故障を抱えている選手にどんな練習をさせるか?
悩みどころではないですか?
〇何もできることがないということはほとんどない!
今回はケガ人の扱い、ケガを抱えている選手にどのような練習をさせるかということについてまとめたいと思います。
ケガと言ってもいろいろなケガがあります。
肩や肘のケガ、膝や足首のケガ、腰のケガ、など選手によって痛めているところは違います。
また、医者からの指示も選手によって異なります。
ですから個々に応じて対応は変わってきますが、
私は原則的にできる練習はやらせます。
医者から絶対安静などと言われた場合はもちろん別ですが、何もできる練習がないということはほとんどないはずです。
なぜ原則的にできる練習をやらせるのか?
この理由が非常に重要です。
私はパワハラ的な理由で、
「そのくらいのケガならできるだろ!」
というのは嫌いです。
そうではなく、選手の心身の健康のために部活動に参加させ続けたいのです。
選手本人も、周囲のチームメイトも人間的にできた集団であれば、故障をして二週間自宅で安静にするという判断でも構わないと思います。
しかし、人間的にまだまだ未熟な中学生だと、部活動に出ないことで様々な不都合が出てきます。
まず、本人の気持ちが切れてしまう可能性があること。
それまで一生懸命に練習をしてきても、ケガで野球ができない時期があると、
「もういいや」
となってしまうことがあります。
一日二日ならまだしも、数週間というのは子どもにとっては相当に長いのです。
練習に参加さえすれば、たとえ大した練習ができなくとも指導者やチームメイトとコミュニケーションを取ることができます。
そうすれば気持ちが切れにくく、ケガが治ったときにスムーズに練習に復帰ができます。
休んでいると、治ってもそのまま来づらくなってしまう場合も多いです。
また、チームメイトもまだまだ人間ができていませんから、長期間休んでいる選手がいると、その選手に心無いことを言ってしまうことがあります。
「あいつはサボっている」
「昨日の練習はキツかったけど、お前は休みでラッキーだったな」
「あいつ練習はできないけど遊んでいるらしいよ」
なんてことが悪意があっても無くても会話の中で出てしまうことがあります。
そうなるとその選手は部活にも学校にも行きづらくなってしまいます。
当然そんなことが無いように指導はするのですが、絶対にそういうことが無いと言えないのが中学生です。
また、何も身体を動かさないでいるよりも、少しでもやれることをして身体を動かしていた方が復帰したときに身体的に厳しいということもありません。
できる部分を鍛えておけば、復帰したときにプレーヤーとしてより成長できます。
ですから、選手やチームのために、私はケガをしていても、よほどひどくない限りは練習に参加させることをおすすめします。
当然、その意図を本人および保護者にしっかりと伝え、了解を得る必要はあります。
↑そもそも部活動中の故障は無いように配慮はしなければいけませんが、どうしてもケガをしてしまうことはありますし、部活動以外でのケガもありますよね。
〇故障に応じてできる練習を!
たとえば肘をケガしている場合は、投げたり打ったりすることに支障が出るでしょうが、走ったり筋力トレーニングをしたりできます。
足を痛めていても、椅子に座ってスローイングの練習やバッティングの練習、あとはダンベルで上腕を鍛えたり、握力を鍛えたりはできます。
できる練習は全体といっしょに行わせて、できない練習メニューの際に別メニューにするという形をとるわけです。
極端なことを言うと、骨折していてもできる練習はあります。
・肩、肘のケガ→ランメニュー、チューブ、筋トレ、やれる場合はバッティング練習
・腰のケガ→チューブ、柔軟、リストカールなどの手首強化、やれる筋トレ
・足のケガ→椅子に座ってスローイングとバッティング、チューブ、できる筋トレ
など個別にメニューを考え、少しでも練習をさせるべきです。
経験上、何もやらせないよりも、少しでもできるメニューをやらせた方が復帰は早くなるし、復帰した際に慣れるのが早く、再故障のリスクが減る感じがしています。
もちろん、痛い部位を酷使させるという無理は禁物ですし、医師から許可が出ていることが前提にはなりますが。
場合によっては入念にストレッチを続けるでも構わないと思います。
↑バランスボールなんかもいいかもしれませんね。
〇故障している選手のモチベーションを維持する方法
また、これはメニューとは異なりますが、ケガを抱えている選手はどうしてもモチベーションが低くなってしまいます。
そこで、私はケガをした選手とは必ず個別に面談をするようにしています。
その面談で
①復帰を待っているということ
②選手の目標は何なのか再確認すること
③ケガをしていてもできることがあるということ
以上を話します。
そうすることで少しでも気持ちが切れるのを防ぐわけです。
以前、外野手のレギュラーを取りかけたところで肩を痛めてしまい、1か月ほど投げてはいけないと言われた選手がいました。
私はその選手と話をして、「この1か月を有効に使い、スイッチヒッターに転向しよう」と提案しました。
幸い軽い素振りはできる状態だったので、彼はやる気になり、練習中もくもくと左でスイングしていました(余談ですが、初めは靴ベラから始め、ほうき、軽量バットと変えていきました)。
1か月たち、彼が復帰するころにはまだまだ未熟なものの左バッターっぽくなっていて、足を活かしてさらに活躍できるようになっていました。
もちろんケガ人は出ない方がいいに決まっていますが、ケガ人が出てしまった場合はこのように対処してみてはいかがでしょうか。
↑こちらの記事もご覧ください。
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