教員の勤務状況と課題はどうなっているのか?
その問題点に迫る!!
〇教員の勤務の実態はどうなっているの?
最近教員の勤務について考えさせられる機会が多くありました。
部活動の在り方も含めて、教員の仕事というのは転換期にきているのかなと思います。
正直、教員の仕事というのは特殊なことが多く、一般の方々には理解されづらいところがあるのではないでしょうか。
そこで今回は一般の方々にも伝わるように教員の仕事の現状をもう一度まとめ、今後に向けての提言を書いていきたいと思います。
以下、私は中学校教員なので、特に断りがない場合は中学校の話だと思ってください。
教員の仕事の中心は授業になります。
中学校では子どもたちの授業時間は週29時間が基本になります。
その中で教員一人が教科の授業を受け持つ時間というのは勤務校の実情によって大きく異なります。
年によってもバラバラで、私は昨年度20時間でしたが、今年度は15時間です。
教科によっても異なりますが15~20時間くらいになると思います。
そうしたら空き時間がたくさんあるので楽なのではないかと思うかもしれませんが、教科の授業以外に「道徳、学活、総合×2」の時間があります。
そこにさらに緒会議の時間が入ってきます。
私であれば生活指導部会と教育相談部会という会議が時間割に組み込まれていました。
会議については学校によって異なるのですが、大体の学校で何らかの会議が時間割に組み込まれていることが多いです。
となると、週の授業+会議時間は多い場合で26時間ほどになります。
空き時間は3時間しかないことになります。
でも、休み時間や昼休みがあるでしょうと思われる方もいるかもしれません。
しかし、休み時間や昼休みは子どもにとっての休息時間であって、教員にとっては勤務時間です。
休み時間であれば教室移動を促したり、次の授業に向かい準備をしたりという時間になります。
昼休みは給食指導、生徒が遊んでいる時間も校庭や教室、廊下を見守る時間になります。
あれ、じゃあ教員に休憩時間は無いのかと思う方がいるかもしれません。
実は教員の休憩時間というのはどの学校もだいたい16時くらいから設定されています。
ここで「あれ?」と思う人もいると思います。
そうです、部活動を行っている放課後の時間が休憩時間という設定になっているのです。
この点については後述したいと思います。
ということで、生徒が活動する8時半から16時までは教員はほとんどフリーの時間がないということがお分かりいただけると思います。
教員が自分の仕事ができるのは、ごく少ない空き時間と放課後の時間ということになります。
しかし、この放課後の時間には何があるかというと、部活動がありますよね。
私の学校では16時から18時半までが部活動の時間となっています。
この部活動以外にも学年の会議が入ったり、委員会活動が入ったり、補習授業が入ったりと放課後に何もない日というのは珍しいです。
ほぼ毎日放課後に何かがあるわけです。
教員の勤務時間は学校によって微妙に異なるもののだいたい17時までです。
もう一度確認しますが、部活動は18時半までです。
さらに言えば休憩時間は16時から16時30分です。
休憩時間に大手をふって休憩している人を私は見たことがありません。
その時間ももちろん部活動の指導をしますし、生徒が何かを聞きにきて「先生は今休憩中だから」なんて言えません。
このあたりで教員の勤務状態のおかしさが伝わるのではないかと思います。
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〇では教員の仕事って何?
