近年増えている合同チーム!
どのようにチーム作りをしたらいいか悩みませんか!?
合同チームだと思われないようなチーム作りが必要だと思います!
私の実践を紹介します!
〇初めての合同チーム
私は恵まれたことに指導者になってからずっと単独でチームを編成することができていました。
しかし、2022年に初めて合同チーム、それも3校合同チームを結成することとなり、合同チームの経験が無い中、メインの顧問として率いることとなりました。
かなり昔にこうした記事を書いていますが、身近にはたくさんの合同チームがあり、そこの先生方から合同チームならではの悩みを伺っていました。
また、幸いにも合同を組む中学校の先生の中に、合同チームの経験がある先生もいらっしゃり、たくさんアドバイスをいただくこともできました。
その先生がおっしゃっていたのは、
①選手が互いに合同を望んでいること
②保護者が互いに合同を望んでいること
③教員が互いに合同を望んでいること
この三つが合同が上手くいく条件である。
ということでした。
当たり前のことなのですが、確かにそうだなと思わされる内容で、合同が上手くいっていない事例では、
「一方のやり方に無理やり合わせられ、それが選手にとって、保護者にとって、先生にとって、辛い。」
ということがありました。
私は指導者として、選手が勝ちたいと思っている限り、当然強いチームを作りたいという思いがあります。
しかしながら、教育者として、全ての選手に野球を、部活動を楽しんでもらいたいという思いもあります。
そこで無い知恵を振り絞り、
「〇〇中学校と合同を組んで野球が楽しくなくなった」
ではなく、
「〇〇中学校と合同を組めて本当に良かった」
と選手、保護者の方々、先生方に思ってもらえるようなチーム作りを試行錯誤しました。
今回は合同チームを上手く導く工夫についてまとめます。
現在合同チームの方も、そうでない方も参考になれば幸いです。
工夫1:合同チームだと思わない、思わせない
まず、合同チームだと思うことと、思わせることをやめました。
どの選手にも自分の中学校の選手と同じように扱うことは初めに保護者会でも選手にも宣言しました。
そして、一番工夫したのはチーム名です。
三校合同なので、一般的には「〇〇中・〇〇中・〇〇中合同」というチーム名称になるのですが、それだと寄せ集め感が強いです。
選手・保護者の気持ちも「〇〇中の選手」という気持ちが生まれてしまいます。
そこで私はチーム名を「〇〇(市名が入る)ドリームス」にしました。
ドリームスには
「合同でなければ大会に参加できないはずの我々が、都大会出場という夢を叶えるためのチーム」
「我々と同じく合同で戦っているチームに希望を与えるチーム」
「応援してくれる人たちに夢と感動を与えるチーム」
という意味を込めました。
当然選手や保護者にも意味は伝えてあります。
さらにグラウンド名もホームグラウンドになる私の中学校グラウンドを「〇〇中グラウンド」ではなく「エネルギッシュフィールド」と呼ぶことにしました。
こちらの名称は選手と保護者の方々に公募しまして、当時のキャプテンのお父様の案を採用させていただきました。
これも私の中学校の生徒からすると〇〇中グラウンドはホーム感が出ると思うのですが、そうではない選手にとってはアウェイ感が出てしまうと思うので、そうならないための工夫でした。
大会会場になる際は正門に「ようこそエネルギッシュフィールドへ」のボードを用意していました。
中学校野球部だと思うと平日ともに練習できないことがデメリットに見えるのですが、クラブチームだったら当たり前なわけで、むしろ全員でなくとも平日練習ができることをメリットに感じるように、感じさせるようにも洗脳していました。
工夫2:連携も可能な限り捨てない
週末はガイドラインで土日どちらか練習試合しかできませんが、朝イチで連携プレーの練習をしたり、動画でポジショニング講習会をしたりすることで意志統一をしていました。
また、練習試合の前に対戦相手の顧問の先生にお願いをして合同ケースノックをお願いするなどして、できる限り連携でのミスがでないようにもしていました。
ただ、それでもやはり毎日一緒に練習ができるチームよりも実戦での連携ミスが出てしまったのかなとは感じました。
これはどちらかというと、合同慣れしていない私のミスだったのかなと。
練習試合を少し減らしてでも実戦練習の機会を増やした方が良い結果が得られたのかもしれません。
そのあたりはこちらの記事にまとめてあります。
工夫3:ミーティングや個別面談の時間を大切にする
正直言うと、1や2の工夫はあっても、初めはやはりチームの一体感は合同ではないときに劣ってしまっていたと思います。
