「弱者の集団」が「闘う集団」に変わる。
野村流「組織論」の決定版!
(書籍帯より)
〇野村克也という人物
野球に関わる人であれば野村克也氏を知らないという人は少ないのではないでしょうか。
私のような世代にとっては名監督、評論家として有名ですが、プロ野球選手としての成績もチート級の成績を残している人物です。
・8年連続を含む9度のホームラン王。
・三冠王の獲得。
・キャッチャーとして初の50本塁打超え(52本)。
※この翌年に王貞治氏が55本打ったが、当時は日本記録。
・出場試合数3017は谷繁氏に抜かれるまで日本記録。
・キャッチャーがタイトルを獲得した例は通算21回。そのうち17回が野村氏。
というように、マンガの中のキャラクターみたいな成績を収めています。
また監督になってからも通算1565勝、リーグ優勝5回というすばらしい成績を残しています。
「ID野球」という今では当たり前ですが、相手選手の傾向を分析し、それをプレーに活かすということを普及させたのも野村氏です。
また、
「指導者としてどうあるべきか」
「強い組織をつくるにはどうするべきか」
「人を育てるにはどうしたら良いか」
選手生活、監督生活を通じて野村氏が考えてきたそういったことをまとめ、著作にする活動も積極的に行っており、これによって多くの指導者が育ちました。
こういった功績から、私は野村克也氏を尊敬しています。
当然話をしたことはありませんが、今と違って根性論・精神論全盛期の野球界に異なる視点を取り入れた功績は偉大だと思っています。
彼の著作を読んでいると、組織論やリーダー論としては野村流で完成していると思います。
しかし、その割には彼の監督としての成績はパッとするものではありません。
リーグ優勝5回でパッとしないというのはおかしな表現かもしれませんが、これだけの考えを持った人物であれば、もっと勝てるはずだと思うのです。
それでも勝てなかったのは野村氏の不器用さにあるのではないかなと思っています。
彼のことをシャイだと評する人は少なくないそうです。
彼の監督時代のメディア対応などを見ていると、彼の意図や先見の明はすばらしいものがあるのですが、それが十分に選手に伝わっているかは疑問に思えました。
ボヤキなんてその典型だと思います。
彼は人間力も重視する人です。
練習や試合で見せるひたむきさが無い選手はすぐに2軍に行くことも少なくありません。
しかし、そういった選手へのフォローや「どうして2軍に落とすのか」という明確な説明はどうも不足していたようです。
野村氏によって野球を覚えた選手が、野村氏が去った後に化けるというケースは非常に多いです。
野村氏が監督だったときには腐っていた選手の話なども聞いたことがあります。
どうも野村氏は選手のモチベーションを引き出すことや人心を掌握するカリスマ的な力は長嶋氏や王氏には負けていたのではないかと私は思っています。
〇『野村メソッド』発売!
前置きが非常に長くなってしまいましたが、その野村氏の新しい著作『野村メソッド』が発売になりました。
第一章「最強の組織のつくり方」
第二章「いかに意識を変革するか」
第三章「勝てるリーダーの条件」
第四章「指導者の仕事と役割」
第五章「人材育成の極意」
『野村メソッド』目次より
こちらの書籍は当然野球人にとっても読みごたえのある書籍ですが、組織論、リーダー論のビジネス書としても非常に良著です。
自己啓発本の多くが採用しているように、見開き2ページで1テーマという構成になっていますので、気軽に読みやすいですし、野村氏の考えの入門にはぴったりな本だと思います。
過去の野村氏の書籍をほぼ読んでいるという方にはかぶる内容もありますが、読みやすく、非常におすすめできる内容になっています。
ただし、先ほど述べたように、野村氏の考えだけでは足りない部分があると思うのです。
この書籍のタイトルのように「最強の組織をつくる」ためには野村氏の意見+αが必要になってくるはずです。
それは私が思うに「その人らしさ」。
自分自身の人間性だと思います。
『野村メソッド』を忠実に再現しようとすれば、おそらく不満をもつ人が出てくると思います。
たとえば、本書には「人は叱ってこそ育つ」「ときには非情でなければならない」などといった項があるのですが、それはそれで正しいと思うものの、「フォロー」についての記述がありません。
私だったら、厳しくするときはしますが、後で必ずフォローを入れます。
「あのとき私が叱ったのは~という思いがあったからなんだよ。君に期待しているからこそ厳しく言わせてもらった。君ならできると信じているよ。次は頼むな。」
こんな言葉があれば人はがんばれるものです。
そんな自分なりの+αを探しながら読むと『野村メソッド』は必ずあなたの力になると自信をもって推薦できる書籍だと思います。
〇強い組織作りは強いチーム作りにつながる!
他の記事でも述べさせていただいていますが、強い組織を作ることは「強いチームを作ること」につながります。
詳しくはこちらの記事を読んでもらいたいのですが、強い組織を作ることができなければ「徹底すること」ができません。
「徹底すること」ができなければ走塁、相手投手の攻略、カバーリングなどチームで組織的に動く部分に弱点を抱えることになります。
選手の個の力に左右されない、安定した強いチームを作りたければ野村氏が言うように「組織作り」に力を入れることが大事だと私は思います。
勝ち続ける組織の作り方 -青森山田高校サッカー部の名将が明かす指導・教育・育成・改革論-
- 作者: 黒田剛
- 出版社/メーカー: キノブックス
- 発売日: 2017/02/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
競技は違いますが青森山田高校サッカー部監督の黒田氏も同様のことをおっしゃっています。
関連記事です。