外野手の捕球の仕方はどう指導するのが正解なのでしょうか?
右足前?左足前?どっちが正解!?
おすすめの方法を丁寧に解説します!
〇外野手の捕球体勢!
イチロー "レーザー・ビーム" 実況英文付き "Laser Beam" Ichiro Suzuki
超有名なイチロー選手のレーザービーム動画です。
久しぶりに見ると、笑っちゃいますね!
すさまじい送球です。
しかし今回は、イチロー選手がテーマではなく、レーザービームもテーマではなく、外野手が捕球する体勢はどうしたら良いのかがテーマになります。
以前、こちらの記事で紹介したのですが、野球YouTuberのトクサンが外野手の捕球の仕方についてアップした動画が参考になります。
千葉ロッテM岡田流!外野ゴロ捕球の極意…ポイントは「10・7・8」
こちらの動画で、外野手が捕球する際には
「チャージが10、捕球する前に7、送球が8」
といった形でスピードをコントロールすると上手に捕球から送球までできると解説されています。
先のイチロー選手の動画を見ると「10・9・9.5」くらいの感じですが、少し捕球直前にスピードを落として打球に合わせているのが分かります。
レベルが上がるほどスピードを落とさずに捕球できるようになりますが、指導する際には「10・7・8」から始めると良いと思います。
この捕球までのチャージの仕方以外にも、
捕球する際には「右足が前」なのか、「左足が前」なのか議論になることがありますよね。
今回はこの点について考察してみたいと思います。
※右利きの外野手の設定で書いていきますので、左利きの選手は逆に考えてください。
〇外野手の捕球は右足前?左足前?
さて、プロ野球選手の例を見てみましょう。
外野手の強肩・レーザービーム集/Strong arm & Laiser beam Collection of OutFielder
ちょっと分かりにくいのもありますが、ほとんどの選手がゴロの場合、右足前(利き手側の足が前)で捕球しています。
先のトクサンの動画でも、特に触れられてはいませんが、右足前で捕球していますよね。
昔は左足を前にして捕球している選手が多かったような気もするのですが、現在はゴロに関しては右足前が主流です。
打球にうまく合わせることができず、左足が前になってしまうこともあるのですが、多くのプロ野球選手が右足を前にして捕球しています。
今回の記事を書くにあたって、いろいろな動画やブログ記事をチェックしたのですが、ほぼ全て右足前を推奨していました。
特に分かりやすかったこちらの記事を紹介します。
外野手の場合は
フライ捕球とゴロ捕球の際の
足の運びは逆になります。以前、
フライ捕球を紹介した際は左⇒右⇒左
の順でステップを踏みましょうと
紹介しましたが
ゴロの場合は逆足からとなります。ですので
捕球後の踏み出しは『右足』から
行なうようにしましょう。
そうする事で
右⇒左⇒右⇒左
と4歩でスムーズに
素早くスローイングに
繋げていく事ができます。この3点を押さえる事で
ゴロ捕球からスローイングまでの
動作を素早く行なう事が
可能となります。外野手 ゴロ捕球から素早くスローイングに繋げる為に必要な事! | 野球専門・動作解析サポート BASEBALL ONE - 愛知県名古屋市緑区大高町寅新田 より引用
この記事を見ると、なぜ右足前が良いのかが分かります。
右足前の場合、
ステップを一歩減らすことができる=「早く送球ができる」ということなのです。
右足前の場合、最初に出した右足が1歩目とすると、記事にあるように「右→左→右→左」のステップで送球ができます。
左足前だと、「左→右→左」の3歩で送球することはかなり難しいので「左→右→左→右→左」で5歩になってしまうため、右足前よりも遅くなってしまうのです。
動画はクーニンさんのこちらが分かりやすいと思います(ただし、テロップが間違っているので注意してください。解説は合っています)。
この動画の中で、最後に左足前の捕り方が出てくるのですが、そこでもはっきりと「左足前だと1ステップ多くなる」と言われていますね。
この1歩のために右足前が一般的に推奨されているということになります。
現在では多くの高校でもこのように指導されているようです。
〇それでも田口は両方練習することを推奨!
