MLBでは一般的になってきているWAR(ウォー)とは!?
打率や打点などだけでは測れない、選手の総合的な勝利への貢献度を表す指標です!!
〇近年MLBで一般的になってきているWAR!
今回はセイバーメトリクスの代表格「WAR(ウォー)」について詳しく説明したいと思います。
他のデータ、「OPS」「UZR」「WHIP」「DRS」についてはこちらの記事をどうぞ。
www.taguchizu.net
今回説明するWARですが、OPSやUZRよりもかなり複雑になっています。
一応説明はしますが、私も正確に算出方法を暗記しているわけではありません。
簡単に言えば
「選手の勝利への貢献度を表す総合指標」
と覚えていただけたらと思います。
WARが3.0であればその選手は
「3勝分をチームにもたらした」
ということになります。
なぜWARが考えられたかというと、MVPなどを算出する場合、それまでは打率やホームラン数、打点が重視されてきました。
投手であれば勝ち星、防御率、奪三振などの分かりやすい数字ばかり取り沙汰されてきたわけです。
しかし、打率は同じであっても長打が多い方が勝利への貢献度は高いはずです。
さらに、打率は低くても四球を多く選んでいる選手もいるはずです。
また、打点はいくら長打を打っても走者がいなければ付きませんよね。
もっと言えば、野手は打つだけではなく、走塁や守備も勝利への貢献に関わってきますよね。
投手の場合、勝ち星は極端な話、10失点しても打線が11点取ればつきます。
防御率は野手の守備力にも左右されてしまいますよね。
そういったいろいろな要素を全て踏まえて算出するのがWARです。
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〇WARの算出方法!
先に述べたように算出方法は相当に複雑です。
たとえば、野手であれば
ヒットは0.44
2塁打は0.78
3塁打は1.13
ホームランは1.42
四球は0.29
アウトはー0.26
として加算されています。それに走塁価値やUZR(守備指標)を加味して算出されることになります。
投手であれば、奪三振、被本塁打、与四球など自身の能力に左右されやすい数字を中心に、ゴロやフライ、ライナーなど打球の性質も考慮されます。
さらには球場補正も加えられて最終的なWARが算出されます。
球場によっては打者有利、投手有利など違いがあるためです。
【プロ野球、ホームラン集 #48】ドームラン集 東京ドーム特有のホームラン! 劇的なホームランも結構生まれた! | Baseball Channel
たとえば、東京ドームはホームランの出やすい打者有利の球場として知られていますよね。
大阪ドームとは全然違いますよね。
と、このように、WARの算出方法はかなり複雑な上に、定期的に算出方法の見直しが行われているため、WARの算出方法を覚えることはなかなか難しいです。
したがって、先に述べたように
「選手の勝利への貢献度を表す総合指標」
と覚えていただけたらと思います。
〇プロ野球選手のWARを見てみよう!
実は、日本ではまだまだWARは浸透していません。
月間MVPやリーグMVPを選出する際にもやはり野手の場合、打率やHR数、打点が重視されています。
投手の場合でも勝利数、防御率、奪三振など分かりやすい数字ばかり比べられます。
パ・リーグの2018年シーズンのMVPは、山川穂高選手。
山川選手のWARは5.6と高いですが、リーグ全体では6位。
トップは柳田悠岐選手の8.0となっています。
まあ通常はリーグ優勝チームから選ばれるので、西武ライオンズから選出するとしても、西武にはWARが高い選手が非常に多いです。
秋山選手6.4
源田選手6.3
浅村選手5.7
菊池投手5.1
と、山川選手を含めてWARトップ10に5人も入っています。
WAR的には、この中から誰が選ばれてもおかしくなかったのですが、やはり47本塁打という数字のインパクトでMVPが決まったような気がします。
セ・リーグは2017年・2018年ともにMVPは広島の丸佳浩選手でした。
【カープ】丸佳浩 2018 全ホームラン集 完全版 (全39本+3本)
2018年はWAR7.6とセ・リーグではトリプル3の山田選手に次いで2位。
優勝した広島カープの選手では1位ですから文句のない受賞でしょう。
2017年も丸選手のWARは8.2とセ・パ両リーグ合わせてもダントツの数字でした。
WAR2位の鈴木選手が6.5ですから、MVPをすんなり獲得したのも納得だと思います。
ただし、毎年このようにWARが高い選手が受賞するとは限りません。
