極端な連投の練習は必要ない!
大会であっても無理な連投はさせないで欲しいが、せざるを得ないとしても連投の練習は不要!
ケガをするだけです!
〇厳しい大会日程にどう対応するか。
高校野球や中学野球ではトーナメントを勝ち進むと連戦になる場合が多いです。
高校野球でダブルヘッダーはほぼないとは思いますが、中学野球だと連戦+ダブルヘッダーなんてことも…。
まずそもそもそんな日程がどうなのと思いますが、この日程に対応することを目的に「連戦」や「連投」の練習をさせるチームがけっこうあります。
これ、非常に危険だと感じています。
長期休みの練習試合で主戦投手に〇連投なんてさせて、
「本番の練習だ!」
「本番はもっとキツいぞ!」
なんてやっているんですが、ケガするだけだと思います。
フルマラソンのレース本番前に、擬似マラソンとして自分で40km走っておいたほうが良いのではと考えるランナーも多いと思います。
当然やらないよりはやっておいたほうが良いですが、40kmをひとりで走りきるというのは大変なことでもあり、途中で故障してしまう可能性も少なくないため、注意が必要です。
気をつけるべきは、1度だけ40kmを走るよりは、20〜30kmの練習を何度か行っておくことのほうが重要だということ。
長時間の走行に身体が慣れているということが大事のため、1度きりではなく定期的に行って基礎体力の向上を図っていく必要があります。
これは違うスポーツの話になってしまうのですが、マラソンも野球の極端な連投のように人間の限界を超えるスポーツだと勝手に感じています。
トップマラソンランナー全てのことは分かりませんが、マラソンランナーは練習で毎日フルマラソンを走るなんてことはしないそうです。
こちらの記事だけではなく、多くのマラソン練習について書いた記事で、練習でフルマラソンを走ることは身体に負担が大き過ぎるので、控えた方が良いというような旨が書かれています。
20キロから30キロ程度の距離を数回に分けて身体を慣らしていくそうです。
その練習で、フルマラソン自体はその場の雰囲気や、気持ちでなんとかなるということらしいです。
野球の連投も、(やらないで欲しいけども)やるなら最後はその場の雰囲気と気持ちで乗り切るしかないのではないでしょうか?
フルマラソンにたとえるのは違うかもしれませんが、野球の連投の練習はフルマラソンを繰り返し練習すること、もしくはフルマラソン以上の距離を何度も走ることに似ている気がするのです。
〇ちょっとずつ負荷はかけるべきだが…
ちょっとずつ負荷を高めていくことは悪いことではないと思います。
極端な話、週1回10球しか投げないで急に試合に登板したらかえってケガをします。
これは『野球医学の教科書』の馬見塚先生も指摘しています。
馬見塚氏は「投げさせなさ過ぎる」リスクも認識しており、東京大学時代の宮台康平投手(現北海道日本ハムファイターズ)を指導したときは逆に投球数を増やすことでコンディションを戻した。
「宮台は投球数増で(ケガの)リスクが増えると考えて、練習でも1日50球くらいに球数を制限していた。しかし、もし完投すれば1試合に140球程度投げることになる。彼は練習で50球くらいしか投げていないから、5回くらいになると疲れ始めて球速が落ちていた。そうすると打者を抑えたいから努力量を上げようとするし、フォームが変わってケガのリスクも増える。42.195キロを走る人はそれに応じた距離を走らないと、持久力も身につかないことと同じです。よき投球動作を習得するためにも、実戦の投球数に耐え得る持久力を獲得するためにも、それなりの投球練習は必要である――。そこを投球数が障害のリスクであることを伝えるときに教えておかなければ、逆にリスクは高まります」
https://news.yahoo.co.jp/byline/oshimakazuto/20180823-00094133/ より
新版 「野球医学」の教科書 《The Baseball Medicine》
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ですから入部してから少しずつ投げる球数を増やしていき、週に100球程度だった投球数を200球まで段階的に増やすというレベルであれば効果があると思います。
※ここで挙げた数字はあくまでも例で、エビデンスがあるわけではありませんし、個人差も大きいので、今後もエビデンスは得られないかもしれません。
ですが試合での全力投球100球×5日連続などは(個人差があるとはいえ)もはや選手が耐えられる投球数ではなく、こなしたところで本番に繋がるどころかケガをするか調子を落とすだけだと思います。
そもそも現在のアマチュア野球の日程がおかしいです。
そこをどうにかしなくてはいけないということももちろんありますが、それとはまた別に、選手の身体を守るために、練習や練習試合で虐待のような連投の練習はさせないで欲しいものです。
極端な連投の練習は要りません。
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