良い指導者を目指すのであれば、自分自身の実績は一度忘れましょう!
指導者としてイチから学ぶ姿勢が無ければ良い指導者にはなれません!!
〇選手として優れている=指導者として優れているではない!
選手として大成した人が指導者として活躍することも多いですが、同じくらい選手としては良かったのだけども、指導者としてはうまくいかないという人もいます。
自身が高校野球や大学野球、社会人野球などで活躍した実績を引っさげて、
「よし、高校野球、中学野球を指導してやろう!」
と教員になる方も実際はかなりいます(教員になる動機としてどうなのかという話もありますが、今回置いておきましょう笑)。
しかし、選手として優れている=指導者として優れているとは限りません。
むしろ、選手としての経験がマイナスに働くこともあると私は思っています。
私は選手としては非常に平凡でした。
まあ並の選手よりはバッティングに自信はありましたが、守備はからっきしです。
大学時代に挑戦した投手でも、下の代の投手たちにかなわず、3番手くらいの位置づけまでしかいけませんでした。
しかし、今思えば、それが代えって良かったのかなと感じています。
〇私が指導者として成長できた理由!
私が指導者として成長できたのは次のような理由からだと思っています。
①言われた通りにやれない選手の気持ちが分かる。
②できないことがある前提で指導に入れる。
③選手としてのプライドは高くないから他の指導者に聞くことにためらいがない。
この三つです。
この三つは、私が大した選手では無かったからこそもっていたものだと思っています。
これらのことは私が指導者としてチームを作っていく上でとても大切なことになりました。
まず、①言われた通りにやれない選手の気持ちが分かる。
私自身、特に中学生までは運動音痴で、言われたように動くということがなかなかできませんでした。
身体の動きなどを指導されても上手にできず、最後はよく呆れられていました。
野球の例ではないですが、お恥ずかしい話、私は逆上がりも二重跳びもできませんでした。
そんなときに、「なんでできないんだ!」と言われてもできないものはできないし、そう言われたらどう思うか私にはよく分かります。
これは指導者となるにあたって「できない選手の気持ちが分かる」という私の武器となりました。
私が選手との対話を重視したり、基礎練習を重視したりするのはここから来ています。
www.taguchizu.netwww.taguchizu.net
次に、②できないことがある前提で指導に入れる。
これは①に似ていますが、できないことはできません。
当然、できるように指導することも大事ですが、現状できないことを選手に要求しても上手くいきませんし、最悪野球が嫌いになってしまいます。
誰にでも「できること=得意なこと」と「できないこと=苦手なこと」があるのだから、「できないこと」にばかり目を向けずに、「できること」を伸ばしてあげるということも指導者には必要なことだと思います。
過去の記事に書いたこともありますが、私は選手の活躍の場を作るために、敢えて「できること=得意なこと」に特化させることがあります。
これは「強豪高でレギュラーになりたい!」などといった選手には行いませんが、野球が好きで中学校野球部に入部してくれたけれども、なかなか活躍の場が無いという選手に行う指導です。
足が遅く、バッティングもあまり上手ではないけれども、バッティングピッチャーをしていてコントロールが良かった選手を投手に専念させたことがあります。
こちらの記事にその選手のことは書きましたが、球は遅いのですが、とにかくタイミングをずらすテクニックを教えた結果、1試合投げられるようになりました。
また、中学から野球を始めて、守備もバッティングも全く試合に出られるレベルでは無かったけれども、塁間走だけは速い選手を代走専門にしたこともあります(100mだとそれほど速くは無かったのですが、27mだと速いんです)。
その選手が代走で出るととにかくチームが盛り上がっていましたね。
その選手もそれで自分の生きる道を見つけたように、熱心に盗塁の練習をしていました。
この得意なことを伸ばしてあげるという発想も私自身、全く守備ができなかった経験から来ているのだと思います。
元巨人の鈴木選手なんかもスペシャリストでしたよね。
