましたよ!」
良かったところを積極的に褒めることができました。
お母さんの都合が悪く、一緒に帰るだけの日もありました。
その日は彼がお茶を入れて、ケーキまで用意してくれました。
その後、二人でTVゲームをして遊びました。
そんな中で「〇〇高校で工業の勉強をしたい」なんて話もしてくれるようになりました。
また別の日は、別居しているおじいちゃんとおばあちゃんがいらっしゃって、「こいつはどうしようもないですけど、お願いします」なんて言われたこともあります。
こうして、夏休みも含め、毎週家庭訪問し、できるだけ彼の良かったことを伝えていきました。
また、忘れ物も多い子でしたから、プリントを持っていったり、宿題を回収したりもしました。
こうした積極的な家庭訪問の中で、彼と、そして彼の保護者の方々と関係をつくることができたと思います。
この積極的な家庭訪問で彼は大きく変わりました。
明らかに問題行動が減りました。
「先生のためにがんばる」と言ってくれたこともありました。
そして、万が一失敗してしまったとき、本人は素直に反省できるようになりましたし、保護者の方もすぐに学校にかけつけてくれるようになりました。
保護者の方の態度も以前に比べて明らかに学校に協力的になりました。
こうして彼は無事に希望の進路を叶えることができたのです。
これが私の行った、
積極的な家庭訪問=「何かある前に家庭訪問をして関係を作る」です。
ただ、気を付けたいのは押しつけになってしまっては結局子どもも保護者も嫌になるだけです。
変な話、愛情が必要です。
私は自信をもって「その生徒のことが大好きだ」と言える状態でした(もちろん彼だけ大好きなのではダメですよね)。
愛情をもって積極的な家庭訪問を行えば間違いなく結果がでます。
もう一つ注意点は、クラスの周囲の子たちからも理解を得なくてはいけないということです。
クラスでは全員を公平に扱う必要があります。
ですが、公平に扱うことと「個別に合った対応をすること」は両立できるはずです。
クラスの子たちが「なんであいつだけ」と思わないようなクラス作りも同時に進めていく必要があります。
「人に優しい」クラス作りが必要になるということですね。
以上、積極的な家庭訪問についてのお話でした。
家庭訪問に限らず、消極的な生活指導ではなく、積極的な生活指導で子どもたちの良いところを引き出す教員でありたいものですね。
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