本入部する前に、仮入部段階で生徒及び保護者の方に活動内容を周知するために!
仮入部生徒向け資料を作成し、配布してみよう!
〇入部後のトラブルを防ぐために!
大体どこの中学校でも部活動に本入部する前に仮入部が行われていることと思います。
仮入部は、1時間程度その部活動の練習を体験させてもらい、自分に合っているかどうかを体験するものです。
平日の1時間程度ですから、そんなに多くのこともできません。
しかも時期的に4月の中頃で、大会も近く、部活動の状況によっては満足に体験させてあげられないなんてこともあります。
私は昨年度まで複数顧問でやっていましたので、本隊はもう一人の先生にお願いし、私とその日の教育係の2・3年生が仮入部の生徒についてあげることができました。
しかし、顧問の先生が複数グラウンドに出てくることができるチームはそんなに多くないのではないでしょうか?
そうなってくると、十分にその部活動のことを把握する前に本入部しなければいけなくなることもあります。
また、土日の活動、夏休みやオフシーズンの練習を体験できるわけでもないので、「こんなはずではなかった」という選手と部活動のミスマッチが起こってしまうこともあります。
保護者の方目線で見ると、入部してみたら思っていたよりも保護者の負担が大きかったり、部費が高額だったりして驚いてしまうというケースもあります。
こうしたことが起こらないように、私は仮入部の時点で部活動の説明資料を配布しています。
※前年度に体験入部に来てくれた選手にはその時点で配布しています。
この資料を配布するようになり、途中で退部する生徒もいませんし、保護者の方から「こんなことは聞いていない」といった声も聞かなくなりました。
ほとんどのクラブチームでは体験入部や見学の時点で配布されているような資料なのですが、中学校の部活動でも配布してみてはいかがでしょうか?
次の項に見本を掲載いたしますので、ぜひ作成してみてください。
〇仮入部生徒向け配布資料(見本)
R〇年度〇月
〇〇中学校野球部に仮入部してくださった生徒の保護者様へ
〇〇中学校野球部顧問
この度は野球部に仮入部してくださりありがとうございます。野球部に入部を検討していただくにあたって、以下をご覧いただき、活動方針や活動内容をご確認の上で入部届けを提出していただけたらと思います。何か分からないことがございましたらお気軽に顧問までご相談ください。初心者や女子部員も歓迎しています。よろしくお願い致します。
1、目標と目的
目標は都大会 目的は人間形成
〇〇中学校野球部には目標、目的があります。目標はもちろん都大会に出場、さらには関東大会や全国大会出場を目指し、一つでも多く勝つことです。好きな野球ができればそれでいいという考えもあるかもしれませんが、勝利を目指して取り組むことで成長することも数多くあります。
しかし、「勝つことが全て」、「勝てば何をしても許される」これはまた違います。野球部が部活動として存在する目的は「人間形成」です。勝つためだけに野球をしているわけではなく、「野球を通じて人間的に成長すること」が目的です。このことは野球部の活動全ての根底となります。部活動を通じて、野球の技術だけではなく、礼儀、生活のマナー、粘り強さなどたくさんのことを学んでいきます。
また、野球だけではなく、家庭生活、学校生活、地域での活動、全てを大切にできる人間が社会に出て通用する人です。〇〇中学校野球部では家庭>学校生活>部活動の順番を守って活動してもらいます。家庭では家族の一員としてお手伝いをがんばったり、規則正しい生活をこころがけたりとできることがたくさんあります。学校生活では授業を真剣に受ける、委員会活動をがんばる、掃除を一生懸命にやる、など他の生徒の模範となれるように生活して欲しいと思います。野球技術も当然上達して欲しいと思っていますが、「社会人として通用する人材の育成」も目指します。
↑このあたりは野球部の教科書からひっぱってきています。
