ピッチャーがボークをしながらも投球!
そのボールをバッターが打っちゃった!
そんなときはどうなるのか?細かな野球のルールシリーズ第4弾です!
ここまでのシリーズはこちらです。
〇ボークのボールを打ったらどうなるの?
細かな野球のルールシリーズ第4弾です。
今回もボークが絡んでくるルールになります。
ボークについてはこちらをご覧ください。
ボークのルール自体がわりと複雑なのですが、プラスしてボークなのにその投球をバッターが打ってしまうなんていうケースもあってさらに大変なことになることがあります。
今回のテーマは、
「Q、0アウトランナー1塁の際に投手が静止をせずに投球をし、球審が「ザッツアボーク」と告げましたが、その投球をバッターが打ちました。この場合どうなりますか?」
です。
さて、どうなることでしょう。
正解は、
「A、ボークがかかった瞬間にボールデッドになるわけではなく、プレーがひと段落したときにボールデッドになるので、プレーが止まるまでボールインプレーとなります。」
です。
実はボークのボールを打ってしまうということはままあります。
ボークの種類にもよるのですが、たとえば完全静止を怠ったピッチャーがボークを宣告されるも、そのまま投球するなんてことはよくあります。
ボークの際は基本的にはボールデッドになるわけですが、公認野球規則には以下のようにあります。
「ペナルティ (a)項各規定によってボークが宣告されたときは、ボールデッドとなり、各走者は、アウトにされるおそれなく、1個の塁が与えられる。
ただし、ボークにもかかわらず、打者が安打、失策、四球、死球、その他で一塁に達し、かつ、他のすべての走者が少なくとも1個の塁を進んだときには、このペナルティの前段を適用しないで、プレイはボークと関係なく続けられる。」(6.02aペナルティ)
要するに、ボークの場合と同じ以上にバッターとランナーが進塁できた場合はボークを流してプレーを継続するということになるのです。
ヒットはもちろん、エラーでの出塁、四死球もプレーを継続することになります。
もちろんボークのボールを打ってホームランになったらそのままホームランです。
ただし、全てのランナー(場合によってはバッターも)が進塁できなかった場合はプレーが止められます。
たとえばボークのボールを打って、内野フライだったとします。
そうするとバッターはアウトで、ランナーも進塁できませんのでプレーがひと段落してからタイムがかかって改めてボークが適用されます。
この場合はランナーはそれぞれ一つ進塁することになり、バッターは打ち直しです。
よって、審判は全てのプレーがひと段落するまでタイムをかけないことが重要になります。
もしもボークのボールを打って内野フライだったとしても、内野手が落球し、そのボールがダグアウトまで転々とすれば、バッターランナーは2塁まで、その他のランナーも二つ進塁することになります。
この場合、先の規則にあるように「少なくとも1個の塁を進んだ」のでボークは無かったこととなります。
また、
「ランナー1・2塁、カウント3-2の際にピッチャーが静止を怠って投球し、その投球はボールだった。」
なんてことがあったら、この場合は先の公認野球規則の文言通り、ボークと関係なく、フォアボールで満塁となります。
この投球がストライクだった場合はボークが適用され、ランナー2・3塁、3-2で再開になります。
基本的にはボークの場合、攻撃チームが有利になるように再開されると思っていてください。
ちなみに塁が詰まっていない場合(ランナー2塁や3塁)の場合はフォアボールにしてしまうと打者走者しか進塁できないので、ボークが優先されます。
この際に投球がデッドボールであったとしても、ランナーが進むことの方が有利と判断されるため、デッドボールはなかったこととしてランナーが一つ進塁して再開になります。
たまに勘違いされている方がいるのですが、
ボークの場合に攻撃側の「選択権」はありません。
選択権があるのは打撃妨害の場合となります。
たとえば、0アウトランナー3塁でキャッチャーの妨害にも関わらず内野ゴロを打ち、打者走者はアウトになったものの、3塁ランナーが生還したという場合には、「得点なしで0アウト1・3塁」と「得点ありで1アウトランナーなし」のどちらかを選択できます。
〇では、さらに先の塁まで進もうとしたら?
では、さらに応用問題に挑戦してみましょう。
「Q、ボークとなった投球をライト前にヒットを打ち、1塁ランナーは2塁を回り3塁に向かいました。しかし、ライトからの好返球で3塁でタッグアウトされました。この場合どうなりますか?」
さて、どうなるのでしょうか?
「A、先に説明したように、このライト前ヒットはプレーが続くことになります。しかし、ボークの際に与えられる安全進塁権は一つの塁だけです。したがって、1塁ランナーが2塁を回る場合、それはリスクを負ってのプレーになります。3塁でのアウトは認められ、1アウトランナー1塁になります。」
となります。
そうなんです。
この3塁でのアウトは有効になるのです。
公認野球規則では走者の項目に以下のように書かれています。
「安全進塁権を得た走者が、与えられた塁に触れた後さらに進塁することはさしつかえないが、その行為の責任はその走者自身が負うだけで、たとえ塁に触れた後にアウトになった場合でも、他の走者の安全進塁権に影響を及ぼすことはない」(5.06a(3)B【原注】)
要は、リスクを負って1個の安全進塁権以上の塁を狙うことは構わないのですが、アウトになったらそのままアウトということになります。
したがって、上記のケースは普通に3塁がアウトということになります。
もし3塁がセーフであれば0アウト1・3塁、2塁を回らなかった場合は0アウト1・2塁でスタートになります。
もしもライトゴロでバッターランナーがアウトになった場合はタイムがかかり、ボークが優先され、0アウト2塁で再びバッターが打ち直しということになります。
はっきり言ってものすごく複雑なので、守備側も攻撃側もタイムがかかるまでは一生懸命プレーを継続するようにしましょう。
特に守備側が「ボークが宣告されたから」と打球を追わないでいたら大変なことになりますよね。
以上、ボークのボールを打ったらどうなるのかという非常に細かなルールの確認でした。
野球のルールの細部はかなり複雑です。
私自身、毎年公認野球規則を読み返すようにしていますが、正直それでもシーズン中に何度もあやふやになってしまうことがあります。
選手ならなおさらだと思います。
そこでおすすめなのが、定期的に野球ルール講習会を行うことです。
少しの時間ずつで構わないので、ぜひ取り入れてみてください。
続きはこちらです。
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