宮川理論は「野球部」との親和性が高い!
野球部顧問の先生にもおすすめです!
〇宮川理論のおさらい
以前からお話している通り、私は宮川理論の公認指導員を務めさせていただいております。
と言っても、野球部の指導の際にそのスキルを活かさせていただいているだけで、個別指導等は行っておりません。
↑宮川理論については過去記事に詳しいので、ぜひこちらをご覧ください。
すごく簡単に言うと、「どのボールにも軌道が入るスイングの習得=ホームランを打てるバッターになれる」理論です。
最近だと、元ヤクルトの上田さんが宮川理論の宮川先生と野球技術について話し合った動画が配信されています。
プロ野球界でも注目されているようです。
今回お話したいのは、宮川理論を用いて野球部の指導を6年間(公認指導員になってからの2018年~2023年)行って分かったことについてです。
簡単に言うと宮川理論と「野球部」の親和性は非常に高いということが分かりました。
もちろん、宮川理論の公認指導員になる前からバッティング指導には力を入れていました。
自分自身、高校野球では4番を任されていたこともあり、自分のバッティングにはそれなりに自信はありましたが、自身の経験で教えているような状態で、3年間でホームランバッターを育てるメソッドがあったわけではありませんでした。
しかし、宮川理論を学び、そのドリルやその思考を取り入れてからはバッティング指導に自信をもつことができました。
そして、指導していく中で、初心者が多く、常にグラウンドに立てるわけではない「野球部」にこそ宮川理論は最強であるということが自身の中で確固たるものになっていきました。
↑書籍もあります。1Pですが私も寄稿させてもらっています。アフィリエイトはやっていないので、公式HPからでも買ってあげてください。
〇宮川理論と「野球部」の親和性が高い四つの理由!
理由1:初心者の指導に適している
現在の中学校野球部は以前とは異なり、初心者が非常に多くなっています。
特に私が現任校に異動してからの4年間は半分ほどが初心者という感覚です。
また、経験者で入部してくれる選手も、正直に言えば少年野球の主力だった選手はほとんどいません。
主力だった選手はシニアやボーイズなどのクラブチームに入り、下位打線を打っていた選手や控えメンバーだった選手が入部してきます。
この傾向は近年どこの中学校でも非常に強いです。
私の現任校はクラブチームの選手が10人くらい学年にいて、野球部の選手より多いですね。
こうした初心者やバッティングに自信がない選手ばかりが入部してくる現状にこそ宮川理論です。
宮川理論以外にも優れたバッティング理論はたくさんあると思うんですよ。
根鈴さんはもはや説明不要なくらい広まってきていますよね。
ですが、根鈴さんの道場でやられていることを野球初心者ができるかというと全然違うと思います。
当然ですが、レベルによって指導、やるべき内容は変わってきます。
根鈴さんに「もし初心者に指導するとしたらどうしますか?」といった趣旨の質問をしたところ、やはり根鈴さんの動画で上がっているようなことではなく、全く別のことをやるとおっしゃっていました(その内容を掲載していいのか分からないので掲載しませんが)。
その他にもバッティング理論や、打撃指導で有名な方がいらっしゃいますが、多くはある程度野球ができるようになってきた選手、もしくは高校生以上の選手がメインターゲットだなと感じることが多いです。
しかし、宮川理論は初心者のバッティングを作るところからドリルがあるという点で非常に強みがあります。
特に有効なのは「L字逆手」と呼ばれるドリルです。
このドリル自体は初心者から上級者まで有効な正しい軌道と大きなフォロースルーを作っていくドリルで、非常に効果が高いです。
最初の細かなやり方の指導を丁寧にやれば、あとはちょっとした時間の自主練習でもできます(ただしすぐおかしくなる選手もいるので、細目にチェックしてあげる必要はあります)。
学校の部活動としての「野球部」はどうしてもその性質上、顧問不在での練習が出てきます。
できる限りグラウンドに出るようにしていた私でも、不在の時間はやはりかなりありました。
これまでの経験上、「L字逆手」がある程度しっかりとできる選手が、顧問不在でバッティング練習を繰り返していく中で凄まじくおかしなことになることはありません(そりゃちょっとはおかしくなることはあります)。
逆に宮川理論の公認指導員になる前に指導した選手たちの中には、ちょっと見ない間におかしなことになってしまった子もたくさんいます。
