野球部の練習時間は長くなりがち!
選手の身体を守るため、野球が魅力あるスポーツであるために、短時間で効率の良い練習を目指しましょう!
そのための工夫を紹介します!
〇なかなか無くならない異常な長時間練習!
『なぜ、野球部の練習は長いのか?』 | スポーツライフ・データ | 笹川スポーツ財団
こちらの記事にあるように、スポーツ庁は2018年3月に、部活動の長時間練習を改めるように指針を示しました。
2018年3月にスポーツ庁は「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を発表し、本格的に部活動改革への指針を示した。週当たりの休養日を平日1日、土日のどちらか1日の週2日と設定し、活動時間も長くとも平日2時間程度、学校の休業日は3時間程度と具体的な数字を提示した。
https://www.ssf.or.jp/report/sldata/tabid/1601/Default.aspx より
私の市では強制力のある形で通達などは出ていませんが、管理職からも生徒の負担を考えて練習を行うように言われています。
他の地域の先生方とお話をすると、本格的にこの指針を守るように市で決まっているというところも増えてきました。
私もこういった指針が出ている以上、選手の健康を守るためにも、同じ条件で戦うためにも、長時間練習は避けなくてはいけないと感じています。
「ブラック部活動」などという言葉が出来てしまったように、近年体罰や暴言の問題とともに、この長時間の練習も問題となっています。
野球部も長時間練習の代表のようになってしまっています。
先の記事によると、野球部の平均活動日数、活動時間は、ともに他のスポーツよりも長くなってしまっており、時代の流れから一番取り残されている部活動になってしまっています。
ここでは、なぜ長時間の練習がいけないのかという議論は省略させていただきますが、野球が魅力あるスポーツであるためにも、この問題についても真剣に向き合っていく必要があると思います。
↑こういった書籍がたくさん発売されています。長時間練習の弊害について考えたい方はぜひお読みください。
ちなみにガイドライン遵守の結果、私のチームがどうなったかはこちらです。
〇長時間練習を見直して取り組んでいるチームの紹介!
長時間練習を行わなくとも結果を出しているチームももちろんあります。
こちらの記事では、山梨県立都留高校野球部の取り組みが紹介されています。
都留高校の平日の練習を見ていると、16時30分から全体練習が始まり、ウォーミングアップ、キャッチボール、実戦形式のバント、ケースノックと進み、17時50分には選手が個別に練習を始めた。つまり、全体練習は1時間30分に満たないのだ。個人練習を終えた選手たちは、19時までにグラウンドを後にする。
練習時間を単に短く設定しているだけではない。効率を上げるために、例えばミーティングの時間を極力減らす努力をしている。高校野球の練習ではその途中や締めに監督が選手を集めてグラウンドでミーティングをすることがある。都留高校ではそのようなシーンは見られなかった。柏木監督は言う。「グラウンドは動くところ。ミーティングをやると効率が悪くなるので」
グラウンドでミーティングをしない代わりに、無料通信アプリ「LINE」を活用して、監督が気づいたことを文章にして、部全体で共有しているという。
柏木監督が短時間練習にこだわるのは、社会人野球の名門・日本生命時代の経験が大きかったという。
「練習の負担から肋骨を3回も疲労骨折したんです。大学時代は3時間ほどだった練習時間が社会人では朝から夕方まで続きました。要領よく対応している選手がいる中、僕はうまく適応できなかったんです」
練習しすぎてケガをすれば、結果的に練習ができなくなる。柏木監督は「頭を使う時間と体を使う時間を分けられれば、全体練習は2時間もあれば十分」と語った。
ミーティングをLINEで行うようにし、効率良く練習する取り組みを行っているそうです。
こちらの記事には甲子園出場校である彦根東の取り組みも書かれています。
彦根東は国宝である彦根城の堀の中に敷地があり、グラウンドは広くない。週に2回ほど、バッティング練習は近隣の室内練習場を借りる。
練習でのキーワードは集中力。そこに判断力が加わる。それがすべての行動につながっていく。村中監督は言う。
「野球に限ったことではなく、普段の生活の当たり前のことを当たり前にやる。文武両道と言われますけど、自主的にやらなければいけないことを把握して行動する。打てたか、投げられたかは目的ではなく、集中することが練習の目的。そうやって日々の生活をさせている。それは判断の練習です。判断は野球のなかだけではない。日常生活で正しい判断ができるかです」
こうして人間形成がされていく。
滋賀県有数の進学校。学校の定期試験が年に5回。実力テスト、校外模試、休み明けテストなどもある。
赤点だったら、土日など1日練習の日も午前中は勉強をさせる。部で教室を確保するのだという。
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/baseball/hs_other/2017/08/18/___split_37/index_2.php より
彦根東についてはこちらの記事で具体的な練習の流れがまとめられていますが、2グループに分けて効率良く練習を行う取り組みを行っているようですね。
このグループに分けて行う取り組みについては後述します。
〇まずは練習メニューの再検討を!
以前こちらの記事でも簡単に述べましたが、効率を良くするためのアイデアをまとめていきたいと思います。
効率良く練習をするためにまず大切なのは、練習メニューの精査です。
その練習メニューは必要なのかどうか?
