バッティング指導はどのような流れで行っていますか!?
宮川理論をベースとした田口式バッティング指導の流れをご紹介いたします!
※宮川理論の公認指導員は2019年12月に一旦辞めていたものの、2020年8月から復帰しております。
〇田口式バッティング指導の流れ!
私はバッティングにおいて、「軌道」、「着地」、「回転」の三つが重要だと感じています。
この三つが上達するようにバッティング指導をドリル練習で段階的に行っています。
私のバッティング指導は宮川理論をベースにしつつ、選手の状態を見て、様々な処方箋を取り入れるようにしています。
↑私が公認指導員を務めている宮川理論はこちら。
ですので、全選手が同じようにステップアップしていくわけではないのですが、おおまかには以下のような練習を段階的に行っていきます。
初心者であれば多くの場合は半年から一年間くらいかけてこの段階で歩んでいき、あとは処方箋的にどれかを用いて修正していくことが多いです。
順番に説明していきます。
1、L字逆手
L字逆手は宮川理論のベースとなる練習です。
軌道を確かなものにすること、大きなフォロースルーを実現することを主たる目的としています。
動画を見ただけではイマイチ何の練習か分からない方もいると思うのですが、L字と呼ばれる姿勢からスタートすることと、肩にバットを乗せることで外回りせずにインサイドアウトのスイングになりやすくなっています。
また、L字とともに逆手(ぎゃくて)と呼ばれるボトムハンドの使い方をすることで、コネにくくなり=ボールの軌道に入りやすくなり、大きなフォロースルーを実現できます。
逆手はダウンスイングの癖がついてしまっている選手にはなかなか難しいです。
子どもよりも、高校や大学までバリバリで野球をやっていた大人の方ができなかったりします。
とにかく脱力し、ゆっくり大きく行えるように反復練習していきましょう。
もしどうしても逆手ができなくても、L字両手、L字片手でも効果があるので、取り入れてみてください。
また、慣れてきたら振った軌道で戻すことで再現力も養うことができます。
地味ですが、かなり奥が深い練習です。
ある程度できるようになったら、これで実打も行います。
うちの選手は試合で打席に入る前や、バッティング練習のウォーミングアップに自主的に行っています。
「軌道」と「回転」の練習です。
2、4足逆手
これも宮川理論の基礎ドリルで、軌道を保ちつつ、並進を大げさに行う練習です(動画では逆手ではなく片手フィニッシュで行っていますが、逆手で行うと良いと思います)。
4足分の歩幅でステップすることから4足と呼ばれています。
選手の中には並進が不十分で、体重が後ろに残りすぎて手打ちのようになってしまう選手も多いです。
西武 #33 山川穂高 2019年第24号~第43号ホームラン集
プロ野球選手を見ても、並進せずに遠くまで飛ばすことができている選手はまずいません。
軸足がほぼ動かない選手でも、よく見ると一度は前に体重が移動してから戻ってきています。
その動きを身体で覚えてもらうために、おおげさに並進するのが4足です。
これで実打も行います。
ロングティーで遠くまで飛ばすと並進の効果を実感できるのでおすすめです。
「着地」と「回転」メインの練習です。
ただ、逆に前に突っ込む傾向がある選手は逆効果になることもあるので、敢えて4足をやらせないこともあります。
また、4足ができるようになったら「JBS武蔵」さんがおすすめしていた「ワンレッグ」をやることもあります。
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3、一本足着地
こちらは田口オリジナルです。
一本足で立っているところにトスをし、着地を強く正確に行う練習です。
トスに合わせて足を上げるのではなく、足を上げているところにトスをしてもらいます。
これは着地のタイミングを合わせることと、強い着地を実現する練習になっています。
↑グリップがオートマチックに出てくるくらい強い着地のイメージ
私はタイミングを合わせるべきところは2ヶ所あると考えています。
一つは足を上げるところ。
これは手塚一志氏のシンクロ打法で解決できます。
↑シンクロ打法はこちら。
もう1ヶ所は上げた足を降ろすところ、要するに着地なのですが、けっこう意識が無い選手が多いです。
かくいう私も宮川理論を学ぶまであまり意識していませんでした。
単純な話ですが、着地が早いと泳ぐし、着地が遅いと詰まらされます。
↑着地が早い例
↑着地が遅い例
