野球人口激減時代!
野球人口を増やすためにはどうしたら良いのでしょうか?
長期的な視点でみなさんで考え、できることをしていきましょう!
〇野球人口激減時代!
野球人口激減時代に突入しています。
こちらの記事にも書きましたが、少子化の勢い以上に野球人口が減少していくであろうことは広尾氏がとうに予見していましたが、当時はあまり真剣に受け止めてくれる野球関係者も多くなかった印象です。
そこから広尾氏の予測通りに野球人口は減少。
中学野球部員数でいくと、広尾氏のブログによると2013年に24万人以上いたのが、2023年に13万人を割っているそうです。
サッカー部員数にももちろん抜かれていますが、2020年からはバスケットボール部員数にも追い抜かれているそう。
野球の場合は外部のクラブチームで活動する選手がサッカー・バスケットボール以上にいるでしょうが、それでも激減しているのは間違いないでしょう。
詳しくは広尾氏のブログをご覧ください。
もちろん、こうした現状を受け、各カテゴリー、いろんな団体が野球人口を増やす取り組みを行っています。
こちらの記事が相当に詳しく、分かりやすかったです。
こちらの記事によると、2019年に野球普及振興活動は5933回も行われています。
活動の中心は体験活動と野球教室になっており、合わせて50%近いようです。
のべ97万人が参加しているということで、野球普及振興活動は精力的に行われていると言ってもよいのではないでしょうか?
しかし、先の広尾氏の記事とリンクさせると、これらの活動が野球人口増につながっていない、もしくは野球人口減に歯止めをかけることにつながっていないと言えるのではないでしょうか?
この理由については、先の野球人口の減少を食い止めるための活動の実態とは? | 少年野球情報・監督インタビュー (baseball-japan.jp) でも
「野球をしていない子どもたちを対象にした活動が少ないことだ」
と言及されています。
また、広尾氏も
しかし野球界は、高校、大学、社会人、プロが全部バラバラなうえに、そうした団体のトップは、普及活動への理解が薄く「何もしていない」。
だから、野球教室の活動が、点から線へ、面へとなることがないのだ。競技人口を本当に増やすためには、トップが有能で行動的でなければならない。「名誉職」であったり、定年までの日数を考えているような人物では、逆風の時代は務まらない。
野球の記録で話したい : 野球の競技人口が減り続けているのは「トップが何もしていないから」 (baseballstats2011.jp) より
と野球界がサッカー界のように一枚岩ではないこと、プランが無いことを理由としてあげています。
私もその両方が理由ではないかと感じています。
たとえば中体連野球部でも、近年NPB球団主催の野球教室の誘いが来るようになりました。
NPB球団主催の大会も行われる地域もあります。
ですが、対象となる生徒はすでに野球部に所属しているわけで、野球人口増につながっているのかはよく分かりません。
大体がNPBのOBが来てくださるので、喜んでいるのは大人のように見えます(悪いことというわけではありませんが)。
私がよくMLB中継や「仰天映像」系バラエティ番組を見ていて感じることがあります。
それは明らかに野球を「ガチ」にはやっていたことが無さそうな体型の人(失礼)が野球を見て楽しんでいる、もしくは遊んで楽しんでいるということです。
MLBカード愛好家の映像を見ても、「野球を本格的にはやったことないけれど観るのが好きなんだ」っぽい人がたくさんなんですよね。
↑会場にもファットな人がたくさん。
実際、MLBも観客動員で苦戦している部分はあると思うので、アメリカが正しいというわけではないのですが、まずどこを目指すのかが大事ですよね。
私はここに野球人口増のヒントがあると思っています。
〇「ガチ」ではない選択肢!
たとえば、卓球やテニスなどのスポーツを楽しむ場合、「ガチ」ではない選択肢がありますよね。
むしろ、日本の場合、「ガチ」ではない選択肢(=生涯スポーツ)を選ぶ人の方が多いのではないでしょうか?
対して野球の場合はどうでしょう?
