野球のアンリトゥンルールはご存知ですか!?
野球規則には書いていないものの、守るべきものとされている不文律です!
アンリトゥンルールがなぜ存在するのかを考え、競技する全ての選手が気持ちよくプレーできる環境を作っていきましょう!
〇国際大会で話題になる「アンリトゥンルール」!
毎年、国際大会が開催される度に「アンリトゥンルール」の話題がニュースになるようになりました。
「アンリトゥンルール」とは野球における「不文律」。
成文化されてはいないものの、暗黙の了解として守らなくてはいけないルールを指します。
2018年のU18アジア選手権の際にはこのような記事がありました。
実はカテゴリーに関わらず、日本選手はこの「アンリトゥンルール」に疎く、国際大会で報復死球という文字通り痛い目に合うこともあります。
2017年のU18ワールドカップでは清宮幸太郎選手が報復死球を浴びています。
ではこの「アンリトゥンルール」とは具体的にどのような内容なのでしょうか?
先に挙げたU18国際大会の前に日本代表が確認したアンリトゥンルールは以下の内容だったそうです。
1:投手は三振を奪ったときやピンチを切り抜けたとき、派手なガッツポーズをしてはならない
2:本塁打を打った打者は、打球をゆっくり見送ったり派手なガッツポーズをしてはならない
3:大差で勝っているチームは盗塁を試みてはならない
4:大差で勝っているチームは送りバントやスクイズをしてはならない
5:大差で勝っているチームの打者は、3ボール0ストライクから打ちにいってはならない
6:大差で勝っているチームの投手は、変化球でかわさず直球でストライクを取りに行かなければならない
7:大差で勝っているチームの投手は、走者をしつこく牽制してはならない
※3〜7の「大差」とは7点差以上を目安としており、大量リードしているチームに対して謙虚に振る舞うこと
MLBのアンリトゥンルールは細かくはもっとあります。
アンリトゥンルールは基本的にはMLBで適用されてきたものと考えてください。
野球の国際大会は歴史が浅く、このアンリトゥンルールは日本ではあまり馴染みはありませんでした。
そのため、WBCなどを始めとする国際大会で日本人選手がアンリトゥンルールに悩まされることになるわけです。
これらのアンリトゥンルールに反した場合、「報復死球」が与えられることになります。
先に紹介した清宮選手が報復死球を浴びたケースでは、大量得点差での盗塁が試みられたことが原因です。
さらにその後、清宮選手まで盗塁したため、野手から暴言まで浴びたそうです。
これは清宮選手がアンリトゥンルールを知らなかったからでしょう。
〇アンリトゥンルールを守る必要はあるのか?
そもそも、アンリトゥンルールはなぜあるのでしょうか?
これには諸説ありますが、私なりの解釈を簡単に言えば、
「相手に敬意を払い、野球というスポーツをより楽しむためにある」
ということなのだと思います。
その基準に照らし合わせた時、アメリカでは
・派手なガッツポーズは相手への敬意が欠けているため好ましくない。
・大量得点差がついている場合の盗塁やバントは「死者に鞭を打つ行為」で敬意も無ければ、野球をつまらないものにする。
と言ったように考えられてきたというわけです。
ですから、アンリトゥンルールができた経緯としては、相手に敬意を払わない行為、野球をつまらなくする行為を排除するためにできたと言えます。
このルールをメジャーリーガーが国際大会にも(ある意味勝手に)適用し始めて世界的に広まったわけです。
プロが参加する国際大会もなく、日本人メジャーリーガーがいない時期にはアンリトゥンルールなんて日本には存在しませんでした。
※引退試合の投手からは三振をしなければいけないといった日本独自のものはありました。
これは多くの元プロ野球選手が語っています。
ある意味、アメリカのローカルルールだったものが、WBCなどを通じて国際基準になってしまったのです。
サッカーなどのスポーツと異なり、野球に関してはMLBを頂点とするピラミッド型の組織になっていますから、MLBでルールが変更されればそれは世界に波及しますし、MLBにアンリトゥンルールがあるならそれに従わざるを得ないという流れになっています。
ですから、国際大会において、全く明文化されていないとしても従わざるを得ないのがアンリトゥンルールなのです。
先に述べたように指導者になっている年齢層の人たちには馴染みが薄いです。
そのため日本人は国際大会で洗礼を受けてしまう。
また、日本の古くからの美徳「いついかなる時も全力でプレーすることが相手への礼儀」などという考えとも関わっているのではないでしょうか?