初心者の選手に好き放題打たせていたらもはやどうしたらいいのか分からないくらいになってしまったというケースも多々見たことがあります。
初心者やレベルがあまり高くない選手こそ宮川理論、「L字逆手」が活きると考えています。
後述しますが、もちろん、そこから少しレベルが上がってきた選手、さらには上級者の選手にまで対応できるメソッドがあるのが宮川理論です。
理由2:考える力が身につき、学校教育である「野球部」の側面をアシストできる
宮川理論には様々なドリルがあります。
宮川理論は「インパクトの際のトップハンドはこうで」などといった形から入るような理論ではありません。
どちらかというとドリルを繰り返す中で、自然と目指す形になるという理論です。
そのため宮川理論として宮川先生が広めたドリルもあれば、宮川理論の本部山田指導員考案のドリル、各地の公認指導員考案のドリルもあります。
もちろん私が考えたドリルも多数ございます。
私はこうしたドリルは処方箋だと選手に伝えていました。
「野球部」という性質上、1対1で選手のバッティングを作り上げていくことは非常に困難です。
時にマンツーマン指導はしますが、補助的なものでしかなく、基本的には全体練習の中で個人で自身のバッティングを作り上げていくものだと考えています。
そうした際に重視させていたのが「PDCAサイクル」です。
↑PDCAサイクルはバッティングだけではなく、チームとしても重視していました。
試合があると必ず反省が出ます。
その反省を病気の症状に見立て、ドリルを処方箋として用いさせるのです。
もちろん、初めは私が薬剤師のように「このドリルにはこのような効果がある」という説明をしてやらせます。
たとえば、ボールを呼び込めなくなってきた選手には正対打ち。
外角のスイングパスがおかしくなってきた選手には45度打ち。
着地が弱くなってきた選手には一本足。
などなど、その時の症状に応じて与えるべき処方箋があります。
ある程度、症状と処方箋が分かるようになってきたら、今度はこちらから与えずに
「試合の反省で緩いボールに突っ込んでしまったと言っていたけれど、じゃあ今日はどういうドリルをやるの?」
と聞くようにします。
最初は間違えることもありますが、次第に正しい処方箋を選択していけるようになります。
正しい処方箋を選べると結果も伴ってきます。
処方箋は副作用もあるので、一つ解決したらと次の処方箋を選ぶという作業を行うことで螺旋状にバッティングのレベルが上がっていくようになっているのが宮川理論の良いところです。
まあもちろん最初にしっかりと正しいドリルの行い方や、行う意味を丁寧に説明することが重要で、大変な作業ではありますが、ある程度軌道に乗れば、自分たちでPDCAサイクルを回していくことができるようになります。
早い選手は半年、遅くとも1年かければできるようになるイメージです。
これは野球だけではなく、社会人となっても活きるスキルだと思うので、学校教育としての「野球部」でここまでもっていける宮川理論はやはり親和性が高いと感じます。
また、今回の趣旨とはズレますが、将来的に野球を指導できる選手にもなれると感じました。
理由3:宮川理論の思考が野球部に入る選手やその保護者にマッチしている
野球人口激減時代です。
クラブチームは別として、先ほど述べたように野球部に入ってくれる選手は初心者が非常に多くなっています。
昔と違って、「プロ野球選手になりたいから」や「甲子園に行きたい」といった理由で入部してくる選手はほとんどいません。
どうして入部してくれたのか聞くと、
「友達が入るから」
「仮入部で遊びに行ったら先輩が優しくて楽しそうだったから」
「運動部の中では楽そうだったから」
などという返答が普通に返ってきます。
私も別にそれでいいと思っていて、そうした子にいかに野球の楽しさを伝えられるかが大事だと考えています。
そうした選手たちはもとより中学でしか野球をやらないつもりだったりします(のちに野球が好きになって続けてくれた子はたくさんいます)。
そんな選手たちに従来の根性野球はミスマッチになります。
(そもそもプロ野球目指す選手にでも根性野球はどうなのかと思うこともありますが、それは今回の趣旨とはずれるので置いておきます。)
そういう選手たちに指導するときこそ、「なぜなのか?」が必要になります。
いわゆるエビデンスです。
正直、宮川先生は直感型の方なので、感覚的にそうだと思っていただけで、エビデンスどうこうは考えていなかったかもしれませんが、宮川理論のスイングはいまや科学に裏打ちされたものになっています。
なぜ上から叩くスイングではダメなのか?