2、活動スローガン
〇〇中野球部のスローガンは「〇〇」です。このスローガンには~~~という願いが込められています。そうした取り組を通じ、将来的には夢を実現して欲しいと願っています。
※ぜひ自分のチームなりの活動スローガンを考えてみてください。
3、顧問の紹介
※ここは簡単な自己紹介です。詳しい自己紹介は本入部後の保護者会で良いと思います。
4、部員の条件
①上記の目標、目的を理解して入部を希望する生徒
②野球が好きで、毎日一生懸命に野球をがんばりたいという生徒
③後述する野球部のルールを守る意思がある生徒
以上の3点が入部の条件となります。もちろん女子部員も募集しています。
5、購入をお願いするもの
①練習着白上下及び紺のアンダーシャツ、白ソックス ※各自で購入お願いします
②試合用ユニフォーム上、ストッキング、セカンドユニフォーム ※学校を通じて購入します
③グラブ(黒、茶、黄、オレンジのみ。ツートンカラーは不可)、黒スパイク(ポイントスパイク可)、トレーニングシューズ(ランニングシューズでもかまいませんが、耐久性は野球のトレーニングシューズの方が優れています) ※各自で購入していただきます
④校名入りバック リュックタイプ ※学校を通じて購入します
⑤フリースジャケット ※秋ごろに学校を通じて購入します
①の練習着の上に関しては市販のベースボールTシャツでも構いません。申込用紙に練習着上下がありますが、量販店で買っていただいても構いません。
②については公式戦で必要になるので必ず購入をお願いします。セカンドユニフォーム(校名入りベースボールTシャツ)は練習試合で使用します。
③のうち、スパイクは申込書にありますが、量販店で購入していただいてもちろんけっこうです。もちろんこれまで使用していた物があれば新たに購入する必要はありません。
④は可能であれば、野球部で統一したものを使用してもらいたいと考えています。
⑤の上着については秋ごろに学校名入りの物の購入希望を取りますが、それ以外の物を着用していただいても構いません。ただし、その際、スポーツをするにふさわしくないような物の着用はご遠慮ください。
部費は昨年までは年〇〇円いただいていました。今年度も保護者会で承認いただければ同額いただきたいと考えています。また、部費から一部三年生を送る会の記念品等に充当させていただいています。
※ここが一番トラブルになる部分です!部費の金額、購入が必要になる物は絶対に先に知らせるべきです。私はバッグや上着などは必ず購入していただく物にはしていませんが、チームによっては統一していると思います。これを入部前に伝えないと、先に個人で購入してしまうことがあります。
6、野球部のルール
①遅刻、無断欠席は厳禁です(事情のある欠席は事前に伝えてください)。平日練習の際は本人が顧問に伝えてください。学校欠席や体調不良での早退の際はもちろん連絡する必要はありません。休日練習の際には集合時間前に顧問携帯まで連絡(電話連絡の練習として、できる限り本人に連絡させてください)をお願いします。連絡先は部活動説明会の際にお伝え致します。
②坊主の強制はしませんので、スポーツをするのにふさわしい髪型でお願いします。
③学校生活をおろそかにしている場合は、活動に参加できません。宿題未提出者は宿題をグラウンドでやり、提出してから参加してもらいます。
④仲間を大事にできない選手は活動に参加できません。ひどい場合は退部してもらいます。
⑤引退はありますが、卒業するまで野球部員です。卒業するまで野球部の看板を背負い、学校生活をがんばってもらいます。引退後も指導は継続します。
※ここも後出しではなく、先に周知しておくことでその後の指導がしやすくなります。あくまでもこちらは見本なので、学校なり、自分なりの部活動のルールをしっかりと明示しましょう。
7、具体的な指導方針
※こんな部活動見たこと聞いたことありませんか?
