少年野球人口が激減している!
このままだと10年後にはマイナースポーツに転落!?
〇野球関係者にぜひ目を通していただきたい良著!
昨年の10月『野球崩壊』という広尾晃氏の書籍が発売になりました。
この著作はかなり話題になり、広尾氏も様々なところに呼ばれ講演を行うなど、野球界に多少なりとも影響を与えたようです。
広尾晃氏については恥ずかしながらこのときに初めてお名前を聞きました。
肩書きはライターですが、活動のメインはブログの方のようです。
他にも著作がいくつかある方ですが私は未読です。
ブログの方を拝見させていただきましたが、独自の視点で非常に興味深いブログでした。
プロ野球好きにはたまらないと思いますので、ぜひご覧になってみてください。
この『野球崩壊』は広尾氏が近年の少年野球人口の減少に注目し、その原因を様々な角度から探っていく著作になっています。
少子化による子どもの減少が原因だとも言われている少年野球人口の減少ですが、実際は少子化率を大きく上回る割合(30%)で少年野球人口は減少しています。
その原因、そして解決策について、広尾氏の意見のみならず、インタビュー記事などにより様々な方々の意見を取り上げているのがこの著作で、はっきり言ってとてもおもしろいです。
そして、野球関係者としてはぞっとする話ばかりで、「このままではいけない」という危機感をもたせてくれる名著だと私は思います。
〇「なぜ野球が嫌われるのか?」
第3章は「なぜ野球が嫌われるのか?」というタイトルで、野球離れの原因について広尾氏が語っています。
その目次を引用させていただきます。
【要因① 親の負担】
重装備が進む少年野球、休日ごとのお茶当番、親が手間暇かけて当たり前、采配・起用に口出しする親、格差の広がり
【要因② 暴力、パワハラ】
「マフィアが野球を教えている」、人権意識は生まれているが
【要因③ 勝利至上主義】
勝つためならなんでもする、草創期からあった勝利至上主義、一球入魂
【要因④ エリート主義】
本物のエリートが始めた日本野球、3年間一度も試合に出ない野球部員、是正されつつある「エリート主義」
【要因⑤ 24時間365日野球漬け】
私財を投げ打つ指導者たち、部活顧問をやりたがらない先生たち、「高校野球は人生そのもの」、シーズンスポーツの考え方、野球バカを生み出し続ける指導法、変貌するスポーツ界
【要因⑥ 団結しない野球界】
お山の大将の集まり、プロ・アマ対立の歴史、プロ野球と高校野球の谷間、一部分にとどまるプロアマ連携
『野球崩壊』目次より引用
詳しい内容はぜひ『野球崩壊』を読んでいただきたいのですが、目次を見ただけでも広尾氏が伝えたいことがなんとなく伝わってくるのではないでしょうか?
そして、これらの内容を私は批判することができませんでした。
小学校で野球を始めて以来、ずっと野球に関わってきていますが、上記のような「野球離れ」が進む要因に納得せざるを得ません。
というかまさにそうだと思わされます。
これは私のように中学野球に関わる者も含め、野球関係者全てが反省し、改善していかなくてはいけない問題だと思います。
特に私が危惧しているのは要因②の「暴力、パワハラ」です。
「マフィアが野球を教えている」 。
小学生の野球チームを見ていても、中学野球でも、高校野球でも、この光景はいまだによく見られます。
一向に改善される気配がありません。
確かに自分が親だったら子どもが怒鳴られている姿は見たくありません。
子どもが楽しくできるスポーツを選ぶことでしょう。
この問題に対してFacebookを中心に熱心に取り組んでいる団体として「ベースボールコーチングアカデミー」があります。
もし興味がおありの方はご覧になってみてください。
このベースボールコーチングアカデミーの寺澤さんという方はアメリカ野球にも精通していて、人格者だと私は感じました。
フェイスブックをやっている方はぜひグループの門を叩いてみてはいかがでしょうか?
〇野球界の闇!
結論として広尾氏は野球界に様々な提言をしています。
・野球界を統括する組織の創設。
・野球組織からのメディアの排除。
・「甲子園」の解体と再生。
・指導者ライセンス制の導入。
・女子野球の振興。
など、私も全く同意することが提言されています。
↑女子野球やライセンスについては記事も書いています。
しかし、こんなまともな提言も現時点では採用される可能性は極めて低いのです。
そのくらい野球界は危機感が不足した遅れた組織になってしまっていて、かつそれが一枚岩でないものですから改革が極めて難しいのです。
その証拠にこの『野球崩壊』には様々な方のインタビュー記事が掲載されていますが、顔ぶれを見てみると
・小林至氏(江戸川大学教授、元プロ野球選手)
・池井優氏(慶應義塾大学名誉教授)
・鍵山誠氏(四国アイランドリーグplus理事長)
・大西宏氏(マーケティング・ディレクター)
・川淵三郎(日本サッカー協会最高顧問)
となっています。
小林氏こそ元プロ野球選手ですが、その他の方々はプロ野球や高校野球とは関わりのない方々ばかりです。
ですが、みなさんものすごく良いことを言われているわけです。
特に川淵氏の話はぜひみなさんに見ていただきたいすばらしい内容でした。
しかし、プロ野球や高校野球の内部からはこういった声が絶対と言っていいくらい出てこないのです。
その理由は二つあると思われます。
一つは野球人が社会の変化に気づけないほど鈍感であるということ、これから先も野球界は安泰だと思い込んでいること。
もう一つはメディアと絡み合ったプロ野球や高校野球は巨大すぎて内部から声をあげることが不可能に近いこと。
この2点が原因でしょう。
↑おかげでマツコさんのこんな名言が生まれる始末です。
たとえば、桑田真澄氏は野球界の間違った指導法や考え、常識を見直そうということで様々な著作を発表したり、各地で講演会を行ったりしています。
桑田真澄の常識を疑え! KUWATA METHOD―父と子に贈る9つの新・提言 !
- 作者: 桑田真澄
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2015/03/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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これらの著作に目を通していただければと思います。
しかし、桑田氏ほどの人物でもその影響力は微々たるものです。
その理由として、桑田氏の著作では名指しで具体的な批判、改善策は出てこないからです。
もしも桑田氏が今までに感じた理不尽な野球界の間違った常識や出来事を赤裸々に書いたとしたら、恐ろしい暴露本になるはずです。
下手したら暴力沙汰、賭博容疑や暴力団とのつながりなど逮捕者が出るような事態になるかもしれません。
あまりにひどすぎて桑田氏でもオブラートにつつんで発表するしかないのだと思います。
したがって、野球界に真っ当な批判をする人物は外部の人にならざるを得ないのです。
これも野球界の闇の部分だと思います。
〇結論!
先ほども述べたように、この『野球崩壊』が野球界を今すぐ大きく変えるきっかけになれるかと言うとなかなか難しい部分はあると思います。
しかし、私を含め、野球に携わるみなさんがこのままでは10年後野球はマイナースポーツになってしまうかもしれないという危機感をもち、プレイヤーズファーストで指導をあたっていくきっかけにはなると思います。
野球に携わる方にはぜひ今後の野球界のことまで考えて目の前の子どもたちを指導して欲しいと思います。
みなさんの力で、もう一度野球の魅力を取り戻しましょう!
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