クラブチームと比べ、デメリットが目立つようになってきてしまった中体連野球部!
中体連野球部主催の合同練習会を頻繁に企画し、野球部のデメリット解消と野球界の裾野を広げる努力をしてはどうか?
〇クラブチームと比べてデメリットが目立つ野球部!
前回このような記事を書かせていただきました。
部活動側の人間でありながら、クラブチームの練習に継続的に参加させていただくことで、これまで以上にクラブチームの良さがはっきりと分かってきました。
正直、中体連野球部が負けている部分は大きいと感じてしまいました。
上記の記事でも書きましたが、はっきりと部活動のメリットと言える部分は、
①金銭面や保護者の負担がクラブチームに比べて少ない。
②毎日のように活動ができる。
という2点しかないように感じます。
日常生活と絡めて指導してもらえる、「人間形成」を意識した指導が成される、という点もメリットとして一応は挙げましたが、それもデメリットになり得る部分です。
テストがあまりできずに部活動停止なんて話も聞きます。
もちろん学校生活あっての部活動なのも分かりますが、過剰に結びつけようとするあまり、部活動のみならず、学校生活に苦痛を訴える生徒も多いのが現状です。
学校教育の一環として「人間形成」も掲げてはいるものの、実際は形だけの挨拶などに留まっていることも多く、クラブチームと大きな差は感じられないような気がします(むしろ部活動以上に人間形成に力を入れているクラブチームも多いです)。
この2点がメリットになり得るかどうかはほとんど顧問次第であり、その顧問も3年間同じかは分からないので、これまた困った問題になります。
では、部活動には、中体連野球部には存在価値は無いのでしょうか?
私はそんなことは無いと思います。
工夫次第でもっともっと良い活動ができると考えていますので、その案を今回はまとめていきたいと思います。
〇中体連野球部の弱点を克服するために、合同練習会を頻繁に開催しよう!
まず、中体連野球部の大きな弱点を真剣に受け止めなくてはいけません。
中体連野球部はクラブチームと違い、野球指導の専門家が野球部を受け持つわけではありません。
前回の記事でも申し上げましたが、これは致し方ない部分です。
この部分を変えることは現状のシステムではできません。
それに、野球経験者が顧問になったからと言って、野球指導者としては未経験の部分からスタートする人がほとんどですから、指導者の平均レベルとしては白旗を上げざるを得ないと思います(もちろん個々には相当にレベルの高い方はいます)。
加えて、教員は非常に多忙です。
平日の練習が行えるところがメリットとは言え、そこに教員が常についていられることはあまり無く、選手たちだけで行わなくてはいけないことが多くなってしまいます。
その両方の弱点を克服しさえすれば、中体連の良さをもっと出すことができると私は考えています。
その方策としては、
「中体連野球部主催の合同練習会を頻繁に企画すること」です。
これはあまり規模が大きくなってしまっても大変になってしまうと思いますので、市内レベルくらいがちょうど良いのではないかと思います。
たとえば、八王子市なら八王子市で毎週合同練習会を企画するといった案です。
これまでの中体連野球部の学校ごとの関わり方は主に練習試合を行うという関わり方であったと思います。
私も前任校では年間100試合程度練習試合を組んでいましたが、練習試合は主に自分のチームのために行う他校との関わりです。
練習試合を行う中で、他校の選手にアドバイスをすることや、他校の指導者の方と意見交換をすることももちろんありますが、それは中心ではありません。
それに、多くの指導者は市外のチームと練習試合を組む傾向にあります。
それは、市内チームにはなるべく手の内を明かしたくないという理由であったり、より高いレベルのチームと対戦する経験を積ませてあげたいという理由からであったりすると思います。
また、そういった練習試合が基本的な他校との関わりになってしまっているせいで、部員が少ないチームはなかなか他のチームと関わりが持てないでいる場合も多いです。
チームで5人しかいないけれども実戦経験が積みたいと思っても、なかなか受けてくれるチーム、指導者がいないのが現状です。
特に未経験顧問の方がそういうチームをもった場合には
「チームのレベルが低くて、申し訳なくてお願いできない」
という気持ちをもっていらっしゃるようです。
市内中体連規模で頻繁に合同練習会を開催すれば、先に述べたような中体連野球部の弱点はだいぶ解消されます。
毎週末輪番で会場校を決め、中体連所属の選手が集まり、そこで合同練習会を行うのです。
もちろん、強制ではなく、練習試合を入れるチームやオフにするチーム、単独で練習を行いたいチームなど自由で良いと思います。
しかし、そういう場を設けることによって、最低限の技術を身に着ける場を提供することができます。
5チーム集まれば5人以上の指導者がいるわけです。
内野守備を教えるのが得意な先生、外野守備を教えるのが得意な先生、バッテリーの指導が上手な先生など個性があると思います。
初めはそれぞれの先生が得意分野を分業で教えるような形を取ります。
そうした交流の中で、自分が苦手な分野の指導もできるようになっていくかもしれませんし、野球未経験の先生も指導できるようになっていくかもしれません。
少なくとも選手を参加させるだけで、自分が指導できなくとも最低限の技術指導の場は確保できます。
人数が少ないチームも合同練習会であればシートノック、ケースノック、簡単なゲームもできます。
また、中体連主催という形を取ることで、今週は顧問の都合が悪いので、選手だけ向かわせますということも可能になるかもしれません。
これは教員の多忙化の緩和にも寄与できるかもしれません。
そして、練習の最後に、全体的な課題を確認し、平日練習でこのような内容をやったらいいのではないかという話を顧問同士で行えば、野球未経験の顧問の方もずいぶんと助かることになります。
この形であれば、夏休みなどの長期休みも頻繁に行うことで、どこの中学校野球部であっても最低限の技術指導を保障できることになると思いませんか?
むしろ、土日しかできないクラブチームに勝る部分も出てくるかもしれません。
↑上記の意見について、こちらの記事でも少し触れていますので、ぜひご覧ください。
〇そのためには市内中体連での連携の強化を!
先の案を実行するためには、市内中体連野球部での連携を強化し、自分のチームが勝てればそれで良いという考えを捨てる必要が出て来ます。
この部分が相当にネックになるのではないかと思いますが、先にも述べたように、強制ではなく、有志チームでの合同練習から始め、緩やかな参加を求めるところからスタートするのが良いのかなと思います。
いろいろな指導者の方に時々お誘いする中で、学期に1回でも参加してもらえるようになったら儲けものくらいの考えでやっていくところからで良いのではないでしょうか?
私は元々、聞かれたら全部教えてもいいと思っているタイプなので合同練習会で自分の持っているものは全て伝えていいと思っていますが、そういった形で、市内中体連規模で選手を育てるんだというまとまりが出てくれば、もっともっとクラブチームに流出する選手も減るのではないかと思います。
また、合同練習で選手数が増えれば、資金調達もしやすくなるので、講師の方を招いての野球教室を行うことも容易になるかもしれません。
これからの中体連野球部の活動がもっともっと良くなるためには、自分のチームが「全国大会出場」「プロ野球選手輩出」ではなく、中体連野球部所属のチームが「全国大会出場」、そして選手が「プロ野球選手」にということを目標にしていくべきなのかもしれませんね。
関連記事です。