そして、③選手としてのプライドは高くないから他の指導者に聞くことにためらいがない。。
これが指導者にとって一番重要な資質ではないかなと感じています。
以前、こんな記事を書いていますが、選手として一流だとしても、指導者になったら指導者としてはイチからのスタートになります。
そこでいろいろな人にアドバイスをもらうことができるかどうかで指導者として伸びるかどうかが分かれます。
私は指導者になりたての頃に、市ではトップクラスの指導力をもつ先生にボロクソに言われたことがあります。
「そういうやり方では選手がかわいそうだよ。」
というようなことを非常に的確に言われました。
お恥ずかしい話、そのときはイライラしてしまいましたが、少し冷静になって考えると全くもって正しいアドバイスだったので、頭を下げ、それから何度も教えを請うことになりました。
その先生のおかげでまずまずまともな指導者になることができたと思っています。
その方は野球は中学校までしかやっていなかったそうです。
しかし、誰がどう見ても超一流の指導者です。
なのに、中学校までしか野球をやっていないからという理由から全くアドバイスに聞く耳をもたない指導者も多いと嘆いていました。
やはり、選手として活躍できた人ほどプライドもあるだろうし、自信もあることと思います。
しかし、指導者としても一流を目指すのであれば、そういう実績は良い意味で忘れてしまわないと、指導者として伸びないと私は思います。
〇良い選手だった指導者が陥りやすい罠。
良い選手だった指導者が陥りやすい罠がいくつかあります。
たとえば、分かりやすい例を挙げると、強豪の中学硬式クラブチームがあるとします。
そこで、バッティング練習はひたすらマシンを使って120kmのボールを打ち返す練習だけを日々繰り返すとしましょう。
初めは空振りやファールばかりだった1年生も、繰り返していくうちにスピードに慣れ、2年生になるころには強い当たりを放つようになります。
3年生になると120kmのボールでは遅く感じるようになっているでしょうね。
そういうチームで主軸を打っていた選手が高校でも活躍し、中学軟式の指導者になり、同じようにフリーバッティングで速いボールを繰り返し打つ練習を続けます。
自分は、自分たちのチームメイトは段々とスピードになれ、打てるようになったのだから、中学軟式の選手たちも打てるようになるはずだと思うわけです。
しかし、打てるようになった選手もいる一方、いつまで経っても空振りやファールばかりの選手もいるわけです。
自分の経験からするとそれはあり得ないわけです。
そうなると選手側に問題があることになってしまいます。
「自主練が足りないから打てないんだ」
「あいつの能力が低いからどうしようも無い」
といった誤った結論に至ってしまうのです。
この話は「たとえば」の話ですが、現実にいろんな中学校や高校の野球部で起こっている話です。
先の例では能力の高い子の芽が勝手に出てきただけで、指導者が選手の力を引き出したわけではないのです。
当然、硬式クラブのように高いレベルのチームに入団してくる選手の方が能力も高いし、身体も大きいです。
指導が不十分でも自身の能力で伸びてくることもあるわけです。
※当然、硬式クラブの指導者が全てそうだと言っているわけではありません。
しかし、同じようにレベルの低い中学校野球部でやったら大変なことになります。
野球初心者のような子もたくさんいるわけです。
素人が120kmのボールをいくら繰り返し打ってもなかなか打てるようにはなりません。
緩いボールを打てるようになるところ、正しいスイングの軌道を習得するところから始めなくてはいけないのです。
これは以前記事にした話に似ています。
選手としてプレーした経験があればあるほど、自身の経験に当てはめて考えて指導してしまう。
これは指導者になりたての頃にはよくあることです。
そこで、いかに目の前の選手に合った指導に修正できるか。
それが指導者としての能力になると思います。
そのためには、自身の経験のみに頼るのではなく、素直に他の指導者の方からアドバイスをいただくことも重要です。
良い指導者を目指すのであれば、選手としての実績は忘れましょう!
良い指導者の条件をまとめた記事はこちらです。
(追記)
偉そうにこんな記事書いてましたが、全然結果残せませんでした。
関連記事です。
www.taguchizu.net