少年野球の盗塁は禁止すべきかどうか?
深刻なキャッチャーの故障を防ぎ、多くの選手が野球を楽しめるようにするためにも禁止すべきではないか?
〇大きな反響を呼んだ広尾氏の記事!
広尾氏がfullcountに寄稿したこちらの記事が大きな反響を呼びました。
記事へ賛否両方のコメントがかなりついていました。
どちらかというと批判の方が多かったようですが、私は考えさせられるすばらしい記事だったと思います。
批判している方の意見を見てみると、大人の都合から来るものが多く感じました。
・野球の醍醐味がなくなる。
・走塁で活躍できる選手が日の目を見ることがなくなる。
・盗塁を防ごうとすることでバッテリーのレベルが上がるが、禁止になるとそれがなくなる。
といった意見が多いようですが、そもそも少年野球はどのような発達段階で、どのようなことを目的に行われているのかということが抜け落ちている気がしました。
勝利史上主義の大人の都合、大人の理論が見え隠れします。
反響が大きかったため、広尾氏は自身のブログで改めて記事にもしています。
広尾氏の意見を引用させていただきます。
非常に大きな反響があったが、つくづく思ったのは、いろいろ論じている人の多くは、今の少年野球の試合を見ていないということだ。
高校野球やプロ野球の感覚で「盗塁は必要だろう」とか「勝つためなんだから点差なんか気にせずどんどんやるべき」みたいな人が非常に多い。
ようするに、少年野球の実態はどうでもよくて、自分が知っている「野球」の価値観に照らしてモノを言っているだけなのだ。つまり、そこらの飲み屋で話している「野球好きおやじ」の感覚で、意見を言っているのだ。
深刻な「野球離れ」について全く知らないし、関心もないのに、自分は「野球についてよく知っている」と自負する大人たちが、一丁前の意見を吐くことが事態をややこしくしている。
子供のころちょっと野球をしたとか、高校野球やプロ野球が好きだとか、そんなレベルの大人が、知りもしない少年野球に無責任に口をはさむことが、改革に水を差しているのだ。
ここ10年で少年野球の競技人口はほぼ半減している。野球少年の数が減ったから初心者も低学年も試合に出る。そういうチームと、鍛えまくっているチームが対戦する。そんなときに、今の指導者は四球、バント、失策、盗塁でどんどん点を稼ぐのだ。これが看過できるのか?
少年野球盗塁禁止問題の本質はそこにあるのだ。
いや、もう本当にこの通りですよね。
私も過去の記事でも書いたように、もともと少年野球の盗塁は禁止でいいのではないかと感じています。
〇盗塁についての年中夢球さんの意見!
こちらは年中夢中さんの記事です。
肝となる部分を引用させていただきます。
私が学童の監督をしていた頃・・
キャッチャーの子が何度も何度も盗塁をされました。
パスボールも何度も何度も・・。
その光景を見ながら・・
自分の指導力のなさと彼への申し訳なさでいっぱいになった試合がありました。
試合が終わった後・・彼は泣きながら・・
『盗塁でアウトにしたい』
と僕に言ってきました。
彼はたくさんたくさん練習をして・・
試合で初めてで盗塁でアウトを取ったときに・・
渾身のガッツポーズと笑顔を僕に見せてくれました。
何度も何度も盗塁をされたと
いうあの挫折が彼を成長させてくれたのだと今でも僕は思っています。
何でもかんでも規制では・・
子供の成長を止めてしまったり遅くすることもあるのではないでしょうか。
先の少年野球の盗塁を規制すべきだという記事、意見への反対意見という形になりますね。
私は先にも触れたように、
「バッテリーの故障を防ぐため」と「多くの選手が野球を楽しめるようにするため」に規制すべきだと考えています。
年中夢球さんの記事に対して私から4点あります。
①駆け引きは選手のレベルが一定以上かつ、ある程度拮抗していなければ成り立たない。少年野球では成り立たないケースも多い。
②キャッチャーの子が奮い立つ例が挙げられているが、逆に野球がつまらなくなったり、故障したりしてしまう例も多々ある。
③キャッチャーと故障の関係が分からないとあるが、数値でキャッチャーの故障が多いと出ている。
④指導者の問題とあるが、それは同感。だが、これまで指導者に任せてきたが、改善されなかったのも事実。
以上です。
前半のヒット禁止、三振禁止になるのではというのはちょっと意味が分かりませんが…。
こうやって書かせてもらいましたが、いろいろなご意見があって当然で、議論をしていくことが大事だと思います。
そういった意味では年中夢球さんのように影響力のある方が記事にしてくださったのは大きいかもしれません。
年中夢球さんはこうした書籍を書いており、指導者や選手の保護者の方々への啓発を行っていらっしゃいますが、「古い根性論の言い方を変えたり、角度を変えたりして新しく見せている」ように感じます。
根強いファンが多いので、言いづらいですが、時々この新しい根性論が指導者に広まったらと思うと怖くなります。
もちろん賛同できることも多いのですが。
他にも多くの方がブログ記事にしたり、SNSで話題にしたりしていました。
そちらでも少年野球の盗塁制限については反対意見が多いですね。
いろいろな意見があって当然ですが、選手を守る視点が欠けている意見も多いのは残念です。
選手が発奮して成長する機会を奪っているなんて意見はまだしも、そんなに点差がつくのが嫌なら同じレベル同士でだけ試合をしろなどという意見もありました。
ちょっとさすがに現場を分かっていない人の意見でしょうか…。
いずれにしても選手の身体を守ったり、選手が野球を楽しめる環境についての視点が欠けている意見が多いのは残念です。
〇まとめ
ここまで広尾氏の記事を発端にした少年野球の盗塁規制についてまとめてきました。
先に述べたように私は広尾氏と同じように少年野球の盗塁規制に賛成です。
それによって野球がつまらなくなるという意見もありますが、そんなことはないと思います。
あまり強くないチームだと無限とも感じられるくらい盗塁をされてしまいます。
四死球orエラーで出塁→盗塁→盗塁→四死球orエラーの無限ループです。
これの守っている側は一体何が楽しいのでしょうか?
私自身、小中ともに弱小チームで過ごしたので分かりますが、本当に野球が嫌になりますよ。
指導者もどうしようもないからたまに「声を出せ!」と言うだけ。
仕方なくそれに一瞬だけ応える。
バッテリーだったときなんて本当に地獄です。
盗塁を禁止にすることによってつまらなくなる可能性よりも、この無限盗塁地獄のせいでつまらなくなることの方が現場では圧倒的に多いと思うのですが。
また、それ以外にも、キャッチャーにもイニング制限が必要なのではないかとも感じています。
ピッチャーには球数制限の制度が不十分ながら整い始めていますが、キャッチャーのやらせすぎについてはあまり話題に上がることがありません。
キャッチャーもかなり高い強度で、かなりの球数を投げるポジションであり、先述したように故障率も高くなっています。
特に練習試合やトーナメント大会のダブルヘッダーで2試合ともにキャッチャーをやらされたり、ピッチャーからキャッチャーになったりするケースで負担が大きくなります。
私はキャッチャーもチーム内でイニング制限すべきだと思います。
このことについてはこちらの記事もご覧ください。
↑キャッチャーのイニング制限についてはこちらをどうぞ。
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