2018年シーズンからプロでは解禁、アマチュアでは引き続き禁止となった2段モーション!
現場では規則改正によってややこしい事態も出てきています…。
〇2018年シーズンから2段モーションの規定が変更!
2018年シーズンから2段モーションに関する規定が変更になっています。
もともと2段モーションはバッターを欺く行為として、日本独自に禁止されていましたが、国際ルールと同様にするため、2018年シーズンから解禁となりました。
イリーガルピッチにならないというルールに変更になったわけです。
しかし、ややこしいことにアマチュア野球ではアマチュア野球規則の注釈で2段モーションはこれまで通り認めないという決定がなされました。
これによって、プロ野球とアマチュア野球で2段モーションに関する取り扱いが異なることになってしまいました。
ただ、アマチュア野球でも「認めない」とする一方で、野球規則上はイリーガルピッチでは無くなったために、「ボーク」を取ることができなくなりました。
アマチュア野球で2段モーションが確認された場合、審判から注意されることになります。
今回はシーズンが始まり、この変更によって生じた不都合について書き記したいと思います。
〇個人的には2段モーション容認派だが…
以前から書いていますが、実は私個人は2段モーション解禁賛成派です。
理由としてはこちらの記事に詳しく書いています。
要するに、2段モーションはバッターに影響はほぼ無く、より良いボールを投げるピッチャーの工夫として認められるべきだという考えです。
アマチュア野球規則委員会の見解としては2段モーションは「ピッチングを良くする効果は認められない=欺くために行っている」とのことですが、決してそんなことはなく、ピッチャーによっては2段モーションの方が強いボールを投げることができると私は感じています。
個人的にも2段モーションの方が股関節を使いやすくて投げやすいですし、元横浜の三浦投手や現在はMLBの岩隈投手のように、2段モーションを禁止されて成績が下降する投手もいるのですからこれは明らかだと思います。
要するに個人的にはバッターを欺くためでなければ2段モーションは認められるべきだという考えです。
こちらの座談会が私と似た意見が出ていて、非常に参考になるので、ぜひ目を通してみてください。
中根 バッターからすると、二段モーションに関しては、まったく影響ない。投げる度に投球モーションを変えるっていうのはインチキだと思いますけど、二段だとしても常に同じタイミングで投げてくることに関しては、まったく問題ない。二段だから打てない、タイミングが取れないということはない。投手が自分のタイミングで投げていれば、バッターはそれに合わせればいいだけ。一段だろうが、二段だろうが、そこは関係ないですね。
佐野 その意味では、二段モーションよりも毎回違うタイミングで投げるピッチャーの方が打ちにくいでしょうね。でもそれはズルい。セコいですよ。
中根 そう。クイックが腹立つんですよ。ランナーなしの状態で、いきなりクイックで投げてこられると打てない。そう思ってクイックのタイミングに合わせると、今度は足を上げてゆっくりと投げてきたりして……。チョコ(前田幸長/元ロッテほか)がそうだった。あれは困った。
https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201806210005-spnavi より
ここにあるように、2段モーションだけで投げ続けた場合、打者に不利はないと思うんですよね。
〇実際にあった困った例…
ですが、ルールはルール。
アマチュア野球では引き続き禁止ということですから、もちろん自身のチームの投手には2段モーションをしないように指導してきました。
市内の顧問会でも、審判部の先生を中心に2段モーションに関する扱いを確認して市内大会に臨んでいます。
ところがです。
3年生最後の都大会をかけた大会で、私のチームが対戦したチームの中に主戦投手が2段モーションのチームがありました。
際どいとかではなく、典型的な2段モーションです。
ブルペンのときから気付いていましたし、球審に相談しても良かったのですが、個人的には先にも書いたように「2段モーションによるバッターの不利は無い」と考えていますし、何よりも3年生最後の大会。
2段モーションを指摘されて本来のピッチングが出来ないまま敗退となれば可哀想という気持ちがあり、こちらから指摘はせずに審判団に任せることにしました。
試合は息詰まる投手戦になりました。
初回に失点した私のチームが追う展開となりました。
審判団は2段モーションは取らず、スルー。
