リリースに課題がある選手はそれなりに多い!
それに対してどんな指導をしますか!?
リリースは本当に細かい感覚の部分なので、注意して指導しましょう!!
〇リリースの指導は注意しないとイップスに…
投手のみならず、リリースに課題のある選手は非常に多いです。
アーム式の投げ方をするためにリリースが安定しない選手も含めればかなりの数に上ると思います。
一番良いのは初心者の段階から投げ方をしっかりと指導し、できるだけリリースに課題を作らないことです。
この時におすすめなのが、馬見塚先生が『野球医学の教科書』の著作内で紹介している「逆フェーズ法」です。
新版 「野球医学」の教科書 《The Baseball Medicine》
- 作者:馬見塚 尚孝
- 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
- 発売日: 2019/02/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
↑こちらの本の中で詳しく解説されています。
私もスローイング、ピッチングの基礎として取り入れています。
「逆フェーズ法」から入るとそれほどひどい癖がつくということはなかなかありません。
私は「全員を投手として育てる」ことと、「ケガをさせない」ことを指導する上で気を付けているのですが、その点でも「逆フェーズ法」はかなり優れていると思います。
↑全員をピッチャーに挑戦させる記事はこちらです。
↑肩・肘の故障を避ける記事はこちらです。
ただ、中学野球や高校野球を指導していると、そのカテゴリーに進んできた段階で、すでに投げ方が大変なことになっていたり、リリースに大きな課題をもっていたりする選手も一定数いますよね。
そうした選手は、指導者が介入して良いフォーム、良いリリースに改善する必要があると思います。
もちろん、そこでも「逆フェーズ法」は有効ですが、指導する際に注意して欲しいことがあります。
それは、あまり「細部に触れない」ということです。
↑こちらの記事でも触れています。
理想は
「選手の動作の細部に触れず、改善するための練習を与え、それをこなしていく中で知らず知らずのうちに改善されている」
というのがベストだと思います。
細部に触れてしまう、つまり
「リリースのときにボールを弾くように」
「肘を前に出して肘から投げるように」
などといった細部に関わる具体的な指示を出すことで改善を図ろうとすると、イップスになってしまう恐れがあります。
【投球障害】MAX143kmだった僕がイップス発症して1年経った現在の姿…。
↑こちらの動画のような症状がイップスです。
私も中学生のときになったことがあるのですが、正直自分ではなかなかどうしようもありません。
治すことが難しいので、ならないのがベストです。
普段無意識で行っていることを意識化しようとするとぎこちない動きになってしまうことがあります。
たとえば、まばたきを意識してみてください。
途端にまばたきしづらくなってきますよね?
リリースの際の指や肘の動きもほとんど無意識で行っています。
あまりに意識をしてしまうと良くない方向に出る選手が多いです。
↑イップスについてはこちらの記事もご覧ください。
〇リリースを改善するためにおすすめな練習!
ということで、リリースの課題を改善するためには
「選手の動作の細部に触れず、改善するための練習を与え、それをこなしていく中で知らず知らずのうちに改善されている」
のがベストだと思います。
そこで、知らず知らずのうちにリリースが改善されていくおすすめの練習をいくつか紹介します。
1、天井投げ
まずはすでに過去記事で紹介している「天井投げ」です。
こちらは仰向けになって投げることで、肩を使わずに肘から先で投げる練習になります。
体勢的に自然と肘から出てくる形になるので、特別にリリースをどのようにするか指示を出さなくともリリース改善の練習になります。
ただ、手首だけ使って投げるとあまり意味のある練習にはならないので、リリース直後に肘から先が伸びているかはチェックしてください。
↑肘から先がしっかりと伸びていますね。
こちらの動画の2分くらいからをご覧ください(別件ですが、タクトTVさんめっちゃ参考になります!)。
ダーツを投げるような姿勢でボールを投げます。
イップスになる選手は技術的にテイクバックに課題があることが多いと感じていて、そこの修正に使えるドリルです。
4~5mくらいの短い距離で構わないので、キャッチボールのメニューに組み込むなどして日々反復練習をしてみてください。
3、ラグビーボール投げ
ラグビーボールを投げます。
正直、ラグビーやアメフトはさっぱりよく分からないのですが、ラグビーボールを利用して、綺麗なジャイロ回転で投げられるように練習をしましょう。
はじめは遠くまで投げる必要はないので、両足を肩幅くらいに開き、足を使わずに5mほどの距離で練習します。
ラグビーボールを使う理由ですが、ラグビーボールの性質上、ボールを持って投げようとすると自然に肘が前に出てきます。
小指が投げる方向を向くためです。
そのため、ラグビーボールを正しい回転で投げようと試行錯誤しているうちに、勝手に肘から先の使い方が正しくなっていくというわけです。
ある程度上手になったら距離を伸ばしていくといいと思います。
ただし、ラグビー選手になるわけではないので、おもちゃのラグビーボールで構わないと思います。
私はたまたま100均のお店でおもちゃのラグビーボールを見つけたのでまとめ買いしました。
ただ、最近はいくら探しても売っていません…。
4、パラボリックスロー
こちらのパラボリックスローもおすすめです。
パラボリックスローは放物線を描くように目標に投げる練習で、どこでもできるのが良い点です。
放物線を描くように投げることで、肘が下がりにくくなります。
また、目標に向かって投げることで、リリースの感覚をつかみ、制球力をアップさせる効果があると言われています。
以上、リリースに課題がある選手におすすめの練習でした。
これらの練習を日々取り入れ、先に紹介した「逆フェーズ法」につなげていくと良いと思います。
リリースの課題はブルペンでの投球練習を繰り返してもなかなか改善しません。
地道な努力になってしまいますが、今回紹介した練習にぜひ取り入れてみてください。
ピッチング指導チェックリストはこちらです。
こちらの記事もぜひご覧ください。
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