野球の攻撃時の作戦は無数にありますよね!
どの作戦を実行するかは指導者の能力が問われるところです!
攻撃時のサインプレーをまとめましたので、自分のチーム、選手に合った作戦を考えてみてください!
〇攻撃時のサインプレー、戦術を把握し、チームに合った戦術を選択しよう!
みなさんのチームでは攻撃時のサインは何種類くらいありますか?
これは選手が理解し、効果的に実行できなければ意味がありませんから、多ければ多いほどいいということでもありませんが、サインが多いということは戦術の幅が広いということを指します。
戦術の幅が広ければ広いほど、相手チームとしては想定しなければいけないことは増えますから、対応が大変になっていきます。
サインが増えれば増えるほど、サインプレーの練習に割く時間は増やさなくてはいけなくなりますが、その分、強くなる可能性もあるわけです。
今回は私が過去に利用したことのあるサインプレーを思い出せるだけ全部掲載してみますので、チームの状態を見て、これは採用できそうだと思うものがあれば参考にしてみてください。
中には難易度が高いサインプレーもあるので、チームのレベルによっては採用が厳しい場合もありますので、指導者の方が取捨選択してみてください。
では、順に紹介していきます。
1、盗塁系
・通常の盗塁
…これはピッチャーが足を上げたらスタートを切るという通常の盗塁です。
足が速いランナーであればこの通常の盗塁のサインを選択すれば良い場合が多いです。
バッテリーとの勝負になりますので、ピッチャーがクイックが上手でキャッチャーも強肩などという場合は選択しない方がいい場合もあります。
・ディレードスチール
…ピッチャーが投げた後にスタートを切る特殊な盗塁です。
詳しくはこちらの記事を見ていただきたいと思います。
基本的にはギャンブル性のある盗塁です。
バッテリーや内野手に隙があるとき、もしくはバッテリーとランナーとの力関係をよく見て、通常の盗塁ではアウトの可能性が高いが、何としても2塁に進ませたいときに選択してください。
普通に盗塁してもセーフなのにディレードスチールを選択すると却ってアウトになる可能性が高まります。
ちなみに、ランナー1・3塁の場合、1塁ランナーはディレードスチールにすると盗塁の成功率は高いです。
注意点として、ピッチャーのボールが高めに浮いているときはやらない方がいいです。
キャッチャーが捕球した際に投げやすい姿勢になってしまっていることが多いからです。
・フライングスタート
…ピッチャーが投げる前にスタートを切る高度な盗塁です。
こちらの記事にもありますが、3盗の場合はこのフライングスタートでないとなかなかセーフになりません。
《Best Scene Selection》思わずドヤ顔!? 三盗成功まとめ
こちらの動画がすごく分かりやすいですね。
3盗のときだけではなく、もちろん1塁からの盗塁でも用いることができます。
ピッチャーのセットの長さを測っておくことが成功への近道です。
※2塁ランナーのリードについてはこちら。
・ホームスチール
…プロ野球などでは滅多に見られませんが、中学野球では意外に多く用いられる作戦です。
こちらの記事で特集していますが、これは絶対に練習しておくことをおすすめします。
試合で実行するかどうかは別にして、練習しておくことで守備に回った際に対策できるようになるからです。
↑3塁ランナーのリードはこちらです。
・ダブルスチール
…ランナー1・2塁もしくは1・3塁などで採用される作戦ですが、サインを出す場合、1・2塁の場合は通常の盗塁やフライングスタートとサインを変える必要は無いと思います。
したがって、ダブルスチールとしてサインを出すのは1・3塁の場合になるでしょう。
この場合は1塁ランナーがわざと挟まれて3塁ランナーがホームを狙うパターンが主流になります。
挟まれて欲しくない場合は盗塁のサインを出して、3塁ランナーはそのままにしましょう。
盗塁に関しては他にも特集記事がありますので、以下の記事も参考にしてみてください。
2、バント系
・通常の送りバント
…普通に最初から構えてランナーを送るバントです。
基本的には自分はアウトになって良いので、ランナーを確実に送って欲しいときに使うサインです。
私は最初のスタンスを0%、50%、100%の3種類に分けていました。
0%は最初はヒッティングの構えで、そこからピッチャーがモーションに入る前にバントの構えに移行するスタンスのことです。
