技術指導中心の野球界!
まずは「人間形成」と「組織作り」から始めないと、真に強いチームを作ることはできません!
野球人気を復活させるためにも、指導者が考えていきましょう!
〇WBCの盛り上がりは今後の野球人気につながるのか?
野球界は今重大な転機を迎えていると私は思っています。
2017年、WBCが盛り上がり、高校野球も清宮くん効果で注目度が増し(夏の甲子園は出場なりませんでしたが)、NPBもCSで賑わいました。
野球人気が戻ってきたような錯覚に陥っています。
大谷選手のMLB挑戦などもあり、プロ野球・MLBの注目度が上がることでしょう。
しかし、こうした一時の祭りは長くは続かないと私は思っています。
なぜなら、以前もお話ししたように、野球界は裾野部分を広げる取り組みという点でサッカーなどのスポーツに負けており、練習も長いばかりであまり効果の無い根性練習がいまだに続いているからです。
これは指導者のライセンスが無いことも影響していると思いますし、野球が国民的スポーツであったという驕りもあると思います。
このあたりは以前詳しく述べています。
特に、せっかく盛り上がった国際大会WBC。
WBCを見て「野球をしてみたい」と思った子どももたくさんいることでしょう。
しかし、彼らが飛び込む野球界は怒鳴られるばかりで楽しくないところかもしれません。
また、技術指導ばかりで野球をやめたら何も残らないところかもしれません。
それでは結局野球はマイナースポーツ化するしかないと思うのです。
〇人間形成と組織作りから始めないと勝てるチームはできない!
そもそも、野球界では技術指導が中心となっています。
「人間形成」と「組織作り」が軽んじられる傾向にあります。
しかも技術指導もエビデンスに欠けた精神論や根性論が入ってくることも多く、適切な指導ができているとは言えないことも多いです。
これは、アマチュア野球のみならず、プロ野球でもそうです。
野村克也氏はこの問題にいつも言及していて、「今の若い監督は人を育てられていない」と嘆いています。
最近の著作ではこのあたりをお読みください(ただし、野村氏が人間形成や組織作りに常に成功していたかは疑問ですが) 。
なぜ野球で勝つために「人間形成」や「組織作り」が必要なのか?
そのあたりはもうすでに何度も記事で述べてきましたし、指導者の方は野球の技術本だけではなく、いろんな分野で成功している人の本を読んでいただけたらと思います。
たとえば青森山田高校サッカー部の黒田監督の著作。
勝ち続ける組織の作り方 -青森山田高校サッカー部の名将が明かす指導・教育・育成・改革論-
- 作者: 黒田剛
- 出版社/メーカー: キノブックス
- 発売日: 2017/02/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この著作なんかはもろに組織作りが勝利につながるというテーマで書かれています。
また、成功する選手の条件としてやはり「人間性」が挙げられています。
黒田監督はOBの柴崎岳選手のことを天才と言っていますが、褒めている部分はサッカーのセンスのことではなく、その人間性の部分が中心です。
また、青山学院大学駅伝部で箱根駅伝3連覇を達成した原晋監督の著作。
フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉
- 作者: 原晋
- 出版社/メーカー: アスコム
- 発売日: 2015/11/21
- メディア: 単行本
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人を育て 組織を鍛え 成功を呼び込む 勝利への哲学157 ~原晋、魂の語録
- 作者: 原晋(青山学院大学陸上競技部監督)
- 出版社/メーカー: ぴあ
- 発売日: 2016/11/01
- メディア: 単行本
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これらの著作でもやはり組織作り、人作りが箱根駅伝優勝へとつながったと一貫して書かれています。
〇まずは明確なビジョンを!
