部活動問題をややこしくしている
「部活動反対派」に混ざる問題教員の存在…
※こちらの記事は2016年に執筆したものです。現在の私の考えと異なる部分もあります。ご了承ください。
〇部活動問題が社会問題になりつつある。
これまで、幾度も部活動の問題について言及してきました。
繰り返しますが、中学校教員には部活動の負担が非常に大きく、部活動に追われてしまい、一番重要な授業に力を入れることが難しくなってしまっているという状況です。
これに対して、先日安倍首相も教員の多忙感について言及するなど、教育問題として広く認知されるようになってきています。
教員の勤務の実態も段々と一般の人たちにも伝わってきていて、ブラック企業の問題、過労死の問題などと重なり、社会問題として捉えられてきているさなかではないでしょうか。
内田良氏はずっと教員や部活動の構造の問題について記事にしてくださっていますが、このような形で全国的にニュースとして取り上げられることも珍しくなくなってきました。
〇部活動問題は全ては生徒のためであったはず…
当然のことですが、どんな問題にも賛成派・反対派がいます。
部活動問題にも現状維持に賛成派と反対派がいます。
部活動現状維持賛成派の主張としては、
・部活動は生徒の人間形成の場として学校に欠かせないものになっている。
・生活指導上必要である。
・外部に委託することで練習時間が減るのではないか。
・外部指導員が確保できない。
などがあげられます。
反対派の主張としては、
・部活動の負担が大きすぎて、授業の準備を十分にできない。
・生徒や保護者も現在の部活動に大きな負担感を感じている。
・自分がしたことのない競技を受け持った場合に指導しきれない。
・外部に委託すれば地域の優秀な人材を活用できる。
などがあげられます。
今回はどちらの主張がもっともかは置いておくことにします。
ここで確認をしたいのは、どちらの主張も全ては「子どもたちのため」の主張だということです。
賛成派は「負担感はあるけれども、子どもたちのためにがんばろう」といった主張ですし、反対派は「十分な休息をとって、ゆとりをもって授業準備をすることにより良い授業をすることで子どもたちのためになる」という主張なわけです。
反対派の中には「休めないから」という理由も出てきますが、これだって十分な休息をとることが結果的に子どもに良い授業を提供することにつながると言えます。
しかし、この問題をこじれさせているのが、
反対派の中に楽をしたいという自分本位の輩が混ざっていることです。
〇ツイッターで見てしまった教員のつぶやき
本当はツイッター上のことなんてここに掲載することではないと思うのですが、先日こんな匿名教員のツイートを目にしました。
A氏①「部員が帰りに買い食いをしているのを遠くから発見。また土日の部活動をしない理由ができた。注意しなくて、いつのまにか罰を与えるステルス型。良いよね、これ。」
A氏②「部員がスマートフォンを持ってきていた。『学校のルールを守らない奴が、部活動をする資格はありません』制裁措置として土日の部活動はしない。良いですよ、これ。黙認しているようで、制裁をする。ステルス型。」
部活動反対派の教員のツイートです。
匿名ですが、公開されているものなので、誰でも見ることができます。
私も以前から部活動の問題について言及してきました。
その中で「部活動のあり方を変えることで教員の勤務状態を改善することができる=生徒のためになる」という考えであるはずの部活動反対派の中に、「ただ楽をしたいだけ」という輩が混在してしまっていて、そのことが社会から理解を得られない原因の一つになってしまっていると述べたことがありますが、まさにその典型ではないかと思います。
部活動の顧問を引き受けるかどうかは現状選べないことが多く、問題視されています。
しかし、土日の部活動をやるかやらないかは顧問の裁量次第です。
したがって、この教員も普通に休むことはできます。
こんな卑怯な手段で、生徒を悪者にして休みにする必要があるのでしょうか?
「先生も土日に休まないと良い授業ができないから、今週は休みにします。」と理解を求める誠実さが無いのでしょうか?
保護者も生徒も誠実に話をすれば分かってくれます。
指導もせずに、ステルス型などと称して制裁を課す部活動、教員。
残念ながら似たような例はたくさん見てきました。
こんな状況であれば、
別の意味で部活動なんか無い方がいいとなってしまうのではないでしょうか。
〇子どものために働きましょう!
そういった残念な教員も中にはいるのかもしれませんが、多くの教員は身を粉にして、一生懸命子どもたちのために働いていることを知っています。
現状、部活動の問題は結論は出ていません。
それ以外にも教員の仕事の構造は問題が山積みです。
変えなくてはいけないところはたくさんあると思います。
もちろん、言うべき意見を伝えていくことは大事ですが、待つしかない部分があることも事実。
それならば、そのときまでは一生懸命子どものために働きましょう!
ここでいう一生懸命というのは土日も休まず部活動をしろということではありません。
子どもに最高の教育を与えられるベストなバランスで、つまり必要なときはゆっくりと休み、やるときはやり、ベストなパフォーマンスをそれぞれの教員が発揮することです。
課題はたくさんありますが、子どもたちのためにがんばっていきましょうね!
(追記)
先に挙げた内田良氏の著作『ブラック部活動』が発売になりました。
部活動問題を考えるためにはとても参考になる本なので、ぜひご覧ください。
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