スイッチピッチャーは1球ごとに投げる手を変えてもいいの!?
めったにないけれども気になる両投げピッチャーのルールについてまとめてみました!
ここまでの細かな野球のルールシリーズはこちらです。
〇マンガでは登場していた両投げピッチャー!
昔は両投げピッチャーなんてマンガの世界の話でした。
古くは『ドカベン』のわびすけ。
あと、マイナーすぎて知っている方が少ないかもしれませんが、私が好きだった『ストライプブルー』というマンガのあー坊。
↑ストライプブルーはこちらのマンガ。
『ストライプブルー』のあー坊は右では豪速球を投げるものの、コントロールがあまり良くない。
左ではコントロールが良い技巧派なものの、スピードが出ない。
どちらで勝負するか迷っていたところ、高校の指導者から「両方で勝負する」という選択肢を与えてもらい才能が開花したというストーリーでした。
※『ストライプブルー』は『ショーバン』の続編で、原作者は『おれはキャプテン』の作者、『グラゼニ』の原作者の森高夕次=コージィ城倉です。
また、最近だとBUNGOにも両投げのピッチャーが登場しました。
野球マンガ特集はこちらをご覧ください。
もちろん、マンガの世界だけではなく、現実世界でも器用に右でも左でも投げることができる人はいなくはなかったです。
私の友人も右でも左でもキャッチボールができて、すごいなぁと思ったことがあります。
しかし、近年そういうレベルではなく、右でも左でもピッチャーとして勝負ができる、本物の両投げピッチャーが登場してきています。
たとえばMLBで活躍するパット・ベンディット投手。
正直、バリバリのメジャーリーガーかと言われると微妙なラインですが、両投げピッチャーとしては世界最高レベルと言って良い投手だと思います。
日本では六大学野球で立教大の赤塚投手が話題になりました。
また、実践登板しているわけではありませんが、ダルビッシュ投手も左投げが上手で話題になったことがありますね。
これから先、もっともっとハイレベルな両投げピッチャーが誕生してくるのではないでしょうか?
そこで今日のテーマは、
「Q、両投げピッチャーは1球ごとに投げる手を変えることはできますか?」
です。
はい、すみません。
「A、できません。」
そうなんです。
最初に挙げたマンガでは1球ごとに投げる手を変えるシーンがありました。
「次はどっちで投げるんだ!?」
みたいな駆け引きがあったのですが、実は現行の野球規則ではこういったことができないようになっています。
もともとは両投げピッチャーなんて存在しなかったので定められていなかったのですが、現在は公認野球規則に次のように記されています。
「両手投げ投手
投手は球審、打者および走者に、投手板に触れる際、どちらかの手にグラブをはめることで、投球する手を明らかにしなければならない。
投手は、打者がアウトになるか走者になるか、攻守交代になるか、打者に代打者が出るか、あるいは投手が負傷するまでは、投球するまでは、投球する手を変えることはできない。
投手が負傷したために、同一打者の打撃中に投球する手を変えれば、その投手は以降再び投球する手を変えることはできない。投手が投球する手を変えたときには、準備投球は認められない。
投球する手の変更は、球審にはっきりと示さなければならない。(公認野球規則5.07(f))」
ということで、1球ごとに投げ手を変えることはできず、基本的にはそのバッターが終了するまでは投げ手を変えることはできないということになります。
バッターは途中でも打席を変えることができますが、ピッチャーはダメということになりますね。
もともと右手でも左手でも投げるピッチャーなんていなかったので、ルールを定める必要がなかったのですが、先にあげたパット・ベンディット投手がメジャーで活躍するようになって、細かなルールを定める必要がでてきたそうです。
Wikipediaには次のように記されています。
2008年6月19日のプロデビュー戦(対ブルックリン・サイクロンズ)で、9回二死一塁の場面からスイッチヒッターのラルフ・エンリケスと対戦。「スイッチピッチャー対スイッチヒッター」という夢の対決を実現させる。
当初左で準備していたベンディットだが、エンリケスが右打席に入ったのを見て右にスイッチ。それを見たエンリケスが左打席に…といったように、1球目を投げる準備におよそ5分も要してしまう。これに業を煮やしたベンディットは審判に抗議、最終的に見かねた審判が協議の上、まず先に打者のエンリケスが打席を選択するよう指示。右対右の対決となり、ベンディットが三振を奪って勝利した。
「打席と投球する腕の選択では、投手と打者のどちらが優先するか」というルールがリーグに存在しなかったこと、「右対左」「左対右」といったように、打者から見て相手の利き腕と逆の打席に入る方が有利であることが生んだエピソードであった。
その後、「投手が先にどちらで投げるか示さなければいけない」という公式ルールが定められた[注 1]。これは俗に「パット・ベンディット・ルール」と呼ばれている。
ですから、『ドカベン』の高校時代には無かったルールということになるんですね。
以上、両投げピッチャーのルールについてまとめてみました。
なかなか両投げピッチャーで出会う機会はないと思いますが、左右どちらでも投げる練習をすることは身体のバランスを整える効果があると言われています。
私も左投げグラブを購入して練習はしています。
なかなか難しいですが、楽しいですよ。
ぜひ試してみてください。
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