ピッチャーのフィニッシュには様々な方法があります!
いろいろなフィニッシュがありますが、その中でもおすすめのフィニッシュを紹介します!!
ピッチング指導チェックリストもご覧ください。
〇ピッチャーの日本式フィニッシュ!
みなさん、ピッチャーを指導する際に、どのようなフィニッシュを推奨しているでしょうか?
日本人投手のほとんどは下の動画のようなフィニッシュをしています。
個人的に日本人投手の代表的な投げ方をしていると思っている田中将大投手です。
多くのフィニッシュで利き手側の横に軸足が来るのがお分かりいただけるでしょうか?
多くの日本人投手がこのようなフィニッシュをしています。
古くは桑田真澄投手も典型的な日本人投手の投げ方だと思っていますが、やはり軸足が利き手の横に来るフィニッシュになりますね。
このフィニッシュを仮に日本式フィニッシュだとします。
この日本式フィニッシュの良いところは制球しやすいというところが一番に挙げられます。
この後に紹介するMLB式のフィニッシュは制球が難しくなる上にかなりの筋力も必要としますが、日本式フィニッシュの方が楽に投げることができて、疲れも少ないように私は感じています。
また、守備に移りやすいのも特徴です。
ピッチャーゴロもそうですが、サード前のバントの処理もしやすいです。
ただし、NPBでは150kmを超えるとかなりのスピードボールと言われますが、MLBで150kmはあまり速い方ではありません。
田中投手でさえ、MLBでは変化球投手の位置づけでした。
日本式フィニッシュの短所はスピードが出にくいところと言えるでしょう。
この日本式フィニッシュでもスピードが出る投手はいることはいるのですが、その場合凄まじい力が着地後の自由な足にかかることになります。
日本式フィニッシュは自由な足を着地させるときにしっかりと堪えることによって、身体の回転スピードを上げるフィニッシュだからです。
大谷翔平投手はの日本ハム時代は日本式フィニッシュでもスピードが出る典型だと思いますが、大谷投手の場合、出力が他の日本人投手とレベルが違います。
ですから日本式フィニッシュでも155キロほど出ていますが、本気で投げるときは後述する別のフィニッシュになっています。
また、その場合でも自由な足にかかる負担を減らすためにオートマチックにキックバック(自由な足が勝手に浮く現象)しています。
ちょっと大谷投手は特殊な例なので別枠扱いしたいと思います。
ということで、日本人投手のほとんどは日本式フィニッシュです。
日本人投手のほとんどがこのようなフィニッシュをしているということはアマチュア~プロまで多くの指導者がこのフィニッシュを推奨しているのではないでしょうか?
〇MLB式のフィニッシュとは?
それに対してMLB式のフィニッシュは日本式のそれとは大きく異なります。
私が大好きなドジャースのクレイトン・カーショー投手です。
フィニッシュに注目して欲しいのですが、明らかに日本式フィニッシュとは異なりますよね。
MLB式フィニッシュと仮に呼ばせてもらいますが、MLB式フィニッシュの特徴はフィニッシュで自由な足で堪えるのではなく、回転した勢いをそのままに身体をグラブ方向に倒すフィニッシュになります。
もちろんカーショー投手だけではなく、MLB投手の多くがこのフィニッシュを採用しています。
モノマネされることで有名なキンブレル投手もグラブ側に倒れるMLB式フィニッシュですね(というかああやってモノマネされたら私だったら投げれないです…)。
本当にほとんどの投手がこのようなフィニッシュになっています。
↑ちなみにキンブレルのモノマネはこちら(´・ω・`)ヒドイ
以前紹介した塚口洋祐氏のBPL理論ではこのフィニッシュを推奨しています。
詳しくはこちらの記事を読んでいただきたいのですが、塚口氏はこのMLB式フィニッシュのことを「ターン&タンブル」フィニッシュと呼んでいます。
ターン&タンブルの一番の特徴は回転する身体の勢いをそのままボールにぶつけるようなフィニッシュになるのでスピードが出るというところですね(もちろんMLBの投手のストレートが速いのはそれだけが理由ではないと思いますが)。
正直、このフィニッシュで1試合投げたことが無いので分からない部分もあるのですが、おそらく日本式フィニッシュよりも全身を使う分疲れると思います。
ただ、意外にも自由な足で堪えずに体重を逃がすようなフィニッシュになるので、自由な足にかかる負担は減らすことができるフィニッシュになります。
日本式フィニッシュに比べコントロールが難しくなるというデメリットがありますが、これは慣れである程度なんとかなります。
一番のデメリットは守備が難しくなるところです。
特にグラブと反対側のバント処理はかなり難しくなるのが特徴です。
このフィニッシュを身に着けるのはなかなかに難しいです。
身体を大きく回転させる力を得る必要があるので、カーショーのように大きく自由な足を上げる投手が多くなります。
この足の上げ方を塚口氏は「ライアン上げ」と呼んでいます。
ヤクルトの小川投手が新人の頃、「ライアン上げ」で有名になりましたよね。
彼は日本人ですが、カーショーのような「ライアン上げ」をしていますよね。
「ターン&タンブル」までは行きませんが、日本式フィニッシュよりは勝手に軸足が前方に来ているのが分かると思います。
「ライアン上げ」をすることで自然と勢いがつくので、「ターン&タンブル」と「ライアン上げ」はセットになるのが基本になります。
このことが習得を難しくしていますよね。
〇最後におすすめの「ターンフィニッシュ」!!
