高校野球界をさらに良くするために!
私なりの甲子園への提言をまとめました!
※こちらの記事は2015年に執筆し、2017年に加筆修正したものです。
〇甲子園の良さと問題点
先日、「砂の栄冠~甲子園研究所~」という本を読みました。
その本はまあ「本当かな?」と疑わしいようなことも書かれているのですが、甲子園の裏舞台というかあまり報道されない部分も指摘している本です。
その本の中で甲子園大会への提言がなされていました。
また、昨今タイブレーク制や球数制限を導入するかという議論もなされており、ネット上でも様々な意見が出ています。
今回は甲子園の今後について私の意見を書かせてもらいたいと思います。
1、甲子園ほどすばらしい興行はない
まず、前提として高校生が行うスポーツの大会(スポーツに限らないかもしれません)で甲子園ほど日本中の注目を浴びているものはありません。
しかも、老若男女限らず注目されている。
プロ野球やサッカーの国際大会に勝るとも劣りません。
この興行がなんと100年も続いている。
これは世界的に見ても稀なことです。
これにはいろんな要因があると思います。
①49地区から代表が出ている
先にあげたように甲子園は日本中でたくさんのファンをもつ大会です。
その理由の一つとして全ての都道府県から代表が出ているということがあげられます。
自分の県の代表を応援するという図式が成り立っているから全国で注目されているわけです。
②トーナメント制である
「負けたら終わり」というトーナメント制であることが選手の全力プレーを生み、それが見ている人々に感動を与えています。
これはリーグ制のプロ野球やJリーグなどにはないところです。
こういった要因から甲子園が全国から注目されるスポーツの大会となっていると思います。
したがって、今後甲子園について改革を考える場合はこれらの良い点をできるだけなくさないように考える必要があります。
つまり47代表は最低限維持し、トーナメント制は継続する必要があるということです。
よく「アメリカでは~」と何でもアメリカを例にあげる人がいますが、まず前提として、アメリカには甲子園ほど注目を浴びる高校生の大会はありません。
何でもアメリカと比較すれば良いわけではありません。
2、選手への負担を軽減する必要がある
…しかし、一方で15日間で5試合を行う過密な日程は選手にとって、特に投手にとって過酷であることはまちがいありません。
そもそも甲子園に出場するためには各県のトーナメントを勝ち進む必要があり、そこで既に何試合も行ってきているわけです。
これは「今までだって行われてきたことだから」では済みません。
明らかに日本の夏は暑くなっています。
現に地方大会では熱中症で倒れる選手も増えています。
また、投手の肩へのダメージも深刻です。
この点に関しては考えていく必要があり、「タイブレーク制」「球数制限」の導入が議論されています。
①タイブレーク制
…高野連は来春のセンバツ大会からタイブレーク制の導入する方向でいます。
これについては現場からは反対の声が大きく上がっていたようです。
また、特に古くからの高校野球ファンの中でも反対派が多かったみたいですね。
それはそうです。
野球が大きく変わってしまうわけですから。
野球というのはそもそも「どうランナーを出すか」から始まるスポーツです。
最初から得点圏にランナーがいるスポーツではありません。
いわばサッカーが延長戦なしでいきなりPK戦になるようなものです。
ですから反対の声が上がるのは分かる気がします。
しかし、タイブレーク制のある中学校野球部で指導している私としては、「タイブレーク制も野球の一部」として既にとらえているので、タイブレークの練習もさせていますし、それほど違和感はありません。
選手の負担を減らすという点では採用も有りかなと思います。
確かに、数々の名勝負が延長戦や引き分け再試合で見られたことから、名勝負が減ってしまうのではないかと危惧するのも分かりますが、タイブレークでの名勝負という新しい見方もおもしろいのではないかと思います。
②球数制限
…これに関しては私は反対です。
そもそも「一日100球」の根拠は何でしょうか?
「砂の栄冠~甲子園研究所~」ではメジャーリーグのクオリティースタートの基準6回、15球×6=90球で大体100球とアメリカで言われているに過ぎないと書かれています。
私もそう思います。
また、球数制限を採用してしまったら人数の少ない学校はどうしても不利になります。
大人数を抱え、投手がたくさんいる私立が勝ち上がりやすくなるわけです。
そうすると、私立に有望な中学生が集まり、どんどん一極集中が進みます。
これは甲子園の魅力を大きく削ぐことになります。
では、球数制限せずに投手を守るにはどうしたら良いか?
これは単純にもっと日程に余裕をもたせるべきだと思います。
一日3試合までにする。
休養日を増やす。
埼玉県大会のように3回と6回終了時にグラウンド整備を行い休憩時間をとる。
もちろん運営費は余分にかかりますが、多少のゆとりで甲子園という伝統ある大会の魅力を削がずに続けられるのであれば安いものだと思います。
※追記
現在は球数制限賛成派です。
以上のように、こちらも何でもアメリカ式ではなく、日本の良いところも残しつつ、選手の負担を減らすことを考えていくべきでしょう。
3、人間形成の発表会にする
…こちらは提言です。
残念ながら、甲子園も低レベル化が進んでいるように私は感じています。
それは技術的なことではありません。
選手(それをさせている指導者)の人間性のレベルが低下してきていると思います。
たとえば、眉毛。
眉毛に関してはいじらないようにと高野連から通達が出ています。
しかし異常に細い眉毛で明らかにいじっていますという選手がけっこういます(眉毛をいじることの是非は賛否あるかと思いますが、ここでは通達を無視していることを問題視しています)。
それも甲子園常連校でも多いです。
さらにはフェアプレー精神の欠如。
キャッチャーへのタックル、サイン盗み…。
これらは勝利至上主義に傾き、人間形成の部分で隙があったと言わざるを得ないかと思います。
もちろん、誰でも勝ちたい気持ちで必死になることはあるので、選手や指導者を100%否定するつもりはありません(私だって似たような経験はあります)。
ただ、レベルは下がったのではないかと言いたいのです。
理由はたくさんあると思います。
子どもの興味が多様化していること、携帯電話が普及したこと(TVにうつれば友達からバンバンLINEが入る時代です)、親や地域の教育力が弱まったこと、指導者の指導力不足、などなどです。
この問題は実はけっこう深刻な問題で、高野連には選手の身だしなみ、ふるまいについてのクレームがかなりきていると言います。
ファンを失うことにつながっているということです。
甲子園の良さは先にもあげたように負けたら終わりというところから来る選手のひたむきなプレーです。
そのひたむきさというところは地味ですが日々の生活をどのくらい真剣に過ごしているかから出てきます。
その甲子園のおもしろさ、醍醐味を守るためにも甲子園は人間形成の発表会であり続けなくてはいけません。
そもそも高校の部活動とは本来そういうものです。
高校の指導者の方々にはその点さらに意識していただきたいし、我々見る側も「勝てばいいんだ」というチームは許してはいけないと思います。
また、私のような中学校の指導者は高校で人間的にも通用する選手を育てる必要があると思います。
以上、長くなりましたが甲子園への提言でした。
私は高校野球、もとい野球が大好きです。
日本で今後も野球が盛んに行われるように、私自身もがんばっていきたいです。
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