しかし、私は少年野球や中学野球では左足前で捕球する練習もすることをお勧めしています。
なぜ右足前だけではなく、左足前で捕球する捕り方も指導するかというと、以下のような理由があるからです。
①キャッチボールの基本として左足前で捕球するように指導される!
…みなさんキャッチボールを指導する際に左足前で捕球するように指導するはずです。
キャッチボールの基本ポイント姿勢・投げ方・捕り方:仁志敏久が教える野球講座
「左足を若干前でつま先を踏み出すように捕球し、ステップにつなげよう」
と私は指導しています。
上の仁志氏の動画でも「半足くらいグラブの方の足を前に出す」とおっしゃっています。
このように、野球の基本であるキャッチボールで左足前が基本になり、これを定着させるべく日々練習するわけです。
外野手でもフライはキャッチボール同様に左足前で捕球します。
外野手のゴロのときだけ右足前というのは、野球経験の浅い選手たちには少し難しいことになると思いませんか?
↑キャッチボールにはかなりのこだわりがありますので、こちらの記事をご覧ください。
②内野守備のステップも基本は左足前になる!
…キャッチボール同様、内野手の守備でもステップの基本は左足前になります(ゲッツーの際に例外的に右足前で捕球することもあります)。
守備の名手、オリックスの安達選手です。
まあ、彼だけではありませんが、左足前でしっかりと捕球していますよね。
私がよく心がけているのはその選手の可能性をできるだけ狭めない指導です。
少年野球、中学野球で外野手をやっていたとしても、上のステージでは内野手に挑戦するということもありますよね。
また、低学年時は外野手だったけれども、学年が上がり内野手になるということもあります。
そういった場合に、日々外野手の練習で右足前の捕球を続けていると、もちろんその捕球方法が定着していきます。
そうなってからコンバートした際、今度は左足前の捕球を定着させなくてはいけないのです。
基本が出来上がっている高校生くらいなら十分に対応できると思うのですが、まだまだ経験が不足している小学生や中学生にはなかなか酷なことだと思いませんか?
中学生くらいまでは守備位置を固定しない方がいいと思っていますし、それであれば、「内野のときは左足前、外野のときは右足前」ではなく、外野手のときも両方の捕り方を指導してあげて、左足前が捕りやすい選手はそのままでも良いのではないかと思います。
③そもそも右足前での捕球は難易度が高い!
そして、そもそもなのですが、
右足前での捕球は、左足前での捕球よりも難易度が高くなります。
体勢的に右足前での捕球の方が捕球位置が後ろになるので、キャッチする瞬間までしっかりと見て捕球するということが難しくなります。
野球経験が長くなってきて守備が上手になってくると、ボールの弾み方も経験則で分かるようになってくるので、ボールを最後まで見れなくてもグラブに打球が入るようになってきますが、まだまだ経験が浅い小学生や中学生にはなかなか難しいことになってしまいます。
難易度が高いので、捕球に意識がいってしまい、先に挙げた「10・7・8」のチャージから送球の流れもなかなかできません。
「10・5・6」くらいまでスピードが落ちてしまう選手も多いです。
また、打球を怖がり、グラブが身体の外側に行ってしまい、後逸してしまうミスも増えやすいです。
以上の理由から私は、外野手であっても右足前と左足前、両方の捕り方のメリットとデメリットを説明した上で、はじめは両方の捕り方を練習することをおすすめします。
その上で自分に合った捕り方を選択するようにしてはいかがでしょうか。
ただし「上のステージに上がった際に外野手は右足前で捕球するように指導されるであろうこと」と「それでもなぜ左足前での捕球も勧めるのか」については選手+保護者の方々に丁寧に説明するようにしています。
丁寧に説明すれば、選手たちも分かってくれますし、ある程度野球経験のある保護者の方も理解を示してくれます。
これはあくまでも私のおすすめの指導法ですが、参考にしてみてください。
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