野球は早熟性が求められるスポーツ!?
高校野球で活躍することだけが大事じゃない!
野球を生涯楽しめる環境を作っていきませんか!?

変わりゆく高校野球 新時代を勝ち抜く名将たち ~「いまどき世代」と向き合う大人力~
- 作者: 大利実
- 出版社/メーカー: インプレス
- 発売日: 2017/06/23
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〇多くの選手が早くに限界を感じて辞めてしまっている野球界…
日本では野球というスポーツは他競技に比べると極めて早熟性が求められるスポーツとなってしまっていると思います。
野球は良い意味でも悪い意味でも「プロ野球」「高校野球甲子園」の注目度が高く、多くの競技者がそこを目指して(保護者の意向の場合も多いですが)野球を始めます。
プロ野球選手になったり、甲子園に出場したりするためには、ある程度は中学野球で結果を残さなくてはいけません。
強豪私学に入るためには中学での実績、中学生時点での能力が求められるからです。
中学生時点でそのような選手になるためには、中学から野球を始めたのでは遅いことになります。
小学生の段階で野球クラブに入団し、練習を始めないと中学で活躍することは難しいでしょう。
このように、野球というスポーツで大成しようと思ったら、早くから競技を始める必要があります。
そして、ここが野球界の課題だと思うのですが、野球を始めたからには、続けるからには「プロ野球選手」、そこまでいかなくとも「高校野球で甲子園」を目指さなくてはいけない雰囲気の中に強制的に入れられることになります。
少年野球であまり活躍できなかった子が、シニアやボーイズに入団することは少ないです。
シニアやボーイズは高校野球で活躍する選手の養成所という雰囲気があり「野球が好きだから」という理由で入団できる雰囲気ではありません。
もし「野球は下手だけど硬式野球がやってみたい。高校野球はやるつもりはない。」なんて子がその通りにシニアやボーイズで公言したら、相当白い目で見られるのではないかと思いますし、指導者からお説教されるかもしれません。
というかそもそも入団できないか、退団させられそうな気もします。
したがってそういう子は中学軟式に進むか、少年野球で早くも野球人生を終えることになります。
中学軟式に進んだ選手、または中学軟式から野球を始めた選手でも、活躍できなかった選手は高校野球(特に硬式)に進むことはなかなかありません。
残念ながら多くの高校では「野球が好きだから」という気持ちだけでは続けることは許されない雰囲気があります。
県大会3回戦がなんとかというレベルの高校でも「目指せ甲子園」を掲げることがお約束になっていて「いや、無理でしょ。楽しもうぜ。」などとは口が裂けても言えません。
そして、高校野球が終わると多くの選手の野球人生が終わります。
大学でも野球を続けるのは引き続きプロ野球選手を諦めていない選手か、高校野球までの「辛い」練習を乗り越えても野球を楽しいと思えたごく一部の人たちです。
その後、細々と草野球などを続ける人もいますが、そういった方々で自分は「現役選手」という意識がある人はあまり多く無いでしょう。
このように、野球界はピラミッドのように、年齢に比例し、どんどん選手が減っていく構図になっています。
つまり、早い段階で結果を残すことが求められるスポーツなのです。
野球は他の競技に比べてかなりの早熟性が求められます。
これは他の競技と大きく異なる点だと思います。
これは統計ではなく、私の感覚の話になるのですが、多くの方が共感してくれるのではないのでしょうか?
このような問題について広尾晃氏はブログで多くの意見を出してくださっているので、ぜひご覧ください。
「野球崩壊」という書籍もぜひ読んでいただきたいと思います。
〇選手の可能性を信じて指導に当たることが重要!
当然、高校野球でピークを迎え、ほとんどの選手が選手人生を終えてしまうようなこの特殊なスポーツ環境は良いことではないとは思います。
そこを変えることはなかなか難しいでしょうが、指導者、そして保護者の方にはぜひ意識していただきたいことではないでしょうか。
「少年野球で結果が出なかったから」、「中学野球で結果が出なかったから」この辺りはただ単純に身体が出来上がっていないからかもしれませんよ?
誕生月から来る不利かもしれません。
特に低学年では月齢の差が大きいため、スポーツで活躍できるかどうかに大きな影響を与えます。
プロ野球選手の誕生月を調査した方がいらっしゃるので引用します。
今日は野球選手の誕生月について1950年から2007年までのデータを紹介します。
データは、この間の58年間に新入団した日本人選手が対象です。4月 615人
5月 569人
6月 517人
7月 555人
8月 506人
9月 447人
10月 404人
11月 325人
12月 303人
1月 360人
2月 300人
3月 251人プロ野球選手は何月生まれが多い?: ベースボール・コンディショニング
より
明らかに4月生まれが多く、早生まれの選手が少なくなる傾向がありますよね。
プロ野球選手くらいの年齢になれば月齢の差なんてありませんよ。
この数字はどういうことを表しているかというと、
低学年時(主に小学生~中学生)に月齢の差が主な原因で活躍できなかった選手が早くに競技を辞めてしまっていることを表しているのです。
これを確率で表してくださった方がいまして、そちらも引用します。
4月 136,231
5月 141,859
6月 145,921
7月 152,245
8月 173,300
9月 203,248
10月 220,423
11月 271,232
12月 278,574
1月 323,027
2月 324,451
3月 429,033
Yahoo知恵袋の回答者の方が計算してくださったのですが、その月に生まれた人のうち何人に1人がプロ野球選手になれるのかという数字です。
これを見ると4月生まれは3月生まれの3倍プロ野球選手になりやすいことが分かります。
ちなみに、アメリカでは9月が新学期のスタートなので8月生まれのメジャーリーガーが多いそうです。
少年野球で活躍できなくても、中学野球で活躍できなくても、そこから身体が大きくなったり、身体の使い方を覚えたりして高校野球以上のステージで活躍できる選手はたくさんいます。
また、高校野球で活躍できなくとも、さらに上のステージで活躍できることだってあります。
指導者はたとえすぐに活躍できなくとも、その選手が先のステージで活躍できることを信じて指導に当たって欲しいと思います。
また、保護者の方も「うちの子は下手くそで・・・」などと思わずに、これから伸びるんだと信じてあげてください。
そういった指導者や保護者の方の支えがあれば、野球界からの早期離脱は減っていくのではないでしょうか?
↑こちらの阪長氏の著作では目先のことではなく、選手の将来を見据えた指導方法が丁寧にまとめられています。
かなり参考になる書籍ですのでおすすめです。
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