なぜトップハンドを放してもいいのか?(今でこそ吉田選手などが登場し、あまり批判されませんが、宮川理論が登場した当時、トップハンドを放す片手フィニッシュが批判されたこともありました)
なぜフライを上げること(技術)も重要なのか?
いずれも現在は科学的に立証されています。
また、宮川理論で重視している「回転」はケガ予防の点でも優秀であるとスポーツドクターの馬見塚先生からもお墨付きをもらっています。
↑馬見塚先生はこちらの書籍でも有名です。
中学から始めた現代っ子の選手たちに「こうだからとにかくやれ!」と言っても通じないことも多いです。
実際、それで
「YouTubeでこう言っている人がいたのですが違うのですか?」
↓
「(なんだそれ知らん)うるさい、野球をずっとやってきた俺が言うんだからやれ!」
↓
退部
という流れを見たことがあります。
だいぶ端折ってるので笑い話みたいに見えますが、けっこう聞くケースです。
逆にしっかりとエビデンスを説明すればどんどん考えてやれるようになるのも現代の中学生です。
そして、そんな選手の保護者の方々も野球未経験のことが多いです。
そうした他競技を経験してきた、もしくはスポーツ未経験の保護者の方からすると、従来型の野球部は「おかしく」写ることがあります。
「どうして野球ってこんなに練習が長いんですか?」
「あんなに長距離を走って野球の試合に繋がるんですか?」
「大谷翔平は上から叩いてないですよね?」
など保護者の方から決して批判ではなく、純粋な目で聞かれた指導者もたくさんいます。
ましてやいくらでもネットを通じて情報を得られる時代ですから、お子さんのために野球を学んでいる方も多いです。
そんな方々にエビデンスなき指導は受け入れてもらえない可能性が高いです。
宮川理論なら科学に裏打ちされたものがありますし、また、思考の面でも
「練習は練習」
「甘球必打」
など、野球未経験の人にも受け入れられやすい考えがあるのも良いところだと思います。
実際、私はこうした説明を部活動通信等で丁寧に説明する中で、野球の技術指導や練習内容については信頼を勝ち得ていたと思います(思ってるだけで裏でいろいろ言われていた可能性はアリ笑)。
理由4:幅広いレベルに対応できる
ここまで初心者に対応できるということを書いてきましたが、もちろんレベルが上がっても対応できます。
レベルの高い選手はクラブチームに行ってしまうと書きましたが、うちには来ませんでしたが、入部してくれる中学校ももちろんあります。
それに、初心者であっても高学年になってくるとやはりそれなりに打てるようになってくるものです。
私は「入部者全員、卒業までにホームラン」を目標にしていて、さすがに毎年は全員ホームランは達成できないのですが、全員長打は毎年達成しています。
そういうレベルに上がってきても、もちろん宮川理論の指導は活きてきます。
宮川理論はよく「速いボールが打てない」などと批判されることがありますが、全くそんなことはありません。
こちら、宮川理論の山田代表のスイングですが、
こうした宮川理論のドリル練習に対して「そんなスイングで速い球打てるわけない!」と言われることがあるのですが、
果物を切るときにチェーンソー使うか?
大木切るときはチェーンソー使うに決まってんだろ。
といつも思ってます。
「練習は練習」です。
これは脱力して軌道を確認してんだから、果物を果物ナイフで切ってる状態なんですよ。
大木だったらチェーンソー。
速いボール来たら速いボールを打つスイングするに決まっています。
宮川理論には速いボールへの対応ができるようになるドリルもちゃんとあります。
最初に挙げた元ヤクルトの上田選手のように、プロ野球選手でも宮川理論のエッセンスを取り入れられるわけで、中学生ならではの幅広いレベルにも十分に対応できるのも宮川理論のすばらしいところだと思います。
〇まとめ
以上、宮川理論と「野球部」の親和性が高いことについてまとめてみました。
「野球部」に限らず、やはり明らかに公認指導員になってからの方がバッティング指導で結果を残すことができているので、打撃指導に宮川理論は本当におすすめです。
宮川理論を学ぶ方法についてはこちらの記事に詳しくまとめていますのでぜひご覧ください。
また、YouTubeやInstagramでも公式チャンネルがあります。
本部の山田指導員ががんばってやっているのでぜひご覧ください。
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