MLBで守備力を測る指標として多く用いられているDRS!
その意味や算出方法を解説します!!
2017シーズンメジャーリーガー555人の通信簿 2017年 12 月号 [雑誌]: スラッガー 増刊
- 出版社/メーカー: 日本スポーツ企画出版社
- 発売日: 2017/10/24
- メディア: 雑誌
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セイバーメトリクスシリーズはこちらです。
〇DRSとは?
DRS(=Defensive Runs Saved)とは、日本語に訳すと「守備防御点」のことです。
ベースボール・インフォ・ソリューションズ社社長、ジョン・デュワン氏が開発したそうです。
このDRSとはUZRと並び、野手の守備力を測る指標として2003年からMLBで用いられています(残念ながらNPBでは用いられていません)。
UZRについてはこちらの記事を見てください。
UZRは簡単にいえば、守備率や補殺数だけでは表すことのできない守備範囲までも含めた守備での貢献度を表す指標でした。
実はDRSもほぼUZRと同じように、守備率や補殺数だけでは測ることができない守備での勝利への貢献度を表そうという指標になります。
要するにかなり似ています。
DRSはUZR同様に各選手の守備力を数値で表します。
DRSの場合、±0が平均となり、+15でゴールドグラブ級と言われています。
+15の場合、守備で平均的な野手に比べて15点分も多く失点を防いだという意味になります。
DRSが優秀な選手についてはのちほど紹介したいと思います。
〇DRSとUZRの違い!
DRSとUZRですが、算出方法もかなり似ています。
DRSを算出する際にはMLB全試合をビデオ解析し、打球の難易度を徹底分析します。
球場を数百のエリアに分割して、打球の強さや軌道などを記録し、その打球をそのポジションの選手が何%捕球できたかを出します。
この確率が平均よりも低い打球をアウトに出来た選手に加算されていくというシステムになっています。
当然、逆にアウトに出来ない場合減点されていくことになります。
また、上記にプラスしてバント処理、ダブルプレーの中継、ホームランキャッチなども加味されます。
よく疑問に思われるUZRとの違いですが、
①球場を分割するエリア数が異なる(UZRは78)。
②打球難易度がDRSは1シーズンのみで算出される、UZRは蓄積されていく。
③DRSは投手と捕手の数値も算出される。
といった違いがあります。
DRSの方が算出方法はやや複雑になっているようです。
また1シーズンのみで算出されるため、単純に過去のプレーヤーとの比較はできません。
同じくDRSが+15の選手であったとしても、その年の平均的プレーヤーに比べてどのくらい失点を防いでいるかを表しているため、守備が上手な選手が多いシーズンなのか、少ないシーズンなのかによって、全く同じパフォーマンスをしたとしても数値が異なるわけです。
DRSはその年の他の野手との比較に特化していると言えるでしょう。
また、データ算出企業によって、WARを算出する際にDRSを使用するかUZRを使用するかも異なります。
Baseball Reference社のWAR(rWARとも言います)ではDRSを採用しています。
もう1社セイバーメトリクス算出で有名なFangraphs社版のWAR(fWARとも言います)ではUZRを採用しています。
↑WARはこちらからどうぞ。
といったように、基本的には同じような守備指標なのですが、微妙に異なる部分があり、要するに企業努力によって、より守備力を正確に表すにはどうしたら良いか研究していった結果、ベースボール・インフォ・ソリューションズ社社長、ジョン・デュワン氏はDRSにたどりつき、Baseball Reference社はそれを採用していると考えても良いと思います。
〇DRSの高い選手を紹介!!
2016年シーズンはDRS+32、2017年シーズンは+31というとんでもない数字を残した選手がいます。
それはレッドソックスのムーキー・ベッツ選手です。
こちらの記事で特集させていただきましたが、攻走守ともにハイレベルな外野手です。
全体2位のキアマイアー選手が+25ですから、いかに傑出した数字かが分かります。
では、ムーキー・ベッツ選手の守備を見てみましょう。
Mookie Betts Defensive Highlights 2017 (Boston Red Sox)
こちらは2017年の守備ハイライトですが、すごい守備を連発していますね。
球際に本当に強いイメージがあります。
内野手ではエンジェルスのショート、アンドレトン・シモンズ選手が2017年シーズン+32を記録。
【MLB】怪物アンドレルトン・シモンズ好プレー集(2017年)
シモンズ選手が2017年シーズンのDRSトップになっています。
シモンズ選手は守備の名手としてかなり有名ですが、2017年シーズンはバッティングもかなり好調で打率.278、ホームラン14本を記録。
WARも7.1と全体4位の大活躍でした。
ただし、歴代記録は2015年のキアマイアー選手の+42だそうで、ちょっと数値が高すぎて誰も抜けなそうな感がありますね汗。
キアマイアー選手はホームランを捕るからね。
Kevin Kiermaier 2015 Defensive Highlights
何度見て上手過ぎる…(´・ω・`)
ちなみに日本人メジャーリーガーで一番守備が上手だと思われるイチロー選手は2004年に+30を記録。
キアマイアー選手やベッツ選手には及ばないものの、これもかなりの数字。
やはりイチロー選手の守備はメジャーでもトップクラスだったんですね。
関連記事です。