ピッチングで外角にしっかりと投げ切るコントロールを身に着けるためには!?
私なりの指導の工夫を紹介します!
リリースや腕の振りにはできるだけ触れないようにしましょう!!
〇まずは外角にしっかりと投げるコントロールを!
こんな私ですが、たまにピッチング指導について聞かれることがあります。
自分自身はこれ以上ないくらいノーコンなんですが、わりとコントロールの良いピッチャーを育てるのは得意です。
といっても、外角や内角に投げ分けることができるといったアバウトなコントロールです。
外角低め、内角高めに正確に投げるといったコントロールを求めるところまで指導する選手はほんの一握りです。
中学生に指導する場合はまずは外角にしっかりとストレートを投げることができるようになることが重要だと考えています。
これは上記の記事にも書きましたが、野村克也氏も重視している能力です。
外角は多くのバッターにとって弱点となるゾーンです。
メジャーリーガーのように大柄になってくると外角低めもなんなく届き、逆に腕をたたむ必要のある身体に近い内角高めが弱点になることもあります。
しかし、中学生レベルでは稀に外角に強いバッターもいますが、それは少数で、特に身体が小さい選手はそもそも外角を打つ際になかなか力が入らないので長打を浴びる可能性が低いです。
外角低め、原点に投げることができれば尚更すばらしいですが、
最初の段階では外角のラインに投げることだけを求めるようにしています。
高めに多少浮いてもなかなか長打の可能性は少ないですし、外角低めに投げようとして腕が振れなくなったストレートが真ん中付近に行ったときの方が怖いです。
ということで、選手にもよるのですが、私は中学1年から2年の秋くらいまではひたすら外角にストレートをしっかりと投げることができるように練習させます。
では、そのコントロールを身に着けるためにはどうしたら良いのでしょうか?
私なりの工夫を紹介したいと思います。
〇コントロールをアップさせるには正しいフォームを身に着けること!
私の場合、球速を上げる練習もコントロールを身に着ける練習もほぼ同じです。
その選手に合った「正しいフォーム」を身に着けるだけです。
こちらに私がピッチング指導の際に意識していることがまとめられていますが、このチェックリストの項目を意識して、間違ったフォームを修正する作業を時間をかけて行っていきます。
特に、軸足でしっかりと立つということができない投手が非常に多いです。
スローモーションで見る 千賀滉大 ブルペン投球練習 2017 春季キャンプ編
自由な足を上げた際に「軸足で立つ」というのも一瞬のことなので、投手本人も、場合によっては指導者の人も軸足でしっかりと立てているか分かっていない場合があります。
プロ野球選手のほとんどの投手は一瞬であってもしっかりと軸足で立つことができていて、この一瞬がその後のフォームの安定感を生み出しています。
要するに軸足でしっかりと立つことが球速アップとコントロールアップにつながるわけです。
今回のテーマはコントロールですから、コントロール的な話をすると、軸足でしっかりと立つことができていれば、コントロールミスは軸足で立った後の問題だと分かります。
軸足でしっかりと立つことができていないままのコントロールミスはどこのミスなのか、たとえば自由な足を上げた際にバランスが微妙に崩れたことなのか、など修正がなかなか困難になってしまいます。
軸足でしっかりと立つことを意識づける指導方法として、「3点スイッチ」をおすすめします。
千賀投手の動画に合わせて「ピッ」とスイッチを入れる練習をしてみてください。
特に2点目のスイッチをしっかりと入れることで軸足で立つ意識がかなりつきます。
また、最近は4スタンス理論も少し取り入れています。
A1、B2タイプの選手は軸足で立つ際に自由な足をクロスさせ、A2、B1タイプの選手はそのまま真上に上げるように指導しています。
やはりその方がしっくりとくるようです。
4スタンス理論のタイプ分けはこちらが分かりやすかったです。
4スタンス理論についてはこちらの記事もご覧ください。
後は自由な足を踏み込んでいくわけですが、ここの練習は「かませ歩き」で行っています。
このかませ歩きができるようになると、軸足でしっかり立ってからのピッチング動作がかなりスムーズになります。
その後体重が自由な足に乗っていくわけですが、その体重の移し替えの部分はこれまた別の練習で行います。
↑こちらの体重移動の練習をメインに行っていきます。
そして最後はフィニッシュ。
私はターンフィニッシュというフィニッシュを推奨しています。
こちらのフィニッシュは球速とコントロールを両立できるフィニッシュなのでおすすめです。
最近は、4スタンス理論でAタイプの選手には前足体重でフィニッシュするターンフィニッシュ。
Bタイプの選手には後ろ足体重でフィニッシュするターンフィニッシュをおすすめしています。
前田健太投手はときどきしかターンフィニッシュしませんが、前足体重のフィニッシュです。
Aタイプの投手にはこういうイメージでもいいよと話しています。
こういった形でフォームを定着させていきます。
もちろん、個人個人特性があるので、全く同じフォームにしようとは思っていませんし、しない方がいいと思いますが、ポイントは抑えるようにしています。
そのポイントを抑えるために様々な特別な練習をすることはありますが、基本的には私のピッチング指導はこの個々に合ったフォームをいかに定着させるかです。
そのフォームを定着させていくことで球速やコントロールがアップしていくので、特別にコントロールをアップするための工夫というのはありません。
強いて言えば、ハーフバッティングで緩い球でストライクを取る練習をすることくらいでしょうか?
ですから、フォームを定着させる練習しかしていないのに、勝手に外角のラインにビシビシと投げられるようになるので、選手も自分でびっくりすることが多いです。
正しいフォームで投げることができれば、いいコースに行くんです。
〇リリースや腕の振りを細かく指導することはリスクがある!
ということで、ここまでコントロールを身に着けるための私の指導を紹介してきましたが、お気づきになられたでしょうか?
私は基本的に一切リリースや腕の振りには触れないようにしています。
↑こちらの記事に詳しくまとめてあります。
コースが大きく外れた場合、ほとんどはフォームの問題です。
突っ込み過ぎた、あるいは身体が回って来なかった、このどちらかが多いです。
これは指摘します。
最終的には自分で気づいて自分で修正できるように持っていきます。
しかし、高低のズレに関してはあまり気にしないようにしています。
高低のズレの多くはリリースや腕の振りの微妙なミスです。
「ちょっと浮いちゃったね」
「ちょっと沈んでるね」
なんて事実を伝えることはありますが、そこの修正は選手に任せます。
リリースや腕の振りは他の投球の要素と異なり、繊細な部分です。
具体的に「~~といった感じでリリースして!」といった指導をする方もいますが、非常に繊細な部分に触れることになるのでリスクが大きいです。
もちろん、故障する恐れがあるような肩・肘の使い方であった場合は修正する練習を別個行うことはありますが、そうではなく、コントロールに関してリリースや腕の振りに触れるには指導者にも相当な能力が求められると思いますし、少なくとも私にはそういう力はありません。
自分がこういう風にやって上手くいったという感覚を伝えたところで、選手には上手く伝わらないかもしれませんし、そもそも感覚を言葉にするということはなかなかに困難です。
最悪「投げ方が分からなくなった」「イップスになった」なんて選手が出てくる可能性があります。
↑イップスについてはこちらの記事をどうぞ。
基本的にはリリースや腕の振りに関しては本人が投げやすいようにやらせてあげるのが良いのではないでしょうか。
少なくとも、そこを気にするのは最後です。
まずは正しいフォームを身に着けることでコントロールアップを目指してやっていきましょう。
↑選手自身がリリースの感覚を掴む練習はあります。
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