やはり、中学校が違うと学校生活での関わりなどもないので、どうしても最初は「他人感」がありました。
それは選手間でもそうですし、選手と私の間もそうだったと思います。
そこで私は、部活内委員会の活動や自身の思いを語る会を開くことで他人感を無くす努力をしました。
↑部活内委員会の活動は敢えて私の中学校ではない選手に委員長を任せる(うちの選手の方が勝手は知っているのですが、サポートに回しました)ことで、「信頼している」という合図を送りました。
委員長の仕事の関係で、私や他の選手とのコミュニケーションが自然と増えるという狙いっもあります。
どうしても他の中学校の選手に遠慮して物言えないということが合同チームあるあるになるのですが、委員長という肩書を与えることで、言いやすくなったとも思います。
また、関わりが少ないと、「互いに何を考えているのか分からない」という課題も出てきます。
そうした課題を克服しなければチームとしての一体感は生まれません。
そこで、ミーティングで思いを伝えたり、こちらにあるような「将来の夢を語る会」を開催したりしました。
また、このようなおおげさなミーティングでなくとも、ちょっとした時間(たとえば大会運営の休憩時間等)にグループで「最近おもしろいマンガベスト3」などとテーマを決めて交流させることもありました。
選手との個別面談も重視しました。
技術的なアドバイスを中心にすることももちろん多かったですが、シンプルに「最近学校どう?」とか「今何のゲームしてるの?」というくだけた会話も多くするようにしました。
私は部活動の時間は真剣にやる中でも楽しく臨むようにしていますが、練習よりも練習試合の方が相手がいる分、どうしても真剣度合が増してしまいます。
そうなると練習試合の日だけ一緒に活動する他の中学校の選手は、私を厳しい先生だと思ってしまうようでした(本当はくだけた教員ですが…)。
なので、特に他の中学校の選手とは個別面談をしてコミュニケーションを取るようにしていました。
もちろん平日は他の中学校の選手とコミュニケーションをとることはできないので、練習試合の合間、片付けの時間行うようにしました。
このような工夫もあり、最終的には他の単独チームと変わらないチームワークになったと感じていました。
ただ、このチームワークについては私の努力うんぬんもありますが、とにかくキャプテンが努力家だったということもかなりのウェイトを占めていたと思います。
本当にチームのことを良く考えて行動してくれる熱血な選手でした。
彼がいなければ全くチームとしてまとまらなかったかもしれません。
↑キャプテンの決め方でお悩みの方はこちらも参考になるかもしれません。
工夫4:保護者の方々に自分の中学校の選手だけではなく、全選手を応援してもらう
保護者の方にとっても、やはり同じ中学校の選手の方がよく知っていますし、どうしても中学校ごとに保護者の方に壁ができてしまいがちです。
合同チームでは保護者間のトラブルが起こったり、溝ができたりしがちです(私はありませんでしたが、他チームの顧問の先生からそんな相談を受けたことは多々あります)。
親睦会みたいなものができれば良かったかもしれませんが、残念ながらコロナ禍真っ盛りでそんなものは行えませんでした。
そこで私が行ったのは、詳細な試合レポートを練習試合終了後に連絡網で配信することです。
保護者の方々が他の選手にも関心をもってもらい、さらには私を信頼してもらい、チームを応援してもらう工夫です。このレポートは選手向けの反省ではなく、保護者の方向けのとにかく成長を褒めるレポートになっています。
以下、送った連絡網の例になります。
お世話になっております。
本日行われました○○中学校との練習試合の結果をお知らせ致します。
①7対1
②1対5
で1勝1敗でした。
1試合目は非常に良い試合内容でした。
冬季大会以降、ここのところずっと試合内容が良く、どんどん力をつけていると感じます。
これからが楽しみです。
寒い中、そして遠くまで応援ありがとうございました。
本日のヒット
単打(ヒット性含む)…○○くん3、○○くん2、○○くん、○○くん2、○○くん、○○くん
2塁打…○○くん、○○くん、○○くん
本塁打…〇〇くん
今日は鋭い当たりがかなり多かったです。
○○中のピッチャーはかなりの好投手だったのですが、ボール球を見極め、甘いボールを見逃さずに捉えていました。
○○くん4安打猛打賞、○○くん・○○くんも鋭い当たりの2塁打、○○くんのヒットとバントもすばらしかったです。
〇〇くんは中学校入学後初本塁打を記録。
すさまじい当たりでした。
毎日の素振りの効果が出ましたね!
