間違った「食トレ」はやめて欲しい!
しかし、普通の公立校は、圧倒的にフィジカルで劣る強豪私学に正しい「食トレ」で勝てるのか!?
〇中学野球・高校野球に蔓延する間違った「食トレ」!
私は過去にも野球界に蔓延しているおかしな「食トレ」に疑問を呈してきました。
詳しくはこちらの記事を読んでいただきたいのですが、中学野球・高校野球では間違った「食トレ」が蔓延してしまっています。
こちらの記事をご覧ください。
現在の高校野球における「食トレ」は、プロのアスリートが行っているようなものとは一線を画す。
「量を食え」
これ以上でも、以下でもないのが現状だ。
毎日の食事に「白飯何杯以上」といったノルマが課されるのは当たり前。高校によっては練習中や試合中でも選手に握り飯を食べさせたり、毎日の体重測定を課しているところもある。
(中略)
実際に選手たちに多くの食事を課している高校の監督が、こんな話をしてくれたことがある。
「やはり、体を大きくすることは野球において『即効性』があるんです。技術が同じであれば、パワーのあるほうが球は速くなるし、飛距離も伸びる。選手もそれを理解しているから、頑張ってくれる」
高校球児が実際にプレーする期間は、高校1年春から3年夏までの2年と数カ月。わずか2年間で選手のレベルを向上させるには、細かな技術指導よりもシンプルに「パワー」をつけることのほうが近道なのだ。
そういった視点で見れば、やみくもに見える「食トレ」も、確かに効果はあるのだろう。成長期であり、なおかつ毎日厳しい練習に身を置いている高校球児であれば、プロのように細かな栄養バランスなどを考えずに「質量重視」で食事を摂っても身体は勝手に大きくなる。
この記事は高校野球を蝕んでいる誤った「食トレ」について非常に分かりやすく記事にしてくれています。
間違った「食トレ」では「体重増加」が目的となっています。
その体重増加のために、一番手っ取り早いのは記事にあるように「白米ノルマ」を課して炭水化物を大量に摂らせることです。
栄養バランスを考えて野菜や魚を食べるよりも、その分を高カロリーな食品に充てた方が体重は増えます。
高校3年間だけを考えた場合、確かに高カロリーな物を吐くほど食べ続けてパワーアップした方が勝利に近づくことでしょうね。
動作への介入、地道な基礎練習の繰り返しをするよりも簡単にバッティングもピッチングもパワーが増すことと思います。
ですから、中学生でも高校生でも手早く選手を伸ばすために間違った「食トレ」に手を出してしまうのでしょう。
私が練習試合で出会ったチームでも、タッパ飯に取りくんでいるチームがあり、昼食で3合の白米を課していました。
小柄な1年生2人はなかなか食べられず、午後の試合に参加できず、そして1人は吐いてしまいました。
処理したの私だぞ(´・ω・`)
それは果たして選手のためになっているのでしょうか?
〇当然、正しい「食トレ」に取り組んでいるチームもある!
先に、間違った「食トレ」に取り組んでいるチームの話をしましたが、当然ですが、正しい「食トレ」に取り組んでいるチームもたくさんあります。
先の記事の中でも日大三高の例が出て来ます。
ただ、こういった潮流に待ったをかける指導者も、高校野球界には少なからず存在する。
西東京の強豪・日大三高の小倉全由監督は、近年流行している食トレについて、「ナンセンス」と明言する。
「うちは、食堂の方にカロリー計算をしてもらう程度で、あとは『楽しく食べよう』という意識を持つ程度。無理やり食べさせても選手たちはしんどいだけだし、なにより食事が嫌いになってしまう。量が食べられない下級生の分は上級生が食べてあげたりもしますよ。普段厳しい練習を課しているのだから食事の時間くらいは和気あいあいとやらせてあげたい。あくまでも『食事』は『食事』。『エサ』ではないんだから」
小倉先生のことは大尊敬しているのですが、小倉先生らしい言葉ですよね。
私も楽しく食べることを大切にしているのですが、小倉先生の発言でも「楽しく食べよう」という台詞が出て来ますよね。
小倉先生のおっしゃるように、食事が嫌いになってしまったら全く将来につながらないですよね。
「エサ」ではない。
本当にもっともだと思います。
また、こんな記事もあります。
履正社の選手たちは一部の下宿している選手を除き、ほとんどが自宅からの通学生だ。寮であれば食事管理は一括して行えるが、自宅通学となると、それぞれの家庭で自己管理を徹底しなければいけないため、履正社では入学すると選手だけでなく保護者も交えて栄養に関する座学の研修を行う。
その中で、「5大栄養素」などを含め、栄養に関しての基礎知識を学ぶ。自分たちの体を動かす栄養素とは何なのかから始まり、この食材はこの栄養素が多い、この食材とこの食材との食べ合わせでこんな栄養素が多く摂取できるなど。そこから選手たちは、食べることに対しての重要さを学んでいく。
チームのトレーナーとして、練習メニューだけでなく栄養面のサポートも行う平嶋大輔さんは言う。
「一番大事なのは、自分に今一番何が必要か、何が足りないのかを理解することです。そして、食べることに対しても、ストレスなく取り組めるか。安易に『食べろ』とこちらから言い続けても、それがストレスになって食べることに抵抗を感じてしまう選手もいます。食べることが楽しくなくなれば、体作りにも消極的になるし、野球をするのも辛くなる。無理のない、自分がやれる範囲の中で少しずつでも進歩していくことが大事です」。
大阪の強豪校履正社高校でも正しい「食トレ」を実践しているようです。
栄養に関する正しい知識を身に着けるところから始めている点については将来につながる素晴らしい取り組みだと思います。
こういった正しい「食トレ」であれば私は大歓迎です。
〇正しい食トレで普通の公立校が立ち向かうことはできるのか?
