ピッチング練習ではどのようなメニューを行っていますか!?
いろんなチームを見ていますが、ピッチング練習=ブルペンでキャッチャーに向かっての練習となっているチームが多いです!
ブルペンに入ること以外にもすべきことがたくさんありますよ!!
〇ピッチャー練習はどのようなことを行っている?
「ピッチャーの練習はどのようなことを行っていますか?」
こういう質問をされたらどう答えますか?
私がいろんな方に質問をして一番多かった回答は
ブルペンでの投球練習をさせ、アドバイスをするというものでした。
他には、
・多種多様なランメニュー
・下半身中心の筋力トレーニング
・チューブトレーニング
・バント処理の練習
などの回答が多かったですが、ランメニューに関してはどのくらいの頻度、どのくらいの強度でやるかは指導者によってかなり意見が異なりますし、正解をここで導き出すのは難しいですから言及しないこととします。
※走り込みに関する記事はこちらをご覧ください。
また、下半身中心の筋力トレーニング、チューブトレーニング、バント処理の練習に関しては確かに必要な練習と言われることが多いですが、それがピッチング練習の中心になるかというと少し違うような気がするので、これまた今回は特に触れないことにします。
過去にそれらの練習についても触れてありますので、そちらを参考にしてください。
となると、ピッチャーの練習の中心はブルペンに入ってキャッチャーをつけての投球練習がほとんどを占めることになりますね。
果たしてこれは得策なのでしょうか?
ここから持論を述べていきたいと思います。
〇ピッチング練習=ブルペンに入ることではない!
ではピッチャーの練習はどのように行うべきなのか?
確かにブルペン入りして、そこで指導者がアドバイスを送ることは重要だと思います。
しかし、多くのチームでは指導者の数が限られています。
一人でチームを見ている中学校野球部もかなりの数あるはずです。
そうした時に、指導者がブルペンでバッテリーを指導した場合、その他の選手たちは自分たちで練習をすることになります。
たとえば、ブルペンで3組ピッチング練習をしたとしても、指導者が同時に見ることができるのはたったキャッチャー含めても6人。
私のチームではブルペンが一つしかないので、2人しか同時に見ることができません。
私の場合、別に顧問がいるので、手分けをしてやることはできますが、指導者の効率が良くないのは間違いありません。
また、ブルペン入りしてのピッチング練習は時間もかかります。
50球、100球などと投げ込むとしたら、やはりそれなりの時間がかかり、10分やそこらでは終わりません。
そう考えるとブルペンでのピッチング練習をメインにするというのは効率的ではないのです。
かといって、ブルペンでのピッチング練習を選手に任せ、指導者が全体を見るというのも不安だと思います。
中学生のレベルだと、ピッチング練習でフォームを崩すということも多々ありますし、それで故障してしまうこともあります。
そこでおすすめなのは、まずは基礎的なことをブルペンではないところで指導してしまうことです。
私のチームでは全員がピッチャーをできるように指導しています。
この取り組みは全員をブルペン入りさせるわけではなく、キャッチボールやスローイング練習などの際にピッチャーの基礎練習を入れ、全員がピッチャーに備えるというものになります。
その中で可能性がありそうな選手、可能性が出てきた選手を順にブルペンに入れていき、実践登板させていくわけです。
この取り組みがピッチング練習の大きなヒントになると思います。
こちらにピッチングのチェックリストがあります。
これはあくまでも私のチェックリストであって、指導者のみなさんが各自描いてくだされば良いと思います。
そのチェックリストの項目ができるように、まず平地でピッチングの基礎となる部分を作っていきます。
これはキャッチボールの中で時間をとっても構わないですし、チームをグループに分けて、バッティング組とピッチング組に分けても良いと思います。
平地でペアを作って交互に行うのであれば、ブルペンは必要ないので効率は上がります。
そこで、ブルペンに入る前段階の部分をとにかく反復していきます。
〇ブルペン入り前段階の練習紹介!
私が行っている基礎練習を紹介します。
①逆フェーズ法
逆フェーズ法は馬見塚先生が考案したドリル練習です。
新版 「野球医学」の教科書 《The Baseball Medicine》
- 作者:馬見塚 尚孝
- 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
- 発売日: 2019/02/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
こちらの書籍で詳しく紹介されていますが、ピッチングの動作を投球フェーズの終わりから順にさかのぼっていく練習です。
正しいピッチングフォームの習得に大変有効だと感じています。
私のチームでは、逆フェーズ法を取り入れてから、明らかに故障が減り、リリースに課題があった選手がだいぶ改善されました。
これはかなりおすすめですが、私が開発したわけではないので、詳しくは馬見塚先生の書籍をご覧ください。
指導が難しくないところも良いと思います。
②軸足5秒キープ
セットポジションから軸足を上げたところで5秒キープしてから投げます。
一連の流れで投げた際に、意外と軸足にしっかりと体重が乗っていない選手が多いです。
軸足でしっかりと立ち、その後足を降ろしてから前に加速するのがポイントになります。
これはまずは平地でやるのですが、マウンドだと傾斜があるので、マウンドの傾斜でもできるようにする必要があります。
ふらついておりますが、こんな感じです。
③体重移動
こちらの記事に詳しく書いてありますが、下半身を使って、しっかりと軸足に乗った体重を、最後は自由な足に移す練習をします。
動画が鍛えていないときの私なので微妙なのですが、こんな感じで練習します。
これをやると、回転できない選手や体重が全然移動しない選手がすぐに分かります。
④3点スイッチ
そして、ここまでやった練習をつなげるのが「3点スイッチ」です。
3点スイッチはその名の通り、3点のポイントでスイッチを入れる練習です。
「セットポジションに入ったところ」
「軸足を上げたところ」
「リリースする瞬間」
の3点です。
ピッチングで良くないパターンは二つあって、
一つはずっと力むパターン
もう一つはずっと力が入らないパターン
これを防ぎ、メリハリのあるピッチングフォームを作るために考案したのが3点スイッチです。
はじめは指導者がスイッチを入れるタイミングで「ピッ」と言ってあげると選手はやりやすいです。
この3点スイッチをここまで取り上げた他の練習で学んだことを意識しながら行うようにしてください。
詳しくは記事をご覧ください。
画像があるので、そちらの方が分かりやすいと思います。
〇まとめ!
ということで、ここまで挙げた練習を近い距離(15m程度、逆フェーズ法はもっと近くて良い)で行うことがおすすめです。
近い距離で軽めに行うことで、肩肘への負担はかなり減ります。
基礎を覚えるためにはそれなりの数を反復しなくてはいけませんから、まずは短い距離で数をこなすことが大事です。
ここである程度形を作ることができれば、ブルペン入りした際にそんなにフォームを崩す心配もありません。
場合によってはブルペンでのピッチング練習は任せて、指導者は全体を見るということができるかもしれません。
以上、「ブルペンに入るだけがピッチング練習ではない」でした。
もちろん、最終的にはブルペン入りすることが必要だと思いますが、効率や肩肘への負担も考え、ブルペンに入らずともできるピッチング練習に取り組んでみてください。
当然ですが、スローイングも良くなります。
参考になれば幸いです。
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