エンドラン失敗はありましたが、今日は攻撃面は噛み合っていて、相手チームは嫌だったと思います。
久しぶりに7点も失点したとおっしゃっていました。
本日の継投
①○○くん→○○くん→○○くん
②○○くん→○○くん→○○くん→○○くん
今日も○○くん安定感がある投球で3回1失点。
守備がかなり守りやすかったです。
○○くん、○○くんも2回無失点。
2試合目には○○くんが初登板しました。
まだまだ経験不足で失点はしてしまいましたが、すばらしいボールを投げ込んでいて今後が楽しみです。
あんなに不安定だった守備もかなり安定してきました。
〇〇くんのガッツ溢れるプレーもチームに勢いを与えてくれましたね。
今後のレギュラー争いも楽しみです。
来週末は土曜日午後にエネルギッシュフィールドで都大会出場チームの○○中と練習試合を行います。
昼食持参、10時30分集合でお願いしたいと思います。
申し訳ございませんがご協力よろしくお願いいたします。
こんな感じで「反省」ではなく、選手を褒めるファン向けの球団広報みたいなものになります。
保護者の方からは非常に好評で、なかなか観戦に来ることができない保護者の方も他校の選手も含めて様子が分かるので助かるとおっしゃっていました。
また、合同チームどうこう関係なく、思春期真っ只中で試合のことも何も話さない選手もたまにいるので、そういう保護者の方も喜んでいました。
こうした取り組みで、保護者の方々も次第に固まって大応援団を作ってくれるようになり、そこにはもう中学校の壁は無かったように私は感じました。
もちろん、私が気がつかないところで保護者の方々の努力もあったのではないかと思います。
工夫5:平日練習の指示
本当は練習試合後に丁寧にミーティングをしたり、月曜日にミーティングの時間を確保し、課題を再確認して練習に臨むことが好ましいと思うのですが、私の家庭の事情で、練習試合が終わるとすぐに帰宅しなければならず、ミーティングも選手間で行い、あとは私から軽く振り返りくらいであっさりと終わらざるを得ませんでした。
そのため、そこまで丁寧な振り返りはできないこともありましたが(ただ、個々の課題や反省はできる限り試合の中や片付けの時間に個別に話し合うようにはしていました)、「次の試合までにこれだけはやってきて欲しい」という課題は出すようにしていました。
・サインミスがあったら「サインの確認」
・振れていないなと感じたら「週に500スイング」
・軌道がおかしくなっていると感じたら「L字逆手の素振り100回」
・フライの落球があったら「外野ノック100本(手投げでも良い)」
正直、私が見ることができるわけではないので、複雑な指示(たとえば1アウト1・3塁のケースの確認など)はしても無駄に終わることが多いと感じていました。
なので、上記のような簡単な宿題を与え、クリアすることで成長していると思わせていました。
難しい課題については週末チームで集まった際に練習試合前に投内連携の確認などをサッとしていました。
〇まとめ
これからの時代、むしろ合同チームや選抜チームが主流となるかもしれません。
私の工夫はまだまだ改善の余地があるので、今後も研鑽していきたいと思いますが、参考になりましたら幸いです。
合同だろうが、単独だろうが、我々指導者は目の前の選手たちに真剣に向き合っていくということが重要になると思います。
こちらの記事でも書きましたが、ダメな代などありません。
合同チームの場合も「単独になる来年が勝負」などと考えるのは選手に失礼だと思います。
関連記事です。