このように着地でタイミングを合わせることになるわけです。
素振りでも何でも、もっと着地の意識をもつことが重要だと思います。
反復していると、着地が合いやすくなってきます。
着地を合わせることを考えていくと、軸足のタメなんかももっと理解できるようになってきます。
そのために行う練習が一本足着地です。
とにかく強い着地を意識し、
「詰まっていないか=着地が遅れてはいないか」
「泳いでいないか=着地が早くはないか」
を常に確認して行うことが重要になる練習です。
「着地」メインの練習です。
4、正対打ち(45度打ち)
トスを上げる人に正対して打つ練習です。
↑名称は異なりますが、タクトTVで紹介されていますのでぜひご覧ください。
宮川理論のドリルにもありますし、その他様々な方がトスアップに正対して打つ練習を取り入れているようですが、やり方によって効果は異なります。
私は正対してトスアップされた方向に軌道を入れて返す正対打ちを行っています。
やってみると分かるのですが、これはなかなかに難しいです。
これができるようになると、外角のボールを逆方向に強い打球を飛ばす軌道が習得できるので、私は外角の軌道習得に利用しています。
ダウンスイングだとなかなか上手にはいかない練習になります。
L字逆手で外角の軌道をある程度できるようになってからやらないと練習にならないかもしれません。
あまり上手にできない選手にはアラボーイでヒントをもらった45度打ちをさせています。
外角を上手く打てない選手の処方箋に使っています。
「軌道」メインの練習です。
※やり方によっては「回転」の練習にもなります。
5、ワンバウンドティーバッティング
一本足着地の高難易度バージョンで、これまたいろいろな方が行っていますが、着地の練習としては田口オリジナルです。
↑JBS武蔵さんの動画です。このような感じで行います。速いワンバウンドではなく、緩いワンバウンドで行います。
「緩い」ワンバウンドのボールをトスアップしてもらい、着地を合わせて打ちます。
※緩くないボールでやっている方もいらっしゃいますが、着地の練習としては緩いワンバウンドがおすすめです。
タイミングが取れない選手は着地した後に待って手打ちになってしまいます。
変化球、緩急の対応の非常に良い練習になります。
ただし、これまた難易度が高い練習なので、一本足着地がしっかりとできるようになってから行うようにしてください。
泳ぐようになってしまった選手の処方箋として使うことが多いです。
また、イレギュラーバウンドしたボールを打って変な方向に飛んでしまうことがあるので、危険が少ないテニスボールで行うことをおすすめします。
「着地」メインの練習です。
6、突っ込みティーバッティング
こちらも田口オリジナルです。
わざと突っ込んだ状態、泳いだ状態を作ってからティーバッティングを行います。
泳いだ状態なので、下半身はあまり使えず、軌道をうまく入れて内野の頭を越す練習になります。
トップハンドがコネるとポップフライか弱いゴロにしかならないので、軌道を意識して片手フィニッシュでボールを乗せるのがポイントです。
片手フィニッシュにすることで届く範囲が広くなるので空振りも減らすことができます。
当然試合では泳がない方がいいわけで、そのためにワンバウンドティーバッティングなどの着地の練習をするわけですが、絶対に泳がない選手はいません。
ですから泳いだとしてもヒットにするテクニックを身につけることも重要です。
実際、反復練習しているとオートマチックにこのスイングができるようになってきます。
これは完全に軌道の練習です。
変化球対応の練習になるとともに、軌道がズレている選手の処方箋にも用います。
以上、田口式バッティング練習の流れでした。
これがベースですが、選手によって処方箋として別の練習を取り入れることももちろんあります。
ただし、一般的に行われている
・連続ティーバッティング
・後ろからのトスアップティーバッティング
・斜めからのトスアップティーバッティング
・上からのトスアップティーバッティング
は弊害が大きいので一切行ってはいません。
スペースや安全面の関係から、基本的には「正面から」テニスボールをトスして練習しています。
↑詳しくはこちらをどうぞ。
大きな防球ネットや広いスペースがない場合は難しいかもしれませんが、スイング軌道に影響するので、できる限り正面からトスアップするようにしてみてください。
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