というわけで部活動を受け持っている先生であれば、勤務時間の中で18時半までわずかな空き時間以外ほとんどフリーになる時間がないということになります。
「まあでも18時半には終わるんでしょう?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、それでは仕事が全く終わりません。
では授業以外の教員の仕事とは何か確認したいと思います。
まず、第一に授業の準備です。
教員ではない方にはなかなかイメージがわかないと思うのですが、真剣に授業に取り組んでいる教員であれば1時間の授業の準備に2時間や3時間は平気でかかります。
私の場合は社会ですので、教科書の内容を把握し、さらに資料を用いて詳しく調べ、授業の実践例などを参考に授業案を作成します。
さらに授業で用いるプリントと小テストを作り、印刷をしなくてはなりません。
これで大体3時間ほどです(これでも短くなったほうで、若いころは倍くらいかかっていました)。
これを毎日やっていたら先に見たようにとても時間が足りませんから、私は夏休みなどの長期休業時にこの授業準備を次の学期分やるようにします。
しかし、授業の進度や生徒の反応によって微調整しなくてはいけないのでもちろん学期中も授業の準備に時間は割かなくてはいけません。
第二に採点や評価に関わる仕事に時間を取られます。
プリントの採点、コメント書き、小テストの採点、ワークの回収、などなど先生によってやることは違うと思いますが、評価をする上で何かしらは必要になります。
これにもけっこうな時間をとられることになります。
第三に生徒と関わる仕事があります。
極端な例をあげれば、クラスでケンカがあったとします。
子どもたち双方から事情を聞き、指導し、謝罪させる。
その後保護者連絡をする。
ケガをしたなど大変なケースでは保護者の方に学校に来てもらって対応することもありますし、とにかく時間がかかることになります。
そんな極端な例ではなくとも、最近元気がない子がいるから放課後に呼んで1時間くらい話をする、学校を二日続けて休んだ子がいるから家庭訪問する、そんなことは日常茶飯事なわけです。
第四に担任などの学年の仕事、所属する委員会などの事務仕事があります。
私の学校では生徒と担任の連絡帳のようなものを毎日回収しているので、これにもかなりの時間がかかります。
以前いじめを苦にして自殺してしまった生徒と教師の連絡帳でのやりとりが話題になったことを覚えていらっしゃいますか?
あのように、多くの学校で採用されているようです。
後は掲示物や学級通信を作成したり、出席簿をまとめたり数多くの事務仕事があります。
また、分掌の仕事というものもあり、教員は教務部、生活指導部、進路部など学校によって名称は異なりますが、それぞれ担当している仕事があり、それにかかわる起案を出したり、反省をまとめたりする必要があります。
これがかなり大変な仕事になります。
最後に、何とくくったらいいのか分からないもろもろの仕事があります。
様々な調査アンケート、教育委員会への報告書、会計、とにかくいろいろな場所にいろいろな書類を提出しなくてはいけません。
部活動の練習試合に行くためにだって、「生徒引率届」というA4の紙を一枚出す必要があります。
以上のように、フリーの時間がほとんどない中、教員は様々な仕事に追われていることになります。
恐ろしいことにこれらの仕事は真面目にやればやるほどキリがなく出てきます。
私の学校でも真面目で熱心な先生たちは22時まで残業なんて当たり前のようにやっています。
もちろん家庭の事情で定時に帰る先生もいますが、ほぼ間違いなく仕事を家に持ち帰っているのが現状です。
〇公務員からブラック化を正していかなければならない!
これらの現状を美化したり、肯定したりしてはいけないと私は思います。
よく「そんなの一般企業じゃ当たり前だ」とおっしゃる方もいるのですが、教員の働きすぎは二つの意味で大きな問題を生みます。
一つは生徒に向き合う余裕が無くなってしまうこと。
働きすぎて気持ちに余裕が無くなったら、ゆっくり生徒の話を聞くこともできなくなります。
また、授業の質も落ちていくことでしょう。
これは回り回って子どもたちのためになりません。
もう一つは社会のためにならないということ。
公務員は社会の見本にならなくてはいけません。
公務員の不祥事は大きく取り上げられますよね?
あれは公務員は国民のために働く人たちであって、国民の見本にならなくてはいけない立場だからです。
その公務員が勤務時間も守れないようでは、我が国の課題であるワークライフバランスの確立などできようはずがありません。
ブラック企業なんて絶対になくなりませんよ。
私に言わせれば公務員が超過勤務を当たり前とするのは信用失墜行為です。
「税金もらっているんだから働け」「一般企業は~」これでは社会はよくなりません。
法律にもある正しいことをやれないで何が公務員でしょうか。
公務員が先陣を切って勤務状況を正していかなくてはいけません。
以上、今回は教員の勤務の実態についてお話しました。
次回、ではこうしたらよくなるのではないかという意見を述べていきたいと思います。
また、2016年10月2日に続きの記事も書きました。
こちらもあわせてご覧いただけたらと思います。