たとえば、2016年シーズンのセ・リーグMVP選考はそれほどWARが重視されませんでした。
MVPは新井貴浩選手でした。
新井選手のシーズン成績は
打率.300、HR19本、101打点、OPS.857
とすばらしい成績を残してはいるのですが、優勝した広島カープの選手の中でずば抜けた成績を残しているわけではありません。
これはWARを見てみるとよく分かります。
実は、新井選手は広島の選手の中でWARは8位の3.0に過ぎません。
リーグ全体では21位です。
1、菊池涼介 WAR7.3(全体4位)
2、鈴木誠也 WAR6.0(全体6位)
3、丸佳浩 WAR5.3(全体7位)
4、ジョンソン WAR4.9(全体8位)
5、田中広輔 WAR4.4(全体9位)
6、今村猛 WAR3.3(全体13位)
7、ジャクソン WAR3.1(全体19位)
8、新井貴浩 WAR3.0(全体21位)
9、黒田博樹 WAR2.9(全体23位)
※ちなみに全体1位は巨人の坂本選手でWAR9.6です。
広島で1位の菊池選手は打撃面での貢献度だけ見ると、鈴木選手、丸選手、新井選手に次ぐ4番目になるのですが、守備面や走塁面での貢献度が非常に高く、総合的に見ると1番勝利に貢献したということになっています。
確かに菊池選手の守備は勝利に貢献していますよね(ただし、2017年シーズンのUZRはそれほど高くありませんでした)。
菊池涼介 世界レベルの守備 驚愕ファインプレー集 広島東洋カープ
また、投手では沢村賞を受賞したジョンソン投手のWARが高いですね。
15勝7敗、防御率2.15ですからすばらしい成績です。
【プロ野球、ピッチング集 #9】広島カープ、ジョンソン2015 14勝を挙げ最優秀防御率も獲得した超絶優良左腕助っ人のピッチング!
これらの選手とのMVP争いを制したのは新井貴浩選手でした。
WARだけで見ると菊池選手でも良かったのではないかとは思います。
しかし、今回の広島カープ優勝の経緯を考えると、新井選手がMVPというのも納得できる気もします。
新井選手は阪神時代晩年に自由契約を望み、古巣の広島と契約。
年俸は阪神時代の10分の1ほどの2000万円での契約でした。
広島は若手主体のチームで、力はあったものの優勝まではもう一つといった状態。
そこに精神的な支柱として新井選手が戻ってきたという印象がありました。
さらには同年、MLBから黒田投手も戻ってきました。
MLBで10勝できる投手が帰ってきてくれたわけです。
広島が優勝できた背景には、彼らの数字には表れない功績があったことは間違いないでしょう。
そういった点で、WARはそれほど突出した数字では無かったとはいえ、新井選手もしくは黒田投手がMVPを取るというのは私は納得できます。
当たり前のことかもしれませんが、WARなどのセイバーメトリクスには精神的な貢献度は反映されないのです。
また、WARは今のところ救援投手の評価が上がらない傾向があります。
2016年、リリーフとして大活躍した今村投手、ジャクソン投手、中崎投手も十分にMVP候補級の活躍をしたと思いますが、WARはそれぞれ3.3、3.1、2.0に過ぎません。
60試合以上投げてもこれだけのWARですから、これはちょっと改善すべきではないかと思います。
このように、実はWARもまだまだ完璧な指標ではなく、少しずつ修正していく必要のある指標となっています。
2017年パ・リーグMVPのサファテ投手ですらWAR3.6しかありません。
〇2019年のプロ野球MVPはどうなるか!?
では、2019年シーズンのMVPは誰が獲得するのでしょうか?
これは優勝予想とも関わってきますが、個人的には今シーズンは巨人とソフトバンクが優勝するような気がしています。
その2チームから両リーグのMVPが選出されると考え、次の2人がMVPを獲得すると予想します。
セ・リーグは岡本和真選手!
パ・リーグは柳田悠岐選手!
無難な予想ですみません笑。
実は、2018年シーズンの予想はセ・リーグが鈴木誠也選手、パ・リーグは柳田悠岐選手で、両リーグともに外しております…。
今シーズンこそ的中させたいものです。
ということで、今回はWARを紹介しました。
プロ野球観戦の際に参考になると幸いです。
※WARを算出している企業は複数あります。参照するデータによって数値は微妙に異なりますのでその点はご容赦ください。今回の記事は「データスタジアム」の数値を用いています。
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