当たり前のように行っているルーティンメニューも考え直してみてください。
私は2時間しか練習時間が無いとなったときに、遠投、バント、トスバッティングを廃止しました。
遠投は肩肘の負担も考え、毎日やる必要はないと判断。
バントはそもそも中学生に必要ないのではないかと考えを改め、トスバッティングは効果を疑問視するようになったため廃止しました。
その他にもシートノックも効率の点では良くないため、あまり行っていません。
シートノックを行う場合も「サードから順番に」というやり方はしていません。
↑やるとしたらこちら。
フリーバッティングも効率という点ではイマイチです。
日常的に行うには効率が良くないので、ロングティーやハーフバッティング、ネットに向かってのテニスボール打ちなどを行うようにしています。
このように練習メニューを再検討するのがまず一番です。
↑練習メニューを再検討する際におすすめの取り組みはこちらです。
〇練習メニューの再検討以外にも必要なことが…
効率を考える上で他にも大切なことがあります。
①場所効率を良くすること
②道具効率を良くすること
③指導者を有効に活用すること
が必要だと思います。
まず、場所効率についてはみなさん考えているでしょうか?
一日中グラウンド全面を使用できる野球部は少ないと思います。
私のチームも平日は陸上部、サッカー部、ハンドボール部と併用。ダイヤモンド+αの場所しか使用できません。
そんな中で部員全員が同時に内野でノックをする、全員がランニングをする、全員がティーバッティングをする、などとやっていたらスペースにかなりの無駄が生じます。
限られたスペースを効率良く使用するために、内野がノックをしている間に外野はネットに向かってバッティングをしたり、グループに分けて練習をしたりするなどの工夫が必要になると思います。
先に挙げた彦根東が2グループに分かれて練習をしていましたね。
↑こちらのグループ練習は効率良く行える上に、リーダーも育つのでおすすめです。
この考えを突き詰めていった私は、ウォーミングアップですら場所がもったいないと考えるようになってきました。
以前は外野で全員がウォーミングアップを行っていましたが、その間、内野が空いてしまいます。
20分程度アップを行っていましたから、20分もの時間貴重な内野が無駄になってしまっていたのです。
そこで最近は、アップ代わりにダイヤモンドを利用して走塁練習を行ったり、ノースローで内野ノックや外野ノックをアップ代わりにしたりする日も作るようにしました。
練習試合の際も同様です。
1時間くらい試合まであることが多いですが、ルーティンのようにアップ、キャッチボール、バント、ノックとやるのも非常にもったいないので、相手校に相談して、練習試合前に内野で走塁練習をしたり、ノックをしたりするようにしています。
もちろん、公式戦のときはそんなことはできないので、公式戦の練習として練習試合の開始前の時間を同じように過ごすこともありますが、チームによっては年間100試合ほどやっている練習試合全てそのように取り組む必要は全く無いと思います。
後述しますが、指導者の効率も良くないです。
また、道具効率についても考えなくてはいけません。
強豪チームなら別かもしれませんが、多くのチームでは道具が十分に揃っているとは言えない状況です。
たとえば、私のチームであれば、バットの数自体は全員分あるのですが、古い物も多く、試合で使用するバットは5、6本に限られています。
全員で素振りやバッティング練習をすると、普段使用しないバットを使用しなくてはいけない選手が増えてしまいます。
軟式球が変更になった影響もあって、現在はM号球もまだ十分に揃っていません。
キャッチャー道具も2セットしかありませんし、スタンドティーやノックバット、チームのミットなども全員が同じ練習をすると足りなくなります。
そこで、道具効率を考えても内外野分けて練習したり、グループで分かれて練習することをおすすめします。
最後に考えて欲しいのは指導者の活用の仕方です。
指導者も効率良く配置するように考えなくてはいけません。
ほとんどの中学校野球部では指導者は一人もしくは二人ではないでしょうか?
その少ない指導者をどう有効に配置するかが重要です。
たとえばランメニューを全員に課した場合、指導者は見守るだけのチームが多いようです。
それであれば、ノックを受けるグループとランメニューのグループに分けて交代で行う形にすれば、指導者は常に守備を見ることができます。
全員がランメニューをした後に、全員がノックとなれば、一人一人の守備を見る時間は短くなってしまいますよね。
全員のバッティングを見たいと思ったのであれば、たとえばグループ練習の中の1メニューにティーバッティングを入れ、そこにつく形にすれば良いと思います。
先の場所効率の話とも被りますが、練習試合のウォーミングアップの時間も、指導者はノックまで待機しているチームが多いと感じていますが、指導者を有効に使うという考えからいくと非常にもったいないですよね。
このように、短い時間で効率良く練習をするためには、効率の良い練習メニューを組むとともに、場所効率、道具効率、指導者の有効活用を再検討する必要があると思います。
〇まとめ
他の記事でも繰り返し述べていますが、野球は現在、プレー人口が減ってきており、このままではマイナースポーツに転落してしまう可能性があります。
現在の野球界には様々な課題があり、今野球に携わっている我々が変わらなければ、野球の将来は暗いものになってしまうかもしれません。
様々な課題がありますが、指導者一人一人がその課題に対して誠実に向き合い、解決策を考えていくことが重要だと思います。
今回の私の案はあくまでも一例ですが、参考になれば幸いです。
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