では結局どのフィニッシュが良いのかという話になるのですが、結論を言えば個人に合ったフィニッシュが良いと思います。
ただ、自分はどういう投手を目指したいのかということが無いとどういう成長曲線を描いていきたいのかが分かりません。
まず目標があって、それを達成するための練習、フォーム固めになるはずですから、具体的にどんな投手を目指したいのかをまずしっかりと考える必要があります。
目標設定の重要性については以前こちらの記事にまとめています。
選手に目標を聞いたときに、多くの選手はやはり
「ストレートで空振りを取りたい」
「130km投げられるようになりたい」
などとある程度スピードが求められる目標を立てることが多く感じています。
また、変化球投手を目指すとしても、やはりある程度ストレートを投げることができてこその変化球です。
ですので、フィニッシュは選手によるのですが、私は一度「ターンフィニッシュ」に挑戦することをおすすめしています。
「ターンフィニッシュ」とは先に紹介した日本式フィニッシュとMLB式フィニッシュ、この二つのフィニッシュの中間にあたるフィニッシュになります。
要するに、身体を前方まで回転はさせるものの、グラブ側へは倒れ込まないフィニッシュのことです。
このフィニッシュの優れたところはスピードとコントロールを高いレベルで両立できるところになります。
代表的な投手は西武ライオンズの菊池雄星投手です。
《THE FEATURE PLAYER》あふれる躍動感!! L菊池 『脚ピン奪三振』まとめ
どうでしょうか?
見事な「ターンフィニッシュ」です。
ちなみにここまで足を高く上げる必要は特にありません。
この「ターンフィニッシュ」はやってみると分かりますが、一番下半身に負荷がかかるフィニッシュです。
最後に自由な足一本で踏ん張らなくてはいけないので下半身強化が必須になります。
下半身が弱いと試合の途中で足がつってしまうくらいのフィニッシュです。
菊地投手の場合、その負荷を逃がすために最後にケンケンするくらい「キックバック」が大きく入っていますよね。
これはオートマチックで入る動きなので、なかなか真似することはできませんが、そのくらいのエネルギーがボールに乗るということです。
決して簡単なフィニッシュではありませんが、スピードとコントロールを高いレベルで両立できるフィニッシュなので、挑戦してみて欲しいところです。
特にフィジカルで劣る選手はこういうテクニックを用いることでスピードを諦めないで欲しいと思います。
こちらの動画は女子プロ野球の日本を代表する投手の磯崎投手のピッチングです。
日本を代表する投手ですが、残念ながらスピードは出ませんよね(これでも速い方です)。
フィジカルでは男性に劣る女子プロ野球でもぜひ「ターンフィニッシュ」を採用して欲しいと個人的には思っています。
最後にターンフィニッシュができるようになる練習を紹介して終わりにしましょう。
これらの練習は二日に一度程度行うようにしてもらえたらと思います。
スピードとコントロールの両立できるターンフィニッシュ。
ぜひ挑戦してみてください。
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