中学校野球部!絶対に強くなるヒント集

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ヘッドスライディングの方が1塁到達が速い!?メリットがあっても危険なので禁止にしませんか?

1塁へは駆け抜けるよりヘッドスライディングをした方が速いという立命館大学の研究結果が出ました!

1塁へは駆け抜けた方が速いという方も多かったですが、そうではない可能性も出て来ました!

しかし、選手にヘッドスライディングを勧めてもいいものでしょうか?

 

〇駆け抜けよりもヘッドスライディングの方が速い!?

先日、興味深い記事を拝見しました。

1塁へのヘッドスライディングに関する記事です。

打者走者の一塁到達は、ヘッドスライディングより駆け抜けた方が速い-。野球界で定説とされる考え方を覆す研究結果を、立命館大スポーツ健康科学部の岡本直輝教授らが学会で発表した。立命大野球部員を対象に動作分析を行い、ヘッドスライディングする方が速いという結論を導き出した。「パフォーマンスを高めるだけなら器械体操の飛び込み前転のようなトレーニングをするのが効果的」と語る。
 一昨年、岡本教授が立命大の野球部員ら選手57人と京都・滋賀の高校野球指導者24人にアンケート調査を行ったところ、選手の80%、指導者の85%と大半が駆け抜けた方が速いと答えた。ヘッドスライディングは大けがにつながるリスクもあり、「駆け抜け」を優先して指導するケースが多い。
 岡本教授とゼミ生の4年山岡涼也さん(22)は昨年6月から、高校、大学時代にヘッドスライディングを経験したことがある立命大準硬式野球部の部員15人を対象に調査。本塁から一塁までを走り、トップスピードになる一塁の7メートル手前から、ベースに触れるまでのタイムを光電管装置と240分の1秒まで撮影できるハイスピードカメラで測定した。
 1人3回の平均値を比べた結果、ヘッドスライディングの方が速かった選手は12人、駆け抜けた方が速かったのは3人だけだった。統計全体でもヘッドスライディングの方が0・04秒ほど早く、距離に換算して30~40センチの差になるという。またスライディング動作を解析すると、ヘッドスライディングする方が速い選手ほど、手を着く場所がベースに近く、踏み切りの足よりも頭が大きく前に出る傾向が分かった。
 一塁へのヘッドスライディングは、塁審へのアピールや味方の士気向上など非科学的な面で利点を語られることが多かったが、技術があれば有利になることが一定裏付けられた。
 3月上旬の京都滋賀体育学会で公表した岡本教授は「けがのリスクとは別に、高校野球では(無意識に)ヘッドスライディングをしてしまう選手がいる。指導者はそのための準備をしておくことも必要では」と新たなトレーニングの導入に言及する。

一塁到達、頭からの方が速い 立命大分析、野球の定説覆す : 京都新聞

 

これまで、バッターランナーは1塁にヘッドスライディングをするよりも駆け抜けの方が速いとおっしゃる方が多かったように思います。

マンガ『ドカベン』でも主人公山田太郎がヘッドスライディングをした際に、「駆け抜けた方が速い」と言われています。  


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先行研究でも駆け抜けた方が速いという結果も出ていて、ヘッドスライディングは気迫を見せるために行うように思われていたと思います。 

 

〇以前からヘッドスライディングの方がセーフになる確率が高いのではないかと述べていた私。

しかし、私は以前からヘッドスライディングをした方がセーフになる可能性が高いと感じていました。

大きな理由としてはヘッドスライディングをすることでファーストはかなり守りづらくなるからです。

送球がファーストから見て、正面から右側に来た場合はヘッドスライディングの影響はあまりありません。

しかし、野手からの送球がファーストから見て左側に逸れた場合、ヘッドスライディングしてくる選手と交錯しないように注意しなくてはいけないので、送球が取りづらくなってしまいます。

そのため、駆け抜けと比べてスピードがどうかの比較の前に、そもそもヘッドスライディングをすることでファーストを守りづらくする効果があります。

 

当然、これは危険なことです。

ランナーも手を踏まれる可能性がありますし、ファーストも交錯を避けようとして捻挫してしまう可能性もあります。

ですからセーフになりやすいからと言って、ヘッドスライディングを推奨するのはいかがなものかと私は思います。

個人的には危険なので、1塁へのヘッドスライディング=守備妨害にして禁止すべきだと考えています。 

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2018年シーズン、プロ野球でも8月1日に巨人の吉川尚輝選手が1塁へヘッドスライディングをした際に左手首を骨折してしまうということがありました。

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これは打者走者のケガですが、1塁手が走者を避けようとしてケガをすることだってあります。

吉川選手の例は極めて稀な例とは言えず、ヘッドスライディングにはこのような危険がついて回ると言ってよいのではないでしょうか? 

 

また、そもそも先行研究も今回の研究もまだまだ信憑性は高くないと感じています。

あまりにもサンプル数が少なすぎます。

ケガの危険のある実験なので多くの選手で実験することは難しいと思うのですが、こんなに少ないサンプル数で白黒つけるべきではないと思います。

 

また、個人的にはランナーの足の速さもヘッドスライディングのスピードに大きな影響を与えると感じています。

塁間を〇秒以内で走れる選手はヘッドスライディングの方が速い傾向があるといった相関関係があるはずだと思っています。

実験で多くのサンプルを集めることは難しいのかもしれませんが、高校野球で1塁までヘッドスライディングをした選手の駆け抜け時のタイムと比較するなど研究方法を変えて行うのも良いのではないでしょうか?

また、スピードだけではなく、私が述べているようなセーフになる確率、守備のミスを誘う確率についても研究してくださる方がいたら嬉しいですね。

 

いずれにせよ、ヘッドスライディングはケガの恐れがあるので個人的にはおすすめしません。

特に小中学生はそもそもちゃんとヘッドスライディングができず、海老反りをして腰を痛めてしまう選手もいますからね。


下手なヘッドスライディング

指導者のみなさんはセーフアウトも大事ですが、選手の身体を一番に考えて欲しいと思います。 

 

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