・部活動のときだけ元気があって礼儀正しい。 ・家庭や地域だと挨拶ができない。
・顧問の先生と他の先生とで態度が違う。 ・練習で疲れているからと家ではだらしない。
・お家の人からは何をしてもらっても当たり前。
・テストの点が悪いのは部活をがんばっているからという言い訳。 などなど
以上のような野球部にしないために…
①家庭生活→学校生活→部活の順番を徹底します。
②心の指導を重んじます。
③徹底的に生徒と向き合って指導します。
④個別面談・個別指導を定期的に行い、前向きに部活動に取り組めるようにします。
⑤それらをしっかりと指導した上で、「野球が、部活動が楽しくて楽しくて仕方がない!」という野球部を作ります。
※ここは保護者の方が知りたい部分になると思います。自分なりの指導方針をまとめてみてください。
8、具体的な練習計画
|
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
日 |
放課後 |
○ジャージ (×) |
○ |
× |
○ジャージ |
○
|
練習試合か練習 |
(×) |
以上のような予定で一年間やっていきたいと思います。文部科学省から出ている「部活動ガイドライン」を守る形で活動をしていきます。水曜日はOFFとし、選手の健康やモチベーションに配慮します。基本的には週末どちらかは練習試合や公式戦が入ります。公式戦の関係で週末土日ともに活動し、疲れが残っている場合は月曜日をOFFとすします。その他にも選手の疲れ具合を見て、OFF日や早く練習を終了する日を設定します。休日の活動はお昼ご飯と補食が必要となりますがよろしくお願いいたします。遠征費がかかることもありますがご了承ください。
9、クラブチームとの兼ね合いについて
クラブチームとの掛け持ちも認めています。しかし、両方の活動に中途半端になってしまうことは避けたいと考えていますので、野球部とクラブチームどちらがメインの活動になるのか保護者の方、クラブチームの方と相談の上で入部するようにしてください。また、こちらが掛け持ち入部OKでも、クラブチーム側が難色を示すこともあります。十分にご相談の上、入部するようにしてください。野球以外のクラブチームについても同様です。たとえばダンスや体操のクラブなどもメインがどちらかをまずは決定した上で顧問までご相談ください。
※ここは選手によっては気になる部分だと思います。いきあたりばったりで認めたり認めなかったりするとトラブルになるので、事前にしっかりと検討しておきましょう。ちなみに私は硬式クラブチームとの掛け持ちも認めています。現在はいませんが、過去には平日の過ごし方に悩んだ生徒が数名掛け持ちを希望し、入部したことがありました。軟式球は基本的には投げさせず、バッティングやトレーニング中心に参加させていましたが、のちに甲子園に行った子もいたので、その子たちにとっては有意義だったのだと思います。
↑クラブチームとの兼ね合いについてはこちらの記事もご覧ください。
10、その他の確認事項
・連絡網に関して、電話連絡網は作成せず、メール連絡網を利用しています。入部後にメーリングリストに入っていただきますのでよろしくお願いします。
・中学校野球部では家庭生活、学校生活を重視しています。委員会、法事、漢字検定、英語検定などの事情で部活動を欠席、遅刻などしたからと言って試合に出さないなどということはありません。むしろ積極的にそういった活動をがんばれる人になってください。ただし、通院や塾などに関して、日程が部活動と被らないように努力はお願い致します。
・保護者の方の練習や練習試合の見学大歓迎しております。強制ではありませんし、事前の連絡も不要です。お気軽に見に来ていただければと思います。顧問への差し入れ等は不要ですのでご遠慮ください。
※ここの項目は補足ですが、委員会活動との兼ね合い、検定や塾のことなど選手や保護者の方が知りたいことは入れておくと良いと思います。ちなみに私がここに丁寧に書いたのは、前任者が「どのような事情があっても欠席した場合は試合に出さない」という方針だったため、顧問就任時にいろんな方から質問されたためです。
↑こちらも参考にどうぞ。
以上、仮入部生徒向け配布資料の見本でした。
これでB4裏表に印刷し、配布していました。
仮入部や体験に来た選手に簡単に口で伝えるのはなかなかに難しいです。
また、口頭だと行き違いが生じてしまうこともあります。
ぜひこうした資料を作成してみてもらえたらと思います。
参考になれば幸いです。
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