がんばることが難しい子もいる!
そのことを理解した上で部活動の指導をしよう!!
誰でも指導者と同じようにできるわけではない!!
〇教員や指導者は基本的に「できる人」だったはず。
教員になる人や野球の指導者になる人は、基本的に「できる人」だと思います。
勉強もある程度できたでしょうし、スポーツもそこそこにはできたことでしょう。
勉強もスポーツも自分なりに努力した経験があって、それが実を結んだ経験もあるのではないでしょうか?
よく、「できないとしても、努力することはできるだろ!?なんでやらないんだ!」という論調を聞くことがあります。
これは完全にできる人理論です。
世の中には「努力することが難しい」子もかなりいます。
理由は様々です。
体力的に学校に来て、部活に出るだけで精一杯なのかもしれないし、診断されていないだけで、自律神経系の病気なのかもしれません。
学校や部活の場、ただそこに居るだけでもその子なりの精一杯の子もかなり居るのです。
そんな子をできる人理論で「あいつはやる気がない」とか「怠けだ」と言うのは簡単です。
当然そのままではいけませんが、その子の個性に合わせた引き上げ方、指導を考えていかなくてはいけないと思います。
「それは分かるけども、他の選手の手前、示しがつかない」という方もいるかもしれません。
それは今度は「組織作り」が課題になります。
部活ではなく、クラスに特別支援が必要な生徒がいるときに切り捨てるわけがありませんよね。
その子を許容し、共に成長し合えるチームを作る必要があるのです。
〇「高校野球で通用しない!」の理不尽さ。
指導者が求めるほどがんばれない子だっているのだという話をさせていただきました。
多くは家庭環境だったり、個人の特性が関わっていると感じています。
よくある指導として、「それでは高校野球で通用しない!」があります。
確かに高校野球では通用しないという指導が有効な場合もあります。
高校野球でレギュラーを取りたいなどと目標を掲げているのに、自分に甘く、もっとできるはずなのに…という選手には、対話の中で「それでは高校野球で通用しないよ。君の目標は何だったかもう一度考えないといけないんじゃないか。」というのはアリでしょう。
しかし、中学野球部の活動で精一杯の選手に「高校野球で通用しない」という指導は、個々の選手を見ていない全く意味のない指導に思えます。
高校野球が全てではありません。
がんばれない子の多くは甲子園を目指すような高校で野球をやる子ではありません。
その子に合わせた目標を考え、自己肯定感をもたせてあげることが大切だと思います。
中学三年間でホームランを一本打つだとか、最後まで休まずに練習に参加するだとか個に応じた目標をともに(できればチームメイトも巻き込んで)達成し、次のステップに送り出せれば良いと考えています。
もしかしたら高校野球をやろうと思うかもしれませんし、高校野球は厳しくとも草野球で続けてくれるかもしれません。
その子の将来に野球が良い影響を与えてくれたら良いのだと思います。
「高校野球で通用する」指導を全員に画一的に求め、ついていけずに辞めさせるのは指導者のエゴだと思います。
高校野球が目標じゃなくたって、通用しないかもしれなくたって、野球やっちゃダメなんですか?
(指導しないのはまた違いますが…)
〇モチベーションが低い子を引き上げるのも指導者の役目。
様々な要因でがんばることが難しい子もいるというお話をここまでしてきました。
がんばることが難しい子、部活動に参加しているだけで精一杯の子も、切り捨てるのではなく、個に応じた目標設定をし、支援していくべきではないかと考えています。
「がんばることが難しい子」とはちょっと違うのですが、中には入部の段階ではそもそもそんなにがんばるつもりもない子もいます。
友達に誘われたからとか、親にやれって言われたからなんて理由で入部する子です。
もちろん、好ましいことかと聞かれれば、あまり好ましいことではありません。
私も入部の条件には「一生懸命にがんばる気持ちがある人」と一言書いています。
しかし、実際中学校のバドミントン部やテニス部、卓球部などはこういった理由で入部する子は無数にいます(もちろん学校事情、部活事情によりますが)。
部活動という特性上、こういったモチベーションの低い子も切り捨てずに受け入れていくべきだと私は考えています。
もちろん、モチベーションが低いまま活動させることは難しいです。
本人のためにも、チームのためにもなりません。
軽い気持ちで入部したとしても、やる気に火がつくような指導を目指すべきだと思うのです。
いろんなやり方があると思いますが、成功体験をさせること、そして野球が楽しいと実感してもらうことが大事なのではないでしょうか。
いわゆるマイナースポーツはこの努力を積み重ねています。
野球はメジャースポーツの驕りか、こういった努力を怠ってきたと思っています。
たとえば、「坊主にもできないようなやつは入部させられない」。
これで簡単に軽い気持ちで入部する子をゼロにできます。
果たして部活動としての野球部はそれでいいのでしょうか?
プロ野球選手養成所のようなクラブチームがあるとしたらそれでいいと思います。
しかし、「部活動」ということを考えると様々な課題のある子を受け入れ、活動を通じて人間的な成長を促していくべきだと思うのです。
それはとても大変なことです。
指導者にも様々な工夫が求められます。
これらの記事が参考になれば幸いです。
こうした努力が野球界の裾野を広げることにも繋がるでしょう。
野球もマイナースポーツ転落間近だと思って、他スポーツのように努力していくべきだと思います。
〇どんな子でも活躍できる野球部に!
なんだかまとまらない話になってしまいましたが、学校の一部活動ということを考えると、他の部活動と同じように、様々な子が入部してくるはずですし、そうでなくてはいけません。
まずは指導者がもつ「野球部」という特別意識を捨て、どんな子でも入部してくることに備えて欲しいと思います。
当然その中には「がんばれない子」もいます。
「モチベーションが低い子」もいます。
そんな子たちであっても切り捨てずにモチベーションを引き出し、活躍できる組織作りに取り組んでいきましょう。
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