考えて欲しいのは、アンリトゥンルールを日本でも守る必要があるのかという点です。
現在、日本の少年野球人口は人口減以上の割合で急速に進んでしまっています。
そのことについてはこれらの記事をご覧ください。
これらの記事にも書いていますが、日本のアマチュア野球は勝利至上主義に囚われすぎてしまい、「バント作戦」などを代表とする「死者に鞭を打つ」ような行為が当たり前に行われてしまっています。
U18アジア選手権の3位決定戦でも、大量得点差がついている場面で送りバントが実行されました。
相手が同じアジアの中国ということで「報復死球」はされませんでしたが、北米や中南米の国々が相手であったら確実に「報復死球」を受けていたと思われます。
これは特別な事例ではなく、高校野球や中学野球、さらには少年野球を観戦していても当たり前のように行われていることです。
こういった戦術を採用して勝利する指導者が名将のように扱われることも多々あります。
こういった作戦で勝った側はいいかもしれませんが、負けた側は心底辛いと思いませんか?
野球というスポーツの魅力を損なう行為だと思います。
そう考えると大量得点差でのバントや盗塁というのはしない方がいいのではないでしょうか?
※ただし、「大量得点差」の解釈はレベルによって異なるとは思います。たとえば高校野球では5点差程度の逆転劇は頻繁にあります。
〇相手をリスペクトすることが重要!
アンリトゥンルールが存在する意味を考えると、私は日本でも、そしてアマチュア野球でも守るべきではないかと思います。
しかし、「アンリトゥンルールを守る」ということにだけ目がいくべきでは無いとも考えています。
というのも、重要なのはアンリトゥンルールを遵守することではなく、相手をリスペクトすることだからです。
先に、アンリトゥンルールが存在する理由として、
「相手に敬意を払い、野球というスポーツをより楽しむためにある」
と私なりの解釈を述べましたが、だとするのであればルールを守ることよりも、互いに相手に敬意を払い、野球というスポーツが魅力あるものになることの方が重要だと思うのです。
ですから私はアンリトゥンルールであっても守る必要が無いもの、アンリトゥンルールでなくとも守るべきものもあると考えています。
たとえば「報復死球」。
アンリトゥンルールを守らない者、守らないチームに与えられる報復死球ですが、これこそ野球の魅力を大きく削ぐ物だと思います。
確かに「アンリトゥンルールを守らない=相手への敬意を欠く行為」は問題です。
しかし、それに対して死球という危険極まりない行為で返すということは個人的には大反対です。
※実際に報復死球でケガをすることもあります。
MLBで当たり前だからと言って、こんな野蛮なアンリトゥンルールは守る必要は無いと言えます。
また、日本独自のアンリトゥンルールでも、
・乱闘には全員参加しなければならない。
・引退登板の投手からは三振しなければならない。
などと言ったルールも個人的には守る必要は無いと思っています。
逆にアンリトゥンルールに無いとしても相手への敬意が欠ける行為は配慮すべきです。
大事なのはアンリトゥンルールを覚えて守ることではなく、相手への敬意を払うことです。
野球を魅力あるスポーツにするために、「相手への敬意を払うということはどういうことなのか」を常に選手に考えさせることが重要なのではないでしょうか?
野球に携わる全ての人に考えて欲しいと思います。
※アンリトゥンルールを守れないチーム、選手は応援されないと思います。
※2019年のセンバツ高校野球では「サイン盗み」疑惑が話題になってしまいました。
※スポーツマンシップについても併せてどうぞ。
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