いきなり「人間形成」や「組織作り」と言われてもピンと来ない人も多いことと思います。
それこそビジネス本や自己啓発本までいろんな本を読んでいただけたらと思うのですが、ある程度思い描くことができたら、明確なビジョンをもちましょう。
「部活動を通してどんな人間を育てたいのか」
「どんな部活動にしたいのか。どうやって勝つのか。」
この部分を指導者がはっきりと打ち出し、選手にそれを理解してもらうことが大切です。
↑ちなみにこちらは私の実践例です。
残念ながら、プロ野球のチームを見ていてもそういったビジョンが見えないことがあります。
「巨人軍たるもの常に紳士たれ」
と言われた川上哲治氏時代のジャイアンツではどのような人間を育てたいのか明確なビジョンがあったと思います。
そのビジョンが正しいかどうかは当時を知らない私には分かりませんが、明確なビジョンがあったということが大事だと思うのです。
近年のジャイアンツでは野球賭博事件やOBの覚醒剤事件が起こっています。
これはやはり「人間形成」の部分がおろそかにされている結果だと思います。
また、どのチームでも近年は日替わりオーダー、日替わり4番、日替わりクローザーのような傾向があります。
もちろん、「臨機応変」ということも大切です。
しかし、これも監督の「ビジョンの無さ」「我慢の無さ」であることも多いと感じます。
監督にも根気、我慢強さ、継続力が求められると私は思います。
プロ野球のことがそのままアマチュア野球に応用できるわけではありませんが、もう一度言いますが、成功しているチームは「人間形成」「組織作り」を重視しているということを指導者は把握してチーム作りをしてもらいたいと思います。
分かりやすい取り組みとしては、応援されるチームを目指すのが良いと思います。
逆説的にはなりますが、結果的にはそれが勝利にもつながってくるわけですから。
〇第9回全日本少年春季軟式野球大会を制した高知中の考え!
もちろん、プロ野球などのハイレベルなカテゴリーだけではなく、もちろん中学生の部活動というカテゴリーでも「人間形成」と「組織作り」は重要です。
2018年3月に行われた全日本少年春季軟式野球大会を制したのは高知中でした。
高知中は優勝後にフェイスブックで次のようなコメントを発表しています。
3月23日から26日の4日間にわたる第9回全日本少年春季軟式野球大会を優勝という形で締めくくることができました。
今年のチームのテーマは『日本一の下克上』。
このテーマに至った経緯は多くありますが、自分たちの実力は最も低いという考え方からこのテーマとなりました。
皆様の評価からは優勝候補としてあげられていましたが選手は「俺たちは強い」と語りませんでした。
結果は優勝。
無事とは言えませんが、春の目的を達成できました
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この優勝は日本にどのような影響を与えたのか。
皆様には能力が高いチームが勝つと印象付いているのではないでしょうか。
確かに能力はあった。投手もいた。身体も大きい年だった。
しかし皆様にこれだけは理解していただきたい。
選手は、能力を活かすための戦術・システムに多くの時間を費やし、戦術・システムを成功させるために能力を高め、野球に集中するため、皆様に愛されるチームとなるため人間性やチームルールを再確認してきました。
能力値だけにフォーカスを当てたのではなく、戦術・システムだけにフォーカスを当てたのでもない。野球だけやっとけばいいと考えたことは一度もない。テスト補修に半分が引っかかるような学年だったのが今では0人になった。逆に地域から褒められる電話の数は増えた。
今日はこの29名が2018年という年代の相手に勝ち続けるためには、皆様に愛されるためには今、何をどのくらいするべきなのかを吉岡主将を中心に考え、取り組んだ答えを出した日です。
学生野球には絶対に勝てる方法は存在せず、選手とスタッフが価値観を共有し、何より保護者の協力を受けながら時間をかけて作っていくものです。このかけた時間こそが選手の財産となっています。
今後の野球界がさらなる進化を遂げるよう私たちも頑張ります。広島県では全中に向け本気の準備が進められています。島根県では県全体の野球力を上げようと素晴らしい取り組みが進められています。その成果を決勝で感じました。
野球という競技が皆様の人生を救い、世界を救い、価値のあるものになるようこれからも頑張りましょう。
こちらの投稿を読んで指導者のみなさんはどのように感じますか?
「うちには選手はいないから」
「うちの選手は意識が低いから」
確かに高知中の選手の能力が高かったのも事実かもしれませんが、そんな強豪チームであっても「人間形成」や「組織作り」に力を入れているのです。
弱いチームこそそういう部分に焦点を当てて取り組んでいく必要があるのではないでしょうか?
ぜひ高知中のような見本となるチームから学んでいきましょう。
グッドルーザーを目指す指導もおすすめです。
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