バスターではなく、極端なバントシフトを取られたくない場合に用います。
50%はピッチャーに正対せずにヒッティングの際の足の位置と同じ状態でバントの構えをします。
そこからピッチャーに正対しても構いませんし、そのままのスタンスでできる選手はそのままします。
50%はバスターを警戒させることができます。
100%は初めからピッチャーに正対して行うバントで、一番成功率が高くなります。
何が何でも送りたい場合は100%のバントで良いと思います。
バントの際の立ち位置についてはこちらの記事も参考にしてください。
・セーフティバント
…自分が生きることを狙うバントです。
ランナーがいないときも狙えますが、ランナー2塁でサードが深い場合なども有効です。
ボール球は絶対にやらないように練習から徹底しましょう。
こちらの記事を参考にしてみてください。
・バスター
…バントの構えからヒッティングを行う作戦です。
相手が極端なバントシフトを取ってきた場合に有効です。
バスターの際にはテイクバックを大きく取ると振り遅れることが多くなるので、テイクバックを小さくし、コンパクトにスイングすることをおすすめします。
ゴロを狙わせるかどうかはチームで徹底するようにしてください。
基本的にはゴロを打つように指導するチームが多いような気がしますが、ランナーがスタートするわけではないので、私はコンパクトに振ってくれれば構わないと指導しています。
面白いように決まるトクサン流バスター!創価大学の技術を全公開!
・スクイズ
…ランナー3塁で行う作戦です。
ピッチャーがモーションに入ってからランナーがスタートし、バッターがバントの構えをして、ボール球であってもバントするのが特徴です。
中学軟式ではランナー3塁でエンドランを採用しているチームも多いです。
2ストライクから実行しづらいので私はあまりやりませんでしたが、エンドランと併用するといいのではないかと思います。
ちなみに私はスクイズであっても最初から構えておくことをおすすめしています。
派生でセーフティスクイズという転がってから行うスクイズもあります。
これは高校野球で多く用いられている作戦ですが、軟式野球だとバントの打球もけっこう強く転がってしまうのでなかなか決まりにくいです。
また、責任の所在が曖昧になるので、私は個人的にはあまり好きな作戦ではありません。
↑その点についてはこちらの記事をどうぞ。
3、エンドラン系
・ 通常のエンドラン
…ランナーがスタートを切り、バッターがヒッティングを行う作戦です。
特にランナー1塁だとショートセカンドがセカンドベースに入る動きをするのでヒットゾーンが広がるので有効です。
この作戦はそこまで説明は不要かもしれませんね。
通常はゴロを狙う作戦になります。ランナーは横を見て走り、インパクトの瞬間を見逃さないようにしてください。
エンドランを上手に決めるアドバイスはこちらの記事をご覧ください。
・バスターエンドラン
…ランナーがスタートを切り、バッターはバスターを行う作戦です。
相手がバントシフトを敷いているときにかなり有効です。
一度実行するとバントシフトがかなり敷きづらくなるのでリスクはあるものの相手は嫌な作戦です。
・バントエンドラン
…バスターエンドランとは逆に相手がバントをあまり警戒していない場合に有効です。
たとえば、2アウトランナー2塁でサードが深く守っている場合などにはかなり有効です。
一気にホームまで狙えることもあります。
基本的にはバッターはセーフティバントを行います。
・ランナー3塁のエンドラン
…これはもう軟式野球ならではの作戦ですよね。
軟式野球では打球が高くバウンドしやすいことと、逆にバントが難しいことが相まって登場した作戦です。
硬式野球ではバントが比較的容易ですし、ヒッティングをすると打球が速くて低いので本塁で封殺される可能性が高いので採用しない方がいいと思います。
また、単純に硬式野球だと打球が走って来るランナーに直撃したら大変なことになります。
2ストライクから実行し、ファールになってもアウトにならないのもポイントです。
・セーフティエンドラン
これは上の動画でもやっているのですが、スタートを若干遅らせて行うランナー3塁からのエンドランです。
私はランナー3塁でエンドランを行う場合は基本的にこの作戦を採るようにしています。
やり方はそれほど難しくなく、キャッチャーがウエストしないのを確認してスタートを切るだけです。