今回、なぜこのような記事を書いたかというと、実は先日秋季高校野球都大会を観に行きました。
今まではただ自分が楽しみたくて高校野球観戦をしていた部分が大きかったのですが、私自身将来のことも考えて、自分が高校野球のチームを持つとしたらという視点で観に行きました。
甲子園常連とまではいかないですが、強豪私学同士の対戦を観に行かせていただきました。
自分は都立高校の指導者という設定で観戦しました。
指導者目線で観たときに、バッティングと走塁の指導、カバーリングなどの徹底すべきことを徹底する組織作りに関しては自分でも負けないなと感じました。
守備は両チームとにかく上手で、そこの指導は自分の課題だなと感じました。
というか、外野ノックをもっと上手にできるようにならないと選手を鍛えられないと本当に反省しました。
ただ、それ以外の部分を見たときに、圧倒的な差を感じたのが、フィジカル面です。
両チームともに、180cmを超えるような長身の選手はほとんどいませんでしたが、
どの選手もユニフォームがはちきれんばかりの身体をしていました(特に2年生)。
パンフレットを見るとやはりなかなかの体重をしています。
実は私の教え子もいたのですが、その子は174cmで79キロもありました(確かに中学生のときからよく食べる子でしたが…)。
ちょっとこのフィジカル面は勝てる気がしないんですよね…。
先ほど、正しい食トレに取り組んでいる2校を紹介しましたが、日大三高と履正社という超名門校です。
はっきり言って、入学時点でもはや身体つきが違います。
甲子園常連校ともなると、名門シニア・ボーイズなどから選手を獲ってきています。
その際に、160cm45キロなんて子が選ばれたなんて話は聞いたことがありません。
絶対無いとは言いませんが、それなりの身体つきの選手を獲得しているはずです。
現に、甲子園常連校で1年夏から活躍する選手はいい身体つきをしています。
これは高校での食トレのおかげではないはずです。
日大三高や履正社ほどではないにしろ、今回私が観戦した2チームもそれなりのフィジカルを持った選手が入部してきていることでしょう。
一方、公立校にはどのような選手が入部してくるのでしょうか?
スカウトが来た選手は私学に流れていくでしょうから、スカウトから漏れた選手が中心になります。
フィジカル的にも大きく劣っていることでしょう。
そういった調査はありませんが、
各野球部の入部時の身体計測を行い調査をしたら、強豪私学と普通の公立校では10cm・10キロくらいの差がすでにあるのではないでしょうか?
その差は正しい「食トレ」で埋めることができるのでしょうか?
そう考えると手っ取り早い炭水化物特化の誤った「食トレ」に走ってしまうのも分からなくもないです…。
〇正しい「食トレ」にプラスアルファの工夫で勝つしかない!
しかし、そこはやはり部活動。
中学野球にしろ高校野球にしろ、勝利至上主義に走ってはいけません。
特に高校野球であれば、どうしても「甲子園」がちらついてしまいますし、学校や地域・OB会などからの期待も背負ってしまうことでしょう。
それでも部活動は教育の一環。
何をしても勝てばいいわけではありませんよね。
選手には引退後までも考えた正しい「食トレ」を指導していくべきだと思います。
そして、それだけでは埋められない差に関しては、指導者が選手とともに工夫していくしかないでしょう。
普通の公立校の話ではありませんが、駒大苫小牧も香田監督時代に他県強豪校との差を埋めるために「徹底的なカバーリング」「積極的な走塁」「冬季の雪上ノック」などに取り組みました。
「徹底的なカバーリング」「積極的な走塁」「冬季の雪上ノック」にフィジカルは関係ありません。
こういった部分で他のチームには無い武器を作っていく中で差を埋めていくことを考えていかなくてはいけないでしょう。
私がもし高校野球指導者をやるとすれば、
・宮川理論をチーム単位で導入。
・走塁、守備の常識を破る革命を起こす。
・SNSやブログを駆使し、子どもから大人までファンを増やす。
・タブレット端末を用いた指導。
・人間形成及び、自立した組織作りに力を入れる。
といったことに取り組み、差別化していきたいと考えています。
特にSNSやブログはもっと多くのチームが活用してもいいのではないかと思うのですが、高野連で禁止されているのでしょうか?
個人的には技術的なことを選手が説明・見本を見せる動画を撮影し、SNSにアップして小学生や中学生が参考にしてくれたり、チームに憧れたりしてくれれば、選手のアウトプットにもなるしウィンウィンだと思うのですが…。
ちょっと最後に話は逸れましたが、「食トレ」について考えてみました。
これから「食トレ」に力を入れようと考えている方はぜひ参考にしていただけたらと思います。
↑これけっこう参考になりました。アフィリエイトはやっていないので参考までに。
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