ポジショニングはどう考えていますか?
打球が飛ぶ可能性が一番高いところ、一番必要となるところを守るべきです!
思いきって外野4人シフトを採用してみませんか?
〇外野4人シフトとは?
私は中学軟式では外野4人シフトを推奨しています。
もともと私はバッターのスイングをAとBに分類し、その分類に応じた極端なポジショニングを採用していました。
しかし、軟式球がM号球に変わり、このポジショニングがはまりにくくなってしまいました。
初めは代が変わって、ピッチャーのレベルが落ちたことが原因かと考えていました。
しかし、どうもそれだけではなく、B号球と異なり、M号球は潰れにくいため、右バッターであればセカンド裏、左バッターであればショート裏へのフライが減ったことが主たる原因のようです。
おまけにそこそこ強く振れる選手の打球は内野を抜けたライナーでも外野の奥まで転々と転がっていくようになってしまいました(振れていない選手の打球は前よりも飛ばない気もします)。
このような状況に対応すべく考えたのが、外野4人シフトです。
外野4人シフトでは、セカンドを右中間にまで下げます。
バッターのスイングによりますが、仮にバッターのスイングに癖がなく、定位置を守る場合は以下のようになります。
ライトを通常の定位置にまず置き、そこから大体等間隔で選手を配置していきます。
ライトから配置するのは、スイング軌道が良いバッターの場合、一番打球が飛びにくいのが右バッターの場合はライトライン際だからです(左バッターは逆になります)。
そのため、セカンドが右中間、センターが左中間、レフトはややライン寄りを守ることになります。
単純に外野と外野の間隔が狭くなるので、これで外野の間を抜かれることはほとんど無くなります。
頭上を越されることはあるので、長打がゼロになるわけではありませんが、かなり長打を減らすことができます。
また、外野正面に近いゴロも増えることになるので、ランナー2塁からシングルヒットで得点を許すこともほとんど無くなります。
セカンドゴロが来たらどうするのかという質問を多々受けるのですが、普通のセカンドゴロであれば、B号球よりも打球が強いので、セカンドが右中間からしっかりとチャージすれば1塁でアウトを取れます。
少し弱いセカンドゴロはショートがアウトにします。
ショートを多少セカンドベースよりにしなければなりませんが、けっこう普通にアウトにできます。
また、ライトゴロはこれまで通りライトがアウトにしますし、センターに抜けた打球は左中間を守るセンターが斜めに切り込んでチャージすると、ちょうど1塁に投げやすくなり、センターゴロも取れます。
センターゴロが取れるようになったことは正直想定外でした。
ランナー1・2塁でバントが無いと思われるケース、特に2アウト1・2塁の場合、この外野4人シフトはかなりの効果を発揮します。
ランナー1・2塁の際は、ファーストとショートが1塁と2塁にべたづきします。
そうすることで、ランナーはあまりリードを大きく取ることができないので、外野に抜ける強いゴロはほとんどどこかでアウトにすることができます。
アウトにすることができないとしても、2塁ランナーのホームへの生還を許すことはありません。
唯一の弱点はセカンド前へのプッシュバントなのですが、正直「やれるならどうぞやってください」って感じです。
セカンド前にプッシュバントがキレイに決まったら1塁はセーフです。
しかし、それを上手に決められる選手がどのくらいいるでしょうか?
ちょっとズレればファールでカウントが悪くなったり、ピッチャーゴロ、ファーストゴロになったりします。
普段からプッシュバントの猛練習をしているチームなんて多いはずもなく、成功する確率は2割もないのではないでしょうか?
長打の可能性を放棄してくれた上に、8割以上アウトをくれるのであれば相当助かります。
よって全く無視するように徹底しています。
また、大体そんなバントを決められる選手は良いバッターです。
たとえバントヒットになったとしても怖いバッターがシングルヒットで我慢してくれるわけですからラッキーです。
プッシュバントではなく、セカンドへのボテボテのゴロを狙うチームもありましたが、これまで1回しか決められたことはありません。
かえってスイングがおかしくなってポップフライになったり、うまく転がしたと思ってもセカンドやショートがアウトにできたりしたケースがほとんどでした。
これまた長打を放棄してくれた上に、自分たちのバッティングを勝手に崩してくれるのであればラッキーかと思っています。
狙ったわけではなくとも、力の無い選手のボテボテのゴロがセーフになるのではないかとも言われるのですが、もしも長打の可能性が低いようであれば、外野を4人で守る必要はないので、内野4人に戻します。
送りバントへの対応はどうするのかと言う方もいますが、バント濃厚であればこれまたセカンドを前に戻します。
要は常に外野4人というわけではなく、状況に応じて一番打球が飛ぶ可能性が高いところ、必要なところを守るということです。
外野4人シフトの基本的な考えはお分かりいただけたでしょうか?