ウエストされてアウトになることはありませんが、バッターが空振りするとアウトになるのはエンドランと変わりません。
ランナーの足があまりにも遅い場合は、野手の正面を突くとアウトになるので通常のエンドランにした方がいいと思います。
・ゴロゴー(ギャンブルスタート)
こちらもランナー3塁で用いられる作戦です。
正確に言えばエンドランの一種ではないのですが、こちらに掲載しました。
ランナーはバッターのインパクトと同時にスタートを切るギャンブル性のある走塁になります。
2008 日本シリーズ 第7戦 埼玉西武ライオンズ 8回表の攻撃①
こちらの元ジャイアンツ片岡氏の動画が非常に分かりやすく、見本となるゴロゴーです。
ゴロゴーについてはこちらの記事もご覧ください。
ウェイト系
・待て
…ウェイト(待て)のサインが無いというチームをよく見ますが、ウェイトのサインは絶対に必要です。
ピッチャーが全くストライクを入らないときに簡単に打ってしまうとピッチャーを助けてしまうことになります。
ランナー3塁で本当はスクイズやエンドランをしたいのに、初球で打ってしまう選手なんかもいます。
こういった指導者と選手の意志疎通をうまくやるためにはウェイトのサインは必要です。
最初の通常のウェイトのサインではしっかりとタイミングを取って、次のボールのヒッティングに繋げられるようにしましょう。
具体的には3-0、3-1などのカウントで出すことが多いと思います。
・盗塁の援護をして待て
…これはランナー1塁のケースで多く用います。
ウェイトなのですが、盗塁のサインとセットで使います。
ただタイミングを取って待つのではなく、バントの構えをしてもいいでしょうし、打席の一番後ろに立ってストライクなら空振りしても良いと思います。
ただし、守備妨害だけはしないように気をつけましょう。
服部政樹(東芝) 市川和樹の盗塁時にキャッチャーへの守備妨害でアウト 投手:大城基志(JX-ENEOS) 20130722
現行のルールでは打席から踏み出すと簡単に守備妨害を取られます。
この動画は完全に守備妨害ですね。
危険なプレーなのでやめましょう。
・バントの構えで待て
…これはバントの可能性があるケースで用います。
たとえば、0アウト1塁や0アウト2塁の際に使用することが多いです。
この後、バントをするのだけれども、前のバッターに全然ストライクが入っていなかったので1球様子を見たい場合。
バントシフトが敷かれているので、この後にバスターをするのだけれども、その前に「確実にバント」だと餌を巻いておきたい場合。
そういった場合に用います。
・バスターの仕草をして待て
…今度は逆です。
バントをしたいのだけれども、あまりにバントシフトが厳しい場合などに、1球バスターをするまねをするとバスターも頭に入れなくてはいけないので、バントシフトが少し緩むことがあります。
・スクイズの構えをして待て
…これはランナー3塁限定ですが、スクイズの構えをして揺さぶります。
普通のスクイズのタイミングよりも若干早めに構えるとピッチャーが暴投してくれることもあります。
また、これに合わせて3塁ランナーも偽装スタートを切るとさらに効果が高いです。
ランナーはくれぐれもアウトにならないようにしてください。
↑偽装スタートの記事はこちらです。
〇指導者がチームや選手を見極めてサインを使い分けよう!
以上、攻撃時のサインプレーを挙げました。
最初に述べましたが、これらを全て使用しろと言うことではありません。
戦術のバリエーションが多いほど相手は嫌ですが、チームができない作戦を選択してもうまくはいきません。
練習でやってみて、チームや選手に合った戦術を指導者が取捨選択すべきだと思います。
※ちなみに現在、私のチームは選手が考えて動けるように、ノーサインで野球をしています。
また、サインプレーは公式戦において、責任を取るのは指導者です。
選手に作戦を成功させるには、ある程度楽な気持ちで臨ませる必要があります。
こちらの記事にその辺りにまとめています。
ぜひ選手が作戦を決めやすい指導者の雰囲気を作って欲しいと思います。
また、サインはブロックサインとは限りません。
甲子園クラスになると声がなかなか伝わらないですからブロックサインにせざるを得ないと思うのですが、中学野球では「数字サイン」もおすすめです。
また、サイン確認時にアウトカウントを確認する方法も以前記事にしていますので、ぜひご覧ください。
関連記事です。