試合後に私から「2段モーションは直さないと今後注意されてしまいますね」と本部で話題にしようと思っていました。
しかし、試合途中からちょっと困った事態になってしまったんです。
序盤はしていなかった、2段モーションとクイックを混ぜる投球を始めたのです。
これはちょっと個人的にも「バッターを欺く行為でしかない」かなと感じ、球審に話しました。
「2段モーションはまだいい。でも意図的に2段モーションとクイックを混ぜるというのはバッターを欺く行為なのではないか。」
簡単に言うとそのようなことを伝えました。
しかし、返答は次のようなものでした。
「試合開始後、ここまでピッチャーのモーションは流されている。つまり2段モーションではない。普通の投球の中でクイックを混ぜることは問題ではない。」
確かにその通りと言えばその通りです。
注意されていないのだから2段モーションは存在しないわけです。
私としては私と同様に審判団も「教育的な配慮」として2段モーションを容認したものと思っていました。
実際、試合後に本部で確認したところ、ほとんどの方がそのように「ここまでスルーしてきてしまっているから‥」とおっしゃっていました。
その後は球審にも認められたので、2段モーションにクイックを混ぜ、さらには3塁ランナーがいる際にも2段モーションで投げ(これはさすがに注意して欲しかった)、こちらはかなりの苦戦を強いられました。
最終的には6回と7回にホームランが飛び出してサヨナラ勝ちしたのですが、2段モーションについていろいろと考えさせられる試合でした。
〇指導者にも問題はあるが、ルールにも問題があるのではないか?
試合後に本部で先生方が揃って確認したところ、やはり注意すべきだったとまとまりましたが、疑問に感じる点も。
もし仮に注意されたとしても、イリーガルピッチではないわけですから罰則がありません。
たとえば突然の2段モーションで投じられたボールを凡打してしまった場合、どうなるのでしょうか?
詳しい方がいたら教えていただきたいのですが、現行のルールではアウト後に注意されて終わるのではないでしょうか?
ランナーがいる際に2段モーションをした場合も注意だけで終わるのでしょうか?
今回の試合では3塁ランナーがスタートを切りづらそうだったのでエンドランを仕掛けるのをやめました。
アウトになったわけではないので、パッと見では影響がないように思われるかもしれませんが微妙に影響はあったわけですよね。
もし仮にスクイズが想定される場面で急に2段モーションからの牽制をしてアウトにした場合、審判団が気が付かなければアウトになり、気が付いた場合は投手に注意のみで終わってしまうのでしょうか?
ランナーがいる場合は引き続き禁止となってはいますが、ボークではないわけですよね?
※追記
http://jsbb.or.jp/.../0bf147f1eb94ab2ebe49ba3aaae644e7.pdf
こちらから確認できますが、ランナーがいる場合の2段モーションはボークとなります。
私を含め、認識不足だったと思います。
ただ、やはりランナーなしの場合に2段モーションで凡打を打ってしまった場合には罰則が無いようです。
指導者の問題なのかもしれませんが、今回対戦したチームの指導者の方は個人的には良いイメージをもっていて、指導者の指示でやっているのではなく、選手が考えてやっていたのではないかと思います(もちろん、指導者の責任ではあります)。
もちろん、指導者の認識不足、審判の不手際などあったのは間違いないのですが、現行のルールにも問題があるのではないかと感じました。
また、プラスして2段モーションだけならまだしも、クイックと混ぜてタイミングをずらそうとするような行為が行われるからどんどん野球規則が細かくなるんだなと実感もしました。
2段モーションが禁止なら禁止でいいので、禁止にするのであれば昨年までのようにイリーガルピッチとして扱わないとややこしいことになるのではないでしょうか?
解禁するのであれば、当たり前のマナーだと思うのですが、常に2段モーションで投げることという記載が必要でしょうね。
おそらく、今シーズンは現場で多少混乱すると思うので、もう少し分かりやすく野球規則を見直していただきたいと思います。
というか、決定事項はちゃんと確認して、守りましょうね。
みなさんの地域でもこういったややこしい問題が起こっていたら聞いてみたいです。
【追記】
2020年の規則改正で2段モーションは完全解禁となりました。
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