基本的には外野4人を等間隔に配置しますが、それを基準とし、バッターのスイングによってポジショニングを変えていきます。
ここからは、私のスイング分類の考えを加えたさらに細かなポジショニングについてまとめていきます。
↑スイングパスについてはこちら。
〇バッターのスイングがAタイプの場合
バッターのスイング軌道がAタイプ=ダウンスイングの場合、以下のようなポジショニングを取ります。
定位置を守る場合に比べ、ライトは若干浅く、右に寄ります。
Aタイプの場合、外野手の間隔が定位置よりも少し開くことになるのですが、右方向には強い打球はそんなに行きませんので、それほど外野手の間を抜かれる心配はないと思います。
むしろ右方向は前のフライや切れていくフライへのケアを考えなくてはいけません。
レフトは内よりの高めに甘いボールが行った際にライナー性の強い打球が行きやすいので、ライン寄りの深めを守ります。
〇バッターのスイングがBタイプの場合
Bタイプ=外回りのバッターの場合、外より高めの甘いボールを右中間方向にもっていかれる心配があります。
そのため右中間方向のセカンド、ライトは多少深めに、逆に強く引っ張ることは難しいので、レフト方向はそれほど深く守りません。
ただ、ピッチャーとの力関係によっては、外回りであっても強く引っ張ることもあるので(現に甲子園を見ていると、外回りなのにバンバンホームランを打っている選手が多いです。)、その辺りは注意が必要です。
基本的には、AタイプよりもBタイプのバッターの方が怖いです。
時々、外回りしている上にダウンスイングのバッターをどう分類するか質問されるのですが、打球傾向はAタイプになるので、Aタイプのポジショニングで大丈夫です。
〇外野4人シフトの注意点!
メリットがかなり大きいと感じている外野4人シフトですが、これまでのシフトと大きく異なるため、注意しなければいけないこともあります。
1、カバーリングがこれまで以上に臨機応変さが求められる
…内野4人で守る場合と異なり、ベースが空いてしまうことが増えます。
たとえば、レフト前ヒットの場合、普通であればセカンドがセカンドベースに入りますが、外野4人シフトの場合、右中間を守るセカンドが走る必要があります。
また、右方向に長打が飛んだ場合、ショートがカットプレーに入るため、センターがセカンドベースに入ります。
それ以外にも、様々なケースで外野手が臨機応変にベースカバーやカット、カバーリングに入る必要があり、ケースごとに対策をしっかりとしていく必要があります。
2、内野手3人が広く守ることが求められる
…内野手が3人になるので、3人の守備負担が大きくなります。
ショートがセカンドベース寄りに守るため、サードは従来のショート前の打球まで捕らなくてはいけません(ただし、サードは塁線を抜かれてもレフトがいるので長打にはなりません)。
ショートは従来のセカンドゴロまでアウトにする必要があります。
普通に守るよりも自分の左側の守備力が求められるようになります。
ファーストは右中間を守るセカンドとライトがいるので、強いゴロに関しては全部任せて構いませんが、ボテボテの1・2塁間のゴロは捕りに行く必要があります。
また、セカンドフライに関してはショート、セカンド、ライト、ファースト、ピッチャーが全力で追う必要があります。
内野手はこれまで以上に守備力が求められると言えるでしょう。
これまでとは守備範囲が全く異なるので、ケースノックなどでどこまでが守備範囲なのかの確認も入念にする必要があります。
3、外野手がチャージできないと話にならない
…外野4人シフトは本来セカンドゴロの打球をライトや右中間を守るセカンドがアウトにできることが前提になっています。
そのため、外野手、特にライトと右中間のセカンドがチャージできて、ライトゴロを取れないと話になりません。
また、左中間を守るセンターもセンターゴロが取れるのも外野4人シフトの利点となります。
よって、外野手がチャージできる守備力をもっている必要があります。
といっても、外野手のほとんどが中学生になってから野球を始めた私のチームの外野手でも十分にできているので、チャージして1塁に投げる練習を積めば、どのチームでもある程度できるようになるはずです。
↑この練習がオススメです。
逆に4人で守る分、一人が負担する守備範囲は狭くなります。
正面の打球が増え、難しい打球の処理はそれほど求められなくなるので、そこはメリットになりますね。
4、セカンドの選手はこれまで以上にたくさんのことを求められる
…セカンドの選手は場面によっては内野を守り、場面によっては外野を守ることになります。
一人で2ポジション守るのと感覚的には変わらず、負担は大きくなります。
それもイニング途中で行ったり来たりすることもあります。
場面判断を適切に行い、ポジションを移動する際には外野との連携をしっかりしなければシフトがめちゃくちゃになってしまいます。
内野4人の通常シフトよりもセカンドの重要性は遥かに高まると言えるでしょう。
一般的なセカンドよりも肩の力も求められます。
5、チームとしての意思を統一する必要がある
…外野4人シフトだけではありませんが、極端なポジショニングはいつも成功するわけではありません。
外野4人シフトを取り入れて、左中間真っ二つの当たりをセンターが軽々と捕球し助けられたことが幾度もあります。
センターゴロ、ライトゴロが難なく取れたことも数え切れません。
シフトに助けられたことの方が圧倒的に多いはずなのですが、不思議なもので失敗したケースの方が記憶に残っています。
ボテボテのセカンドゴロやセカンド凡フライをアウトにできなかったとき、
「普通に守っていればアウトだったのに…」
そう思ってしまいがちです。
外野4人シフト、極端なポジショニングが成功するかどうかは、そこを割り切れるかどうかにかかっています。
指導者、選手、保護者が外野4人シフトのメリットデメリットをしっかりと理解した上で実行することが重要になります。
そこができないのであれば取り入れない方がいいと思います。
以上、外野4人シフトについてまとめました。
この外野4人シフトはM号球の特性を踏まえたシフトなので、当然ですが、硬式野球ではうまくいかないと思います。
ただ、J号球であっても、そこそこ守備力のある少年野球チームであれば採用できる可能性はあります。
また、この記事は学校グラウンドでの試合を想定して書いています。
外野が芝の球場の場合、セカンドが右中間を守る際、もう少し前を守る必要が出てきますのでご了承ください。
この外野4人シフトを広めていきたいと考えていますので、質問等ありましたらお気軽にどうぞ。
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