中学軟式までは外角で攻めるべきと思っていたが、それはもはや古い話…。
ある程度のレベルではインハイに投げられないと厳しい!
〇複合バットの進化が止まらない!
今年に入って、中学軟式の試合を何試合か見させていただきました。
近所の中学校でやっている普通のレベルの練習試合もあれば、先日記事にさせていただいた全日本少年春季軟式野球大会のような超ハイレベルな戦いも見ました。
いろんな試合を見る中で、驚いたことがありました。
それは、
最近の複合バットは本当に飛ぶ!
ということです。
私が主顧問でやっていた最後の年は複合バット再解禁の元年でした(2012年)。
そのときはまだビヨンドマックスのオーバルが中心に使用されていました。
(ミズノ) MIZUNO 一般軟式バット ビヨンドマックスオーバル 1CJBR12883 83cm/650g平均 ブラック×ブルー[0927]
- 出版社/メーカー: ミズノ(MIZUNO)
- メディア: その他
- この商品を含むブログを見る
これでも十分に金属バットよりも飛ぶと感じましたが、あれから5年が経ち、複合バットはさらに進化しています。
ビヨンドマックスシリーズも、キングが出て、キング2が出て、そこからさらに飛ぶメガキング、さらにはメガキング2が出ました。
2019年モデルのビヨンドマックスはギガキング02という過去最高の反発係数を誇る物になっています。
これね、うちのチームでも購入しましたけど、やばいです。
打ち損ねたと思っても外野に飛んでいきます。
ミズノ以外のメーカーの複合バットももちろん進化しまくっています。
そのあたりはこちらの記事をご覧ください。
最近の複合バットの進化にはびっくりするばかりです…。
この複合バットが進化しすぎたおかげで、近年、ある問題が浮上してきています。
それは、
「外角のストレートが通用しない問題」
です。
〇外角のストレートが通用しない…。いや本当は通用しているんだけど…。
この名称、勝手に名付けましたが、けっこう深刻な問題です。
多くの指導者が投手を指導する際に、まずは外角のストレートをしっかりと投げられるように指導すると思います。
私もそうです。
以前にも記事にしましたが、私は「外角低め=原点」を重視して、まずはそこにしっかりと投げられるようにと指導しています。
↑原点はこちら。
そしてこの外角低め中心の配球は打者に対しても有効でした。
長打を浴びる可能性が低く、多少コントロールミスをしてもデッドボールということはありません。
しかし、先の項で述べたように、複合バットが進化しまくった結果、外角に威力のあるストレートを投げても外野に運ばれてしまうという現象が近年かなり増えてきています。
それも、腰がひけていて、手打ちで当てただけのような打球がちょうど外野の前にフラフラ~っと落ちてしまうのです。
金属バットであれば、硬式野球であれば、間違いなく内野フライの当たりです。
いや、下手したらインフィールドにすら飛ばない可能性もある当たりなのです。
これは全国大会でも何度か目にしました。
主にビヨンドなどのウレタン系の複合バットに多いように思います。
①複合バットの飛距離が増した。
↓
②外野の守備位置を下げざるを得なくなった。
↓
③ビヨンド効果+外野が深いためポテンヒットが増える。
このような構図になってしまっているのです。
〇中学野球のレベルでもインハイの重要性が増した!
先にも述べたように、私は基本は外角低めだと考えていました。
しかし、外角のボールは威力があっても当てられるとヒットになる可能性が高いです。
全国大会でも120km超のボールもポンポン手打ちで外野前に落ちてしまっていました。
あの感じだと、良いバッターの場合、上のレベルでは130kmでも外角の本当に厳しいところ以外は外野まで持っていかれる可能性が高いです。
では、どうしたら良いか?
こうなってしまっては「インハイ」に投げるコントロールと勇気が求められるようになってしまうと思います。
全国大会でもインコースの厳しいコースのボールはポップフライに打ち取ることができていました。
私が見たのは3試合ですが、どのチームも積極的にインコースを使っていた印象です。
今後も複合バットの使用は継続されるわけですから、ある程度外角にコントロールできるようになったら、インハイに投げ込めるようになっていかなければいけない時代になったわけですね。
今までは市内レベルでは数人のスーパーな選手以外は外角だけで十分だと感じていましたが、ちょっと傾向が変わってきそうですね(というか、私が気づくのが遅い)。
ただし、あくまでも基本は外角で良いと思います。
外角のラインに投げることができるというのはある意味、正しいフォームで投げることができているバロメーターになります。
詳しくはこちらの記事をご覧いただきたいのですが、まずは正しいフォームを習得し、外角のラインに正確に投げるコントロールを身に着けるべきです。
それができるようになってからの内角だと私は思っています。
少なくとも、ピッチャーを初めてすぐに内角と外角を交互に投げ分けるようなコントロールを求めるのは「二兎を追う者は一兎をも得ず」になりやすいです。
野村克也氏はプロでも原点にしっかりと投げるところから始めさせると言っています。
外角に正確に投げることというのはそんなに一朝一夕で身に着くことではないのです。
内角に投げることはそれなりにリスクを伴います。
ここぞというところで内角に決めることができるようにブルペンで少しずつ練習して欲しいと思います。
また、指導者としては、複合バットの恩恵でポテンヒットを打った選手には結果オーライで終わらせずに、一言指導を入れる必要があると思います。
「今のは複合バットに助けてもらったけど、実際は内野フライだよ。腰がひけて手打ちになっていたから、外角はもう少し踏み込めないとね。」
というような形でフォローを入れて欲しいです。
上の野球、硬式野球では通用しない打ち方だと伝えてもらいたいですね。
(追記)
この問題に立ち向かうべく、私は軟式野球独自のポジショニングを考案しました。
ぜひこちらの記事をご覧ください。
関連記事です。