部活動を外部委託すれば全ては解決するのか?
部活動問題や教員ブラック問題はそんなに簡単な構図ではないのではないか?
※こちらの記事は2016年に執筆したもので、現在とは状況や私の見解が異なりますのでご注意ください。
〇部活動を外部に委託しようという流れ
部活動が教員を苦しめているという話はたびたびあがっては消えています。
もちろん現在も真剣に訴えている人たちはいるのですが、どうやら教員なのだから子どものために働いて当たり前だと思っている層もかなりいる(外にも、身内にも)ようで、大手を振って活動できているわけではないようです。
ただ、確実に申し上げておきたいのは、教員の一番大事な仕事は授業をすることです。
そこは揺るがない。
ブラックさを競うつもりは毛頭ありませんが、その授業に力が入れられない状況は「子どもにとっても」不幸だということは学校関係者以外も理解しなければいけないところだと思います。
そんな中、その教員の負担を減らそうと、部活動を外部に委託したら良いのではないかという意見が多く出ています。
※2018年から「部活指導員」の制度が始まっていますが、この記事はそれ以前に書いた記事です。
私は以前お話ししたように、
「教員がやれる範囲で、そしてみんなでやろう。当然時間外に行う場合は手当を。」
※現在の私の意見ではありません。
という意見でしたから、外部委託のメリットとデメリットはそこまで深く考えていませんでした。
しかし、いろいろな意見も出ていることから、今回私も考えてみたいと思います。
先に専門家などの意見を載せておきます。dot.asahi.com
↑杉並区は外部指導員を積極的に利用。
こんな形で多くの提案が出ています。
〇外部委託した際のメリット!
正直、外部指導員を増やしていくという案は現状に+アルファ程度にしかならないと思いますので、大きく変わりそうな企業や民間に委託という案をここでは採用したいと思います。※2018年から「部活指導員」の制度が始まっていますが、この記事はそれ以前に書いた記事です。
では、企業や民間に委託して、場所だけ貸し出すという部活動にした場合どのようなメリットがあるか考えてみましょう。
①単純に教員の負担が大きく減る。
②小学生も参加という形にもできる可能性がある。
③授業の準備に時間を取ることができることから生徒に学力がつく。
④教員にゆとりが生まれることから、丁寧な生活指導ができ、不登校生徒・非行傾向生徒が減る。
⑤④のことから学校が落ち着き、生徒が学ぶ環境が整う。保護者との関係も良好になる。
⑥生徒が落ち着くことから、地域の治安も良くなる。地域と学校の関係も良好になる。
⑦進学率も上がり、優秀な人材が育つ。
ということで単純に考えるとすごく良いことがありそうです。
教員は毎日2時間ちょっと+土日を部活動に時間を割いていたわけですが、その空いた時間に教材研究をしたり、ゆっくりと休んで気力を取り戻したり、読書をして教養を増やしたりできるようになります。
それだけゆとりが出たら、良い授業ができるようになるのは当然だと思います。
メリットはかなりありそうです。
また、余裕があり、自分も指導に参加したいという教員がいた場合はそれを認めるということも選択肢としてはありだと思いますが、そうすると結局
「A先生は指導してくれているのに、B先生はしてくれない」
という声が上がる可能性もあります。
その点に関しては慎重に検討すべきでしょうね。
結局形だけ外部委託し、指導しているのは教員なんてことにもなりかねません。
〇外部委託した際のデメリット!
では、外部委託した際のデメリットは何かということなのですが、これは人によってはデメリットと考えそうなこととして捉えて欲しいことが多いですね。
①平日毎日の活動は難しくなる。
…当然部活動を委託される側も普段は仕事をなさっているでしょうから、毎日の活動とはいきません。
野球でいえばシニアチームのような活動の仕方になるのではないかと思います。
これは部活動を保育園のように考えている保護者からするとデメリットになると思います。
②生活指導が入りにくくなる。
…これは部活動命みたいな先生にとってのデメリットですね。
部活動をやっていようがやっていなかろうが、丁寧な指導を行っていれば指導は入ります。
むしろ「部活動停止にするぞ!」みたいな指導をしていると生徒は段々「あ~またか、はいはい。」みたいに内心思っています。
ただし、当然ですが、部活動も普段の生活も両方丁寧に指導している人はもっと指導が入ることは認めないといけません。
③設置部活動が偏る可能性がある。
…その地域の企業や民間の方々での運営になることから、学校ごとに設置できる部活動には限界があります。
少なくとも現状より部活動数は減ると予想されます。
自分の学校にやりたい種目がなくても、やりたい種目を設置している学校に行って活動しても良いとしている案もありますが、田舎じゃ無理です。
吹奏楽部など指導者が多く必要な部活動やマイナースポーツはかなり厳しくなるのではないでしょうか?
