ダルビッシュ投手が語った「走り込み不要論」!
「体幹トレーニングよりBIG3」!
それらを盲目的に信じて良いのでしょうか!?
〇ダルビッシュ投手がTVインタビューで語ったこと。
初めに言っておきますが、この記事はダルビッシュ投手を批判する記事ではありません。
ダルビッシュ投手の発言を盲目的に信じてしまっている方々に対して警鐘を鳴らす記事です。
むしろ私はダルビッシュ投手の大ファンで、信者といってもいいくらい尊敬しています。
以前ダルビッシュ選手のすごさ、圧倒的なインプット量とアウトプット量、そして古い常識にとらわれないところを記事にしたくらいです。
しかし、TVインタビューでダルビッシュ投手が発言したことがネット上で広まっていることに対してはちょっと付け足しをしたいと思います。
まず、そもそも何と発言したかなのですが、2017年のG+のインタビューで「走り込みは不要」という趣旨の発言をしました。
インタビューの動画や、そのときの書き起こし記事を見つけることができませんでしたので、申し訳ないのですが、2023年に再度同様の趣旨を話したときの記事をご覧ください。
また、四国ILのトレーナーをなさっている殖栗さんの記事にもこちらの話が取り上げられています。
ダルビッシュ投手の「走り込み不要論」さらには彼は以前から体幹トレーニングにも疑問を呈しています。
体幹トレーニングよりもBIG3が重要という考えをもっているようです。
↑BIG3についてはこちらの記事が分かりやすかったです!
私自身、G+を契約していないので、全てのダルビッシュ投手のインタビューを拝見したわけではないのですが、広まっている情報をまとめると
「走り込み不要論」
「体幹よりもBIG3」
というところが中心の提言になるのかなと思います。
これらの提言がネット上で急速に広まりました。
〇ダルビッシュ投手が想定しているレベル。
これに対しての反応はほとんどの人が「よくぞ言ってくれた!」といった反応でした。
野球経験者、現役選手、指導者などほとんどの人がそのような反応だったようです。
これらの反応は上記のまとめサイトで見ることができます。
私も以前、プロ野球のキャンプの意味不明な根性練習を批判した記事を書きました。
それに加えて、新人合同トレでも同じようなことが行われているようです。
また、高校野球、中学野球(硬式・軟式ともに)などでも「根性を鍛える」、「下半身の安定感」などと言って、冬はとにかく走り込み、もしくは下級生はとにかく走り込みといったエビデンスの無い「走り込み絶対必要論」も根強いです。
ダルビッシュ投手はこうしたエビデンスの無い「走り込み絶対必要論」に対して苦言を呈したものだと思います。
これには私も賛成です。
私も高校時代に理不尽な走り込みで故障し、春大会を棒に振ってしまっています。
しかし、ここで勘違いしてはいけないのは、
ダルビッシュ選手が想定しているレベルがどこなのかということです。
当然まずはプロ野球を想定しているでしょう。
プロ野球キャンプでの「走り込み」。
私もそんなのやる必要があるなら自主練でやれよと思います。
短いキャンプの中ではもっと時間を割かないといけないことがあるだろうと思うわけです。
「走り込んで野球がうまくなるなら陸上選手のほうがうまい」なんていう発言も聞いたことがありますが、もっともです。
問題はアマチュア野球です。
アマチュア野球でも「走り込み不要論」、「体幹よりもBIG3」が本当に当てはまるのでしょうか?
〇レベルや設備に応じて考える必要があるのではないか?
結論からいうと私はレベルや設備に応じて考える必要があると思います。
ダルビッシュ投手のおっしゃることももっともなのですが、実際は現場の状況によるということになります。
私はダルビッシュ投手の提言にいつも感銘を受けていますが、それはエビデンスがあるからであって、今回の「走り込み不要論」と「体幹よりもBIG3」に関してはエビデンスが不足しています。
どちらかというとダルビッシュ投手の経験談に近いと思います。
(現に体幹トレーニングを重視するようになって成績がアップしたプロ野球選手も多数います。稀勢の里関のように相撲界でもいますし、陸上界でもいます。ただし、相関関係があるのかは定かではありません。)
ダルビッシュ投手が中学時代に在籍していたチームは全羽曳野ボーイズ。
世界大会3位に入るようなチームです(ダルビッシュ投手の力が大きかったとは思いますが…)。
そこに集まってくるような選手と、公立の中学校の選手たちを比べてどうでしょうか?
公立の中学校野球部には中学校から野球を始める子や、身体の小さい子など、とてもシニアやボーイズの練習についていけないような子がたくさんいます。
そういった子たちはそもそも普通に毎日練習をする体力がありません。
「しごき」ではなく、ちょっとずつ走り込むメニューを入れてあげないと練習についてこれないのです。
これは私の実体験ですが、公立中学校で指導をなさっている方なら頷いてくださるのではないでしょうか?
私の意見にもエビデンスはありませんが、公立中学校野球部には多少の走り込みは必要だと思っています。
↑こちらの記事に詳しくまとめてあります。
また、ダルビッシュ投手はコーディネーショントレーニングの類いも「その動きができるようになるだけ」と批判していますが、公立中学校のレベルだと、それもまた違うと思います。
公立中学校野球部の子たちは驚くほど自分の身体が使えないし、そもそも高校で野球をやるとも限らないのです。
私たちはいろんなことをできるようにさせる必要があります。
ダルビッシュ投手はおそらく中学野球といった場合、自身が所属していたボーイズのようなところを想定していると思います。
また、ダルビッシュ投手が所属していた東北高校。
これまた甲子園常連の名門ですね(近年は仙台育英に阻まれていますが)。
専用のグラウンドがあり、室内練習場やウエイトの設備も整っていることだと思います。
しかし、このような恵まれた高校野球部はむしろ少数派のはずです。
やはり、強豪私立よりも公立野球部の選手のほうが技術的にも体力的にも劣ると思います。
他の部とグラウンドを共用しているところが多いでしょうし、ウエイトトレーニングも他の部と共用もしくは設備が無いというところもあります。
そんな状況で「走り込み不要論」「体幹よりもBIG3」と言われてもなかなか難しいところがあります。
練習する場所がなければOFFにするよりは校舎周りを走ったほうが効果はあるでしょうし、BIG3ができる設備が無ければ自重筋トレや体幹トレーニングを行うのは必然かと思います。
確かに理不尽な走り込みは私も大反対です。
しかし、チーム・選手の状況によっては走り込むことが必要かもしれないし、体幹トレーニングやコーディネーショントレーニングも大事になってくると思うのです。
ダルビッシュ投手の言っていること「走り込みや体幹トレーニングよりもBIG3のほうが効果的!」はある一面では正しいと思います。
しかし、今回に関してはチーム・選手の状況によってはそうとも言えません。
「ダルビッシュ投手が言っているのだから正しい」ではなく、いろんな考えを取捨選択して、自分のチームに一番ふさわしい練習を行うことが指導者に求められていると私は思います。
※追記
ただし、ダルビッシュ投手が特に批判している「長距離走」での走り込みについては私もおすすめしていません。
中学1年生の新入部員が練習を行う体力をつけるという目的で行うのであれば良いと思うのですが、長距離走を繰り返すことで野球に必要な力はつかないということが科学的に証明されています。
こちらの記事が非常に分かりやすい上に、詳しい代案も紹介してくれています。
瞬発系のダッシュメニューの方が野球選手の練習には適しているということです。
ぜひ参考にしてみてください。
ピッチャーのスタミナについて書いた記事はこちらです。
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