少なくとも、高校野球を考えた場合、「ガチ」な選択肢しか思い浮かびません。
365日野球漬け、相当な覚悟が無いとやり切れないのが野球というイメージです。
そこがあるために、軽い気持ちで野球を始めることがなかなかに難しいのが現状だと思います。
たとえば、私の息子は「友達がやっているから」という軽い気持ちでサッカークラブに入りました。
親の私も別に高校や大学までサッカーを続けて欲しいとも思っていません。
週に1回、1時間半の練習、親は行っても行かなくても構わないという緩いクラブです。
そのうち別のスポーツに転向してもいいでしょうし、一旦やめても将来、休日に友達とサッカーなんかを親しむようになってもいいなと思っています。
ですが、近隣の野球クラブのHPを見ると、
「活動日は土日の午前午後一日活動。保護者同伴のお願い。当番制。」
いきなり「ガチ」を強いられてしまいます。
もちろん、近年緩い少年野球クラブも増えていますが、残念ながら私の近隣にはありません。
広尾氏も述べていますが、せっかく保育園児や小学生が野球体験で野球を楽しいと思ってくれても、緩く始める受け皿がないのです。
また、先に触れたように、日本の野球振興活動はすでに野球に親しんでいる人がメインターゲットになっていて、どちらかというと、すでに野球少年の子に、「ガチ」に続けてもらうための振興活動が多くなってしまっているように感じます。
保育園児や小学生の体験活動に来てくれる子の保護者の多くはすでに野球ファンです。
要はそもそも野球ファンの内輪で自分の子に野球をやらせる。
もちろんその割合は100%ではないから野球人口は減っていくという構図ができてしまっていると思うのです。
こうしたことを全て踏まえて考えると、野球人口を増やすためには2点が重要になってくると考えられます。
1、新たな野球ファンを獲得すること。それはガチな野球選手でなくとも良い。むしろ健全な野球好き(プレーせずとも構わない)を増やすことが望ましい。
2、ガチではない受け皿を増やすこと。これは少子化も踏まえると新たに増やすのではなく、現在あるもののあり方を検討し直すべき。
の2点です。
〇健全な野球好きを増やす
まず1つ目の「新たな野球ファンを獲得すること。それはガチな野球選手でなくとも良い。むしろ健全な野球好きを増やすことが望ましい。」に関して言えば、野球振興活動を通じて、「野球部」の人口が増える必要はありません。
野球振興活動を通じて野球に少しでも興味をもってくれる人が増えてくれれば、野球部に入らなくとも草野球等で野球を親しむようになってくれるかもしれません。
さらに、長い時間はかかりますが、その人のお子さんが野球を選択してくれる可能性が出てきます。
ですが、現在はガチな野球選手が増えないなら意味がないような雰囲気です。
ガチな野球選手を増やすことも、国際大会で勝つことを考えると必要かもしれませんが、反面、ガチな選択しかない、加えて日本の場合、そのガチな選択肢が理不尽なイメージまでつきまとうため、ガチな選手を増やすことに執着することで未来の野球選手を減らすという本末転倒なことになってしまっています。
よってガチな野球選手、コアで排他的な野球ファンではなく、野球「も」好きくらいの健全な野球好きを増やすことが望ましいと考えます。
要は数多あるスポーツの選択肢の一つに健全に仲間入りさせてもらうことを目指す普及活動を行っていくべきということです。
これはこれまでの「野球が特別なスポーツであるという価値観」を崩すことを意味します。
一定数の人が野球に(特にガチな野球、特別なスポーツだと盲信している野球人に)嫌悪感を抱いているということも認めなければいけません。
↑詳しくはこちらの記事をどうぞ。
場合によっては真夏の甲子園開催をやめるなどという改革とセットで進めていく必要があるかもしれません(なんでそこと繋がるの?と思う方。すでに野球を特別なスポーツだと妄信してしまっていますよ。)。
普及活動では中学野球部への野球教室等よりは保育園児や小学生への体験活動。
野球チームへのプロ野球観戦チケット配布だけでなく、野球の経験の有無に関わらず小学生・中学生への配布。
こうした施策を野球界が一体となり、計画的に行っていく必要があると考えます。
そう考えると、大谷翔平選手のグラブ配布は、多くの子どもたちに「野球」に1ミリでも興味をもってもらえたことに大きな意味があると言えます。
グラブ配っても野球人口は増えないと短絡的に考えるのは違うかなと思います(小学校の先生方の負担になってしまった部分は反省点かと思いますが)。
〇緩い受け皿を増やす
また、2点目の
「ガチではない受け皿を増やすこと。これは少子化も踏まえると新たに増やすのではなく、現在あるもののあり方を検討し直すべき。」
に関しては、1点目で緩い野球好きを増やしても、「ガチ」な受け皿しかないのでは、結局野球が嫌いになってしまったり、野球をプレーできる場が無かったりしてしまいます。
そこで、緩い受け皿を増やしていかなければいけないと感じます。
緩い受け皿とは何か?
それは先に述べたような緩いクラブが一つあるとは思います。
私の息子が所属しているサッカークラブは週1回、1時間半しか活動時間がありません。
運動があまり好きではない息子でもがんばれる時間ですし、共働きの我が家でも何とかやらせてあげられます。
これが、毎週土日一日中活動となってしまうと、気軽には始められないでしょうし、子どもが良くても親がついていけなくなります。
残念ながら野球のクラブにはこうしたところが多いです。
他の緩い受け皿としては、習い事のような感覚で通えるスクールが挙げられます。
現任校の選手には小学校のときはクラブではなくスクールに所属していて、毎週金曜日にレッスンを受けていただけという選手も複数いました。
テニスやスイミングのように、選手コースでなくても気軽に始められる野球スクールがもっと広まるといいのではないかと思います。
実は、私の息子も野球スクールを検討したのですが、曜日が合わず、残念でした。
そして、これらの緩い受け皿は、新たに作るというイメージではなく、今あるものを作り変えていくべきだと考えます。
正直、今ある古い「ガチ」な体質のクラブは、これからどんどん淘汰されていくと考えます。
これから生き残るクラブは「ガチ」で本当に強いクラブ、もしくは多賀少年野球クラブのように、保護者の方から見て、強さ以外の魅力のあるクラブです。
それ以外の中途半端な「ガチ」クラブはもう淘汰され始めていますし、覚悟した方がいいと思います。
生き残るなら緩くなるべきです。
いっそ、低学年向けの複合スポーツクラブ(サッカーも野球もバスケットも日替わりでやろうみたいな)になるのもいいかもしれません。
〇まとめ
ここまで、野球界の現状、そして私からの改革の提案を述べてきました。
重要なことは、これらの改革を野球界が一体となって行うことだと考えます。
他のスポーツに詳しいわけではありませんが、野球界は一枚岩感が全くありません。
ようやく野球人口減を憂いてきたのではないかと思いますが、「では今後の展望は?」と聞かれたときに誰も答えられないのではないでしょうか?
野球界の組織を丸ごと変えるくらいの必要があるのかもしれませんが、プロアマの垣根を越えて、野球界全体で、それこそ100年単位の長期的な展望をもって臨んでいかなければならないのではないでしょうか?
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