④技術指導に偏る恐れがある。
…現在の外部指導員もそうですが、外部に委託すれば指導者は教員ではありませんので、教育活動の一環とは言えなくなります。
また、たとえそういう位置づけにしたとしても指導者は教員免許を持っているわけではありませんので、どうしても技術指導に目が行き、心の指導がおろそかになる可能性があります。
場合によっては体罰問題がここで出てくるかもしれません。
⑤部費が非常に高額になる可能性がある。
…外部に委託した場合、学校が予算を出すという形は取りづらいのではないでしょうか?
そうした場合、当然外のクラブ活動のように高額な部費や遠征費が必要になってきます。
もし、学校から予算が出るとしても、運動部では合宿や遠征が組まれ、現在よりは敷居が高くなると思われます。
特に深刻なのは吹奏楽部で、高額なレッスン代が必要になるかもしれません。
⑥私学との差が際立ってしまう。
…外部委託した中学校の部活動(この場合部活動というのか分かりませんが)と毎日活動を行っている私立中学校との実力差が大きく開いてしまう可能性が高いです。
部活動を一生懸命にやりたい子は私学に行くしかなくなるとすると、低所得の家庭の子はスポーツに力を入れることができないという構図ができてしまいます。
⑦教員が生徒の部活動の様子を知ることが難しい。
…これはそもそも外部委託したのだから知る必要がないとも言えるのですが、現在の外のクラブチームとは異なります。
構成する部員が同じ中学校のメンバーになるわけですから、当然、部活動での人間関係を学校・クラスに持ち込むことになります。
現在の部活動の形であれば、部活動でのトラブルを学校に引きずった場合でも教員が部活動での実態を把握した上で指導することができますが、外部委託するとそれが難しくなります。
場合によっては実態とは異なる指導をしてしまい、トラブルが悪化するなんて可能性も十分に考えられます。
⑧そもそも誰が指導するのか?
…というか、ここまで話を勧めてきてあれですけど、平日の4時ごろから指導に定期的に来ることができる競技の専門家なんて全国にどのくらいいるんでしょうか?
当然、現在よりも部活動の活動回数は減ることになるとは思うのですが、そうだとしても平日にそんな時間のある人はなかなかいないと思います。
また、土日の活動に関してもたとえば野球指導の専門家であれば自分のチームをすでに持っているかもしれませんし、野球塾なんかをやっていたとしても土日は忙しいのではないでしょうか?
当然、指導者の都合に合わせて日程を組めばいいのですが、各校の委託されている団体の都合を合わせることは難しくなるので、大会運営も難しくなってくるのではないでしょうか?
⑨外部委託にかかる費用はどうするのか?
…そしてまさか無料でやってもらうわけにはいかないでしょうから、当然委託先に自治体が指導料を払うことになるでしょう。
これまではほとんど教員のボランティアで行われていたわけで、それ自体がそもそもおかしかったわけですが、その分浮いていた費用がかかるようになるわけです。
ですから部活指導員だとか外部委託の話が浮上はするものの、誰も強力に進めていかないわけですよね。
〇メリットもデメリットもある!
ということで、当然なのですがメリットもデメリットもあるということになります。
ただ、デメリットと感じる部分の金銭面以外は、現在の形に慣れてしまっているが故に感じるデメリットなのかなと思いますので、外部委託がしっかりとした形で定着すればデメリットに感じなくなってくるのではないかと思います。
となるとメリットのほうが大きいのではないかと思うのですが、そもそも外部委託の体制をどう成立させるのかが大変かもしれません。
誰に委託するのか?
どのように決めるのか?
資格は必要なのか?
解決しなければいけない問題は山積みのようです。
ということで、今回は部活動を外部に委託したらどうなるのか考えてみました。
今後の部活動のあり方は、今後の教員のあり方にも関わってくると思いますので、これからもいろんな道を模索していきたいと思います。
何か良い提案があったら教えていただければと